3月9日(土)前日
朝から調子が悪い。
麺はバリカタ味濃いめのお客さんに、麺カタで味普通のラーメンを出してしまったり、
味噌ラーメン味玉付きのお客さんに、塩ラーメンチャーシュー付きで出してしまったり。
副店長何やってんですか、週末で忙しいんですからちゃんとしてくださいよ。と、
フリースクール卒業してフリーターの大柳君に怒られてしまう始末だ。
こんなんじゃいかんなと思い、
バリカタ濃いめ麺ふつう塩みそトッピングのりねぎチャーシュー
と必死に記憶して作ってを繰り返した。
こんなに汗かいて働いたの久しぶりだ。
原因は分かっている。明日の事だ。
自分の書いた作品が上演される。
どうなんだ面白いのかつまんないのか。
あー、あそこはもうちょっと書き直した方が良かったのかもしんないな~。
あの場面で笑いが取れなかったらどうしよう?
そもそもこんな戯曲を上演する価値あるのか?
ただの独りよがりの愚痴なんじゃないのか?
クソみたいな脚本とか言われたら、三か月も一生懸命に稽古してくれた役者に申し訳ないなぁ~。
あと、演出した佐藤君にも汚点をつけてしまうなぁ~。
そうだ、もういっそのこと上演中止にしてもらって、俺は芝居の世界からスッパリ手を引いて、
こうしてラーメン屋のじじいとして残りの人生を麺の湯切りに捧げよう。
とか考えていたら、
替え玉用のバリカタの麺がゆで時間を過ぎてしまい、麺やわになってしまった。
大柳君の視線が痛い。
いやこれは自分が書いて演出した時とはまた違う感覚だぞ。
自分の作った曲を、シンガーに歌ってもらってそれを配信する初日な気分か?
アー配信数字伸びるかなぁ~。
え、159位?
ナニコレ、間違ってんじゃないの?
だいたい、配信とか視聴なんて百万越えしないと話題にもしてくれないんだから、
結局は数字数字か?
そんなね~、数字の為に俺はあくせくこの作品を書いたんじゃねぇ!!
仕事の片手間でやってる人間なめんな!!
あ。
カタの替え玉だったのに、超やわになってしまった。
ごめんよ大柳君。
自分の戯曲を、「上演したいです」と言われた事は何度かある。
北は北海道から、南は広島くらいまで。
そのたびに
「いいですよいいですよ。
ちょっと改変?
あー。どうぞ好きにやってくださって構いません」と答えてきた。
これは本当にその作者それぞれで、
中には、戯曲の変更は一切認めない。
セリフを変えたら一言でもその都度許可するかどうかを聞いてほしい。
上演した映像を送ってほしい。
そう強めの条件を出す作者さんもいます。
そういう事で、最近でも大きなニュースがありました。
「セクシー田中さん」の問題です。
漫画でも脚本でも、
紙に書かれているものを見れば、ただの‘‘紙‘‘です。
これくらい書き直しても大丈夫だろう。
この場面は無くてもいいな。
そうやっても、‘‘紙‘‘は、何の文句も言いません。
ただ、
そこには書いた人の‘‘思い‘‘や‘‘感情‘‘や‘‘生き様‘‘が込められています。
100万部突破!!の本でも、観客70人の芝居でも、同じです。
ゼロからその作品を産んだ。というのは、
何かしらを誰かに観てもらって、読んでもらって、
楽しんでほしい。何かを感じてほしい。という希望です。
これから漫画や小説を映像化する人、
別の人が書いた戯曲を上演する人、
どうか、それだけは忘れないでほしいと思います。
あ、麺カタ味噌多めのオーダー言ってなかった?
だからごめんよ大柳く~ん。
そんな睨まないでよ~。
3月10日(日)当日
朝から落ち着かず、
とりあえずパソコンに向かって書き物なんかしている。
書いていても心中落ち着かず、
ヘッドフォンで音楽を聴きながらパソコンに集中している。
♪間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
間違うのがニンゲン あんたもまだニンゲン
ダメだ。
今は、中島みゆきはダメな時だ。
仕方なく、
ユーミンの「春よ、こい」を聞く。
時計を見ると、針はもう12時を指している。
あーもう一回目の公演が初まっているんだ。
どうなんだろう?
お客さんにウケているんだろうか?
ここにきて何ですが、
今回、稽古にも一度も参加しませんでした。
そりゃ行こうと思えば行ける時間もありましたよ。
でも、全部任せたんです。
本当に丸投げしたんです。
だから、
ティックトックやインスタやネットフリックスを見る時間を潰して
必死に稽古をしている役者や演出が積み上げた物を
(いやもっとアクティブな人もいると思うけど)
ちょこっと出ていって偉そうにアレコレ注文だけ言って満足して帰っていく。
という、愚かな行為はやらないようにしよう。と決めたんです。
演出の佐藤君と連絡したのは、二度だけです。
〇佐藤君がカットするセリフについて許可をもらう時
〇リハーサル後、「やる事はやり切った?本番観に行くからね」と私が連絡した時
本番よりも少し早く着いてしまい、劇場の外で時間を潰しました。
そして5分前、もう結構席は埋まっていたので、最前列の一番端っこに座りました。
ちょこん。と。
作家が最前列に座るってのも、役者にプレッシャーかかるよね~。
たぶん、後で文句言われるよな。
完全に真っ暗になり、
舞台上のバミリの為に貼られた蓄光テープがキラキラ光っていて、
まるで宇宙みたいだと思いました。
私は、評論家じゃありません。
どっちかっていうとこっちの人であって、
「つまんねぇな」と言う人には
「そうだったか~、もっと勉強します」と言いながら
‘‘ふざけんなお前って人間の方がつまんねぇよ‘‘
と内心で呟いてニコニコしている側の方です。
ただ、はっきり言えるのは、
脚本家の私と、演出の佐藤君の、
呼吸とかリズムとかが違うんだな~。と。
そんなのは当たり前だし、呼吸もリズムも丸ごと一緒だったら、
演出と脚本が別の人間っていう意味が無くなってしまうし、
もし同じだったら、秘密裏にクローン人間製造したか脳洗脳したのかと
思われてしまう。
出演四人中二人が初舞台。
割合でいうと五割。
百点満点だと五〇点分。
サンドイッチマンだと、富澤一人分。
この二人が、松井さん浅川さんに負けていなかった。
初舞台の二人が演じた京田も田町も、
この公演が、世に出る最初なのです。
だから、京田と田町のバージンは、あの二人が奪ったんです。
今後、どこかで「劇団トマレ」が上演されるかもしれない。
それをどんなうまい役者が演じても、‘‘二番目の男‘‘なんです。
時任と美香ちゃんに関してもそうだけどね。
どうでもいいけど例えが下品だなぁ。
世間に、何万本と戯曲や脚本は書かれています。
その中で、ドラマ化や映画化されたりして具現化してもらうものは、
何百分の一?
いや、何千分の一?
誰にも知られずに埋もれていった脚本が、
今まで何万本もあると思います。
それを考えると、
脚本を書いて何人もの人が協力して具現化してもらった私は、
幸せ者なのかもしれません。
ご来場の皆様、
ありがとうございました。
投げ銭制の公演ですので、
千円以上投げ銭してくださった皆様には、
私から、
象やキリンよりも大きな愛を転送いたします。
あ~~~い~~~!!!!
十円以下しか投げ銭入れなかった皆様には、
それなりの愛を転送いたします。
あい
↑めっちゃ薄い文字で
ねこよう
いきなりですが、
ちょぉっと、ずれてんだよな~
って事を書きます。
これを読んでいる皆さんの瞳に、
メリークリスマス🎅
・・・・・・
いやだからね、
ちょっと時期的にもどうなのってのと、
ブログのTOP出アタマで、
‘‘皆さんの瞳に‘‘
なんて書かないだろう普通は?
という部分をですね、
分かってもらえたら嬉しいなぁという・・・
もういいや。
ねこようです。
皆さんご無沙汰しています。
この年の瀬、
2023年もあと何時間で終わるかと言う時に、
ブログの更新であります。
暇か?
ええそうです暇です暇。
遊びに来た息子はスマホゲームに夢中で、
娘はもうじき始まる紅白に備えてまして、
夜遊びだか昼遊びやらの
「アイドル」という曲が、
アニメ「推しの子」の主題歌とやらで、
だいたいお父さんはあんだけ言っても
「推しの子」まだ観てないよね。
って愚痴られました。
先日、
オッスさんより、
2024年3月にかに座が参加する
演劇博覧会
についての正式発表がありましたので、
それについて書きまする。
あれは、
今を遡る事二か月前。
11月公演の
「今度は愛妻家」
の稽古も佳境に入っている時、
演劇博覧会に参加する。
と劇団内に告知が出ました。
私はそれを聞いて考えました。
来年年初は、
仕事や家庭の事情で
演劇活動はほぼ出来ないだろう。
たぶん、演目選びが一番苦労するよな。
ぴったりの配役人数での短編戯曲なんて、
そうは見つからない。
だったらいっちょ書いてみますか。
そう思いつき、
「あのさ、三月の演博、
もしアレだったら、
私が書くよ」
そう主催の馬場さんに話しました。
「おおそうか。
いや今探しているんだけど、
なかなかちょうどいい脚本って無いからな。
書いてくれんなら頼むわ」
そして、
恐ろしい一言を付け足しました。
「12月には稽古に入りたいから、
11月いっぱいには欲しいな」
ウゲっ
12月くらいに書き上げればいいかな~
なんて甘く見ていたわ。
でもまぁしゃーない。
そんなわけでして、
かに座から依頼を受けて書いた作品でなく、
言ってみれば、
持ち込みみたいなものです。
ボツになる可能性だってあるんです。
そして「愛妻家」の照明プランも
まだ出来ていない中、
こちょこちょと書き始めました。
キャスティングは、
多分このくらいの人数だろうなぁ~。
という‘‘アタリ‘‘をつけて書きます。
でも一抹の不安もあります。
一週間後、
また馬場さんに聞きました。
「あのさ、演博なんだけど、
男一人、女四人くらいで大丈夫?」
馬場さんは即座に答えました。
「男1,女3だな」
ゲゲゲっ!
一人多い・・・・
そんなわけで書き直し。
11月23日からの
「今度は愛妻家」の公演中、
ニヤニヤした馬場さんが近寄ってきまして、
「ねこよう先生。
それで、新作はどうなの?
11月中に書きあがりそう?」
「えーえー書いてますよ。
締め切り直前に照明やりながら、
家帰ったら書いてますともさ!!!
なんだこりゃ。
昭和の漫画家か!!」
こういうのを
逆ギレ
といいます。
まだ学生の子たち、
覚えておくといいですよ。
ストレスは減ります。
友達はいなくなっていくけど。
そんな思いまでして
何で自分から書くなんて言ったんだと
疑問に思うかもしれません。
やっぱり、
「ねこよう」って人間から、
次はどんなストーリーが出てくるのかな~。
と、
私が一番楽しみにしているから
なのかもしれません。
もう一つ付け足しますと、
今回もですが、
今までかに座でやった私の作品、
全てがほとんど
配役の決まった
当て書きをしていません。
毎回、
人数と男女比と、
アイツとあのコは配役しようと考えている。
くらい言われるだけで、
誰がこの役やるか分からんけど・・・・
みたいな感じで書いています。
劇団の主催者みたいな人が
作・演出
している劇団がほとんどです。
主催者だから、
自由にキャスティングを考えて
「アレには犯罪者を演じてもらおうか。
それでコレには刑事役を・・・」
なんて感じで脚本を書けますが、
私は劇団部外の人間なので、
キャスティングはほぼお任せなんです。
今回も、
ホームページの発表前日に
オッスさんから
「役柄の名前の読み方は
これで大丈夫ですか?」
と、
確認LINEが着て、
初めてキャスティングを知りました。
演出の佐藤君からは、
二三個確認したい事のLINEが着ただけです。
いやそれが不義理だとか言いたいわけじゃなく、
戯曲作家と演出家ってそんなもんなんです。
こちらは頑張って育てたパセリを送ったので、
お店でシェフが料理して、
お客様を喜ばせてください。
という事です。
「美味だったぞ。シェフを呼べ!!」
「お客様、添え物のパセリは残されてますが」
「ああ。パセリは、ちょっとな」
「・・・・」
そんな3月の公演
「劇団トマレ」
私もどうなるのか楽しみにしていますので、
皆様もお楽しみにお待ちください。
皆様、
一年間、
私のあっちゃこっちゃな文章を
読んでいただき
ありがとうございました。
2024年
私の文章を楽しんで頂いた皆様だけに、
小さな幸がきますように。
明日、
10円拾うかもだよ。
ねこよう
皆様初めまして!
11月末に入団させていただいた野﨑莉穂です。
2023年最後の日、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はB’zさんのライブ映像を鑑賞した後に、このブログを書いています。
(9月にライブに行ってきたので笑)
それは置いておいて!笑
今回は自己紹介として、演劇を始めたきっかけ、かに座の入団経緯を書かせてもらえたらと思います。
野﨑莉穂 (のざきりほ)
東京出身ですが、8歳の時に千葉に引越しているので千葉歴の方が長いです笑
普段は、ギター講師として音楽教室のレッスンをメインに中学校の部活指導や演奏活動を行っています。
演劇の出会いは高校生の部活動がきっかけでした。
小学校は合唱部、中学校はギター部(今の職業のきっかけになりました)、高校は演劇部と、何だかんだ部活動に小中高生は時間を注いできました。
中学校の時は声優さんに憧れていて、アニメの人物になれるなんてカッコイイ!
と、思っていて高校では速攻演劇部に入部しました。
部活動での芝居は高校演劇にしては珍しく
【リアルな日常】を大切にしていた所でした。
顧問の先生が指導してくださっていて、舞台上での【日常の中の自然な動き】を芝居として観せる事がどれだけ大変かよくわかりました。
先輩、同級生、後輩に恵まれ、苦しい時もありましたが楽しい充実した3年間を過ごすことが出来ました。
今でも演劇部で集まりがあるので、いつも楽しみにしています。
(主催してくれる先輩!ありがとうございます!)
卒業後は音楽の専門学校へ進みギターを専攻して今に至るわけですが、その間も芝居はよく観劇しに行っていて、観る側として演劇には関わっていました。
私は音楽も大好きですが、演劇も大好きみたいですね笑
芝居の生のエネルギーには圧倒されて、ただただ感激するばかり!芝居の虜です笑
ある日ふと、いつも観劇している劇団の公演を観て、「やっぱり私も観る側から、何でも良いから演劇に直に関わりたい!人生1度きり!やりたいことやろう!!」と、思い立ちました。
実は就職してすぐの頃にも、また演劇やりたいなぁと思ってかに座の「あした天気になぁれ」を観劇させていただいていました。
その時は仕事に慣れずに断念してしまいましたが、そのことを思い出し、7月に見学に行き、その後すぐに体験入団としてお世話になり、11月末に正式に入団しました。
決め手は団員の皆さんの【人柄】と高校の時大切にしていた舞台上での【リアルな日常】がそこにあったからです。
団員の皆さんには本当に優しくしていただいて、お仕事や学校がある中、時間を捻出して葛藤しながら演じていく役者さんの姿やそれを作る演出さんの的確さ、裏方で支える皆さんの姿…とてもかっこよくて尊敬しています。
正式に入団した後、次の公演は野﨑さんに役者として出演して欲しいと言っていただきとても光栄でした。
8年振りに、役者として舞台に立つ…稽古を通して自分の未熟さを痛感し、毎回落ち込みながら、それでも悩みながら1歩1歩創りあげていく事は大変ですがとても楽しいですね。
しかも尊敬する団員の皆さんが一緒というのは本当に心強いことです。
劇団トマレ 京田玲子として頑張ります!
【 3/10(日) 12:00~/16:00~
『第21回かながわ演劇博覧会『劇団トマレ』』
神奈川県立青少年センター2階
スタジオHIKARI 】
ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。
自己紹介になっていれば良いのですが笑
またちょくちょくブログを書かせていただきたいと思います。
拙い文章でしたが、
最後まで読んでいただきありがとうございました!
これからよろしくお願いします!
皆様、良いお年をお過ごしください♩
野﨑莉穂
オッスたかのりです。
今年ももうすぐ終わりですね。
皆様にとって今年はどんな一年でしたか?
劇団かに座は現在、年末年始休みを頂いており、2024年は1月9日(火)から稽古スタートとなります。
そして3月には「かながわ演劇博覧会」に参加致します。
演目名は『劇団トマレ』。
脚本は元かに座団員の「ねこよう」が書きました。
劇団かに座が上演する劇団トマレ。
なんだかどっちが劇団名なのか分からなくなりそうな演目ですね!
-------------------------
第21回かながわ演劇博覧会 参加公演
『劇団トマレ』
http://kaniza.html.xdomain.jp/live_enpaku021.html
劇団かに座の上演開始時間
3月10日(日)12:00/16:00 (上演時間:45分)
■会場
神奈川県立青少年センター2階 スタジオHIKARI
■入場無料
(ご予約不要/投げ銭制あり)
-------------------------
今回出演キャストは4名。
そのうち2名は、11月に正式に団員となった新人です(野﨑莉穂、押山就哉)。
演出は佐藤貴道が初挑戦!
入場無料、ご予約不要の公演ですので、ご都合つきましたらぜひご観劇ください。
上演開始時間ギリギリだと、満席の場合はご入場をお断りすることになりますので、できればお早めに(30分くらい前に)ご来場頂くことをオススメ致します。
演劇博覧会は今年より「出入り自由」となりますので、前の団体の公演を観て「そのまま座席を確保」してかに座の公演も観て頂くことも可能です(この方法もオススメ!)。
魅力的な団体が多いので、ぜひたくさんの団体の公演をご覧になってください。
またまた、
ねこようです。
いやもうまたかよ~。
みたいな顔しないでよ。
しょうがないでしょ。
私しかいないんだから。
そりゃあねぇ、
私じゃなくて
作家の川上未映子さんみたいな
凄い人が書いてくれたら、
オ!!
とか思うのかもしれないけどさぁ、
そんなの無理に決まっているんだから、
いるもんで何とかするしかないでしょ!
なんなのその不満そうな顔は?
全くもう、
SNSだか何だか知らないけど、
言いたい事や不満を
すぐに発せられるようになってから、
我慢って事知らないんだから。
いくら文句言ってもね、
川上未映子さんは書いてくれないの!!
もう、
そんなブチブチ言ってんなら、
アンタ置いて、
お母さん先に帰るよ!!
という感じで、
スタートです。
稽古場日記。
となっているけど、
〇月×日 初日。
ゲネプロではこんな事あって、
本番ではこんな事故があって、
ってのは、
もう何度も書いてるからいいかなぁ~。
役者はもちろん、
裏方でも、
失敗もあり、
うまくいったなって部分があったりした。
今回の脚本が初演されたのが
2002年。
もちろん、
スマホもGoogleもなかった時代だ。
それでも、内容は色あせていない。
不器用でちゃんと生きられない人たちの
悲しさと愛しさが、
普遍的なものが
しっかりと描かれているからだろうと思う。
そして、二〇年後の現代。
あの頃よりもさらに生き辛くなり、
もがいている人たちは増えてきた。
ように感じる。
だから、
時代がやっとこの戯曲に
フィットし始めてきたのかなぁ~。
今回の公演で嬉しかったのは、
観たお客さんから
「若い出演者が頑張っていた」
「若手のパワーを感じた」
という感想を結構もらった事だ。
中には
「どうしたの?
かに座にこんなパワーあったっけ?」
と心配する?声も聞かれたほどだ。
やっぱり私もおっさんだからね。
‘‘キャスト、若いのばっかで大丈夫か?‘‘
って不安はあったよ。
でもゲネプロや本番を
観ていくうちに分かった。
そりゃコイツらは技術はない。
でも、
‘‘やる‘‘
となった時の、
思いっきりさ。
そして伸びるときは
こちらの予想以上の
成長曲線を描くことが
出来るものなんだ。
そう言えば、
幼き日のうちの娘も、
突然
ひらがなの
‘‘ぬ‘‘
が書けるようになったもん。
相変わらずの
打ち上げは欠席。
舞台監督のなるみさん一人に見送られ、
おつかれさんと劇場を後にした。
いらっしゃ~い。
あ、今日はそっちの日ね?
スナック十六夜のママはにこやかに
私が引っ張ってる旅行バッグを指さした。
いつものジントニックを頼んで
カウンターに座って、
いろいろと考えている。
やっぱり前回に
かに座の公演でやった
2006年バージョン。
それと今回のを比べる。
というのはどうなのだろうか?
例えば、
私が2000年生きるエルフだとして、
(↑娘に勧められた『葬送のフリーレン』の影響)
イギリスで
シェークスピアのハムレットの初演を観たとして、
今あちこちでやっているハムレットを、
‘‘初演とは違うな‘‘
と言うものだろうか?
その時代によって、
ハムレットも様々な解釈が出てきて、
新しく変わっていった。
今と2006年では
世界も人々の考え方も少しずつ変わっている。
だから、
比べる。
という事こそ愚問じゃないのか。
舞台は、その時一瞬のものだ。
もう一度観たいと思っても、
今回の「今度は愛妻家」は、
もう観れない。
百年後に、
今回の「今度は愛妻家」が、
伝説になっているかもしれない。
(↑フリーレンの影響だ!!)
断頭台のアウラと
再び戦わないといけないのかもしれない。
(↑完全にフリーレンのネタパクリだ!!)
とにかく、
私の心の中で、
何かがとても満足だった。
みんなで力を合わせて
イイものを作って、
その一部分に自分がなれた。
という事が
心を満たしていたのかもしれない。
目の前のカウンターの上に、
見慣れたマニキュアの手が伸びてきた。
顔を上げると、
ママがニヤニヤしながらこっちを見ている。
ねこさん、
今日はなんか嬉しそうね。
・・・ああ。
ちょっとね。
いいもん観せてもらったからさ。
あらやだ。
ねこさんがお客さんに観せる方じゃないの?
いやいや観てるんだよ。
お客さんの一番後ろの席で。
ふ~~~ん。
どうしたの?
いや、
イイ人でも出来たのかなぁ~と思ってさ。
出来たかもよ~~?
またまたぁ~、
もう男に騙されんのコリゴリ。
ママの言葉に笑いながら、
ジントニックのグラスを傾ける。
そっか。
ここにも、
生き辛い中で
頑張ってる人がいるんだな。
炭酸が、
喉にしみた。
ねこよう
ねこようです。
相も変わらずに,
公演の後始末談を・・・
しばしの間、
お付き合いをば
よろしくお願いいたしまする。
11月23日(木)
祝日なので、
13:00に劇場入り。
いつもは平日なので、
18:00に劇場入り。
この五時間は大きい。
とは言え、
私は土日祝日の関係ない職業だから、
職場には、
‘‘北海道に嫁いだ妹一家が
こっちに遊びに来ます。
横浜観光だからお土産はありません‘‘
と言って、
休みをもらった。
いやー、
嘘もここまでくると、
人間のクズのレベルになってくるね。
お手伝いを依頼した、
みゆきさん
劇団ぺりどっとのぱこさん
元かに座劇団員
の三人と、
今回
舞台監督のなるみさんとで
照明を仕込んでいく。
まぁ
灯体の吊り込みは、
元プロのみゆきさんに
仕切ってもらって、
私は色ゼラの準備にかかる。
ゼラをシートに
セッティングしていたら、
手が震えてきた。
もう何十回と経験してきた
仕込み初日なのに、
まだどこかでビビっている
自分がいる。
この色をこの灯体につけて。
そう確認していったら・・・
あ。
ゼラを半分忘れた。
稽古場にある
劇団のゼラの入った箱から
半分用意し、
残り半分は私が預かってる中から
持っていけばいいや。
そう思っていて、
預かってる方を忘れた。
今頃、
私の部屋の本棚の、
Aマッソ加納のエッセイと
芥川賞のハンチバックという、
両極端な二冊に挟まれた
封筒に入ったゼラ達は、
「あれ?
俺たち、今日出番だよな?」
と悩んでいるだろう。
それどこじゃない。
でももうしょうがない。
「ゴメンね。ゼラ、忘れたわ」
こういう時は正直に。
まぁどうしようもないから、
稽古場からの荷物が来て
ゼラ箱が来るまで待つしかないか。
となった。
やっとゼラを乗せたトラックが来て、
すぐにゼラを入れて
サスを天井に上げてもらった。
そしたら今度は装置作りだ。
私も、
娘のお下がりのリュックサック
(ピンクのミニオン)
に、道具一式を入れて、
インパクトドライバーを持って
あちこちでビス釘を打ち込んでいく。
なんでそんなリュックに入れてるかって?
そうしないと、
道具をどこかに置いて
誰かがそれを使って
行方不明になってしまうのです。
↑写真右端が、
マイリュックです。
装置はみんなで
ギャーギャー言い合いながらやっていく。
でも怒号とかでなくて、
‘‘ここビス打って~‘‘
‘‘ここ釘打って~‘‘
‘‘〇番のパネル持ってきて~‘‘
みたいに。
若手と、
中堅(おっさん)と、
口うるさい爺さん達。
その中で
あれやってこれやってと
満遍なく指示を出す
舞台監督なるみ。
そんなわけで、
初日でほとんど装置が完成した。
やりゃあ出来るもんだね~
(その2に続く)
ねこよう