東京に来た隙間時間に帝国劇場へ


みんなみたいに着到板の救出は出来ませんでしたが、懐かしさと共に大切な思い出を沢山思い出した。
初めて帝国劇場に出演させていただいたのは堂本光一さん主演の「SHOCK is real shock」(2003)
先日終わった「Endless SHOCK」の前身となる舞台。
ジャパンアクションエンタープライズに入り数年。まだ若手だった自分。
いつかは大きい舞台に立ちたいといつも飢えていました。
大学時代は沢山芝居を見ていて、シアターコクーンやサンシャイン劇場や大きな舞台を見て、何で自分はあっち側じゃないんだ。今に見てろよという気持ちでいた自分。
そんな若造だった自分に突然訪れたチャンス。いきなり2000人キャパの劇場に立つ事になりました。
自分の想像が及んでいなかった世界。
プロフェッショナルな技術を持ったキャストさん、ダンサーさん、スタッフさんに混じって、自分に何が出来るのか。いや、何もかも足りない。アクション、アクロバット、スタントのプロとして呼ばれているのに。
プロの世界の厳しさを目の当たりにして、泣きながら帰った日もありました。
今振り返ってみれば、自分の足りなさは周りの皆様にバレていたと思います。
JACの先輩(その頃はもうJAEでしたが、ジャックさんと現場で呼ばれていたので敢えて書きます)には今回の若手は全然駄目だなと言われているのも聞いていました。
でも、一生懸命取り組む真摯な姿勢だけは皆様認めて下さって。厳しく優しく見守って下さいました。
今も忘れられない先輩の言葉「お前は本当に下手だけど頑張ってる」、そして「今日は良かったな」「今日は駄目だな。昨日の方が良かった」などたまにして下さった声かけ。
ああ、見て下さってるんだ。嬉しい。先輩に恥かかせられないな。もっと上手くなりたい。
そんな気持ちで舞台をやりながら、必死に過ごした日々。
多分、先輩が見て下さってなかったらあそこで辞めていたと思うんです。
今日そんな記憶を思い出しました。
あと2010年に出演した「人生革命」滝沢秀明さん主演舞台。森光子さんも出演されていました。初日挨拶に行った際の森光子さんの優しい笑顔は一生忘れられませんし、稽古場で見た森さんの本気のお芝居は俳優人生の宝だと思っています。
最近「俳優としてどうなりたいの?」と問われる事があって。
実は自分の中にはブレない思いはあります。
「本物でありたい」
そして
「自分に大切なものをくれた先輩方に恥ずかしい仕事をしたくない」
という事。
プロ意識って何なのかの答えが最近朧気に見えてきて、それは「作品に対しての責任感」なのではないかと思います。
それには自分自身の表現技術を磨く事も含まれていて、もっと上手くなりたい。そういった飢えがなくてはいけないのではないかと思います。
プロ意識と言ってしまうと、自分はプロじゃないからという逃げが許されてしまいますが、本当は表現に関わる人全てにプロアマ問わず必要な思いではないかと思います。
劇団四季「ライオンキング」でお世話になった村中さんが書かれていましたが、プロの作品に出る事自体は多分難しくないんです。
でも、継続する事は本当に難しいと思います。
どうやれば本物の表現者になれるのか。
きっと終わりなき旅でしょうが、その旅の中、ご縁がある方と自分が誇れる作品を作れるよう、これからも頑張って行きたいと思います。
若い方には自分を気持ち良くさせてくれる場所だけでなく、是非プロと向き合える作品に関わって欲しいと思います。
私にプロとは何かを教えてくれた大切な帝国劇場。
本当にありがとうございました
