チャイナ・リスクについて思う | Hack or Fuck ?

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中国反日デモ 日本車メーカーの損失は200億円、販売50%減
 9月中旬に中国100都市以上で発生した反日デモでは、数千人規模のデモ隊が「日本を倒せ」と気勢を上げ..........≪続きを読む≫


…いよいよチャイナ・リスクも高まりを見せてきたようだ。

チャイナ・リスクとは何か?

ウィキペディアによると、

チャイナリスクとは、中国(中華人民共和国)のかかえるカントリーリスクである。つまり、中国国内で外国企業が経済活動を行う際もしくは中国人を雇い入れる際のリスク(不確実性)、特にダウンサイドリスクだけを取り出したもの。

と定義されているようだ。


そんな中、昨日のNHKクローズアップ現代で、中国に進出した日系企業の特集をやっていた。

『撤退ができない… 中国進出・日系企業の苦悩』

内容は、安い労働力を求めて中国に進出した日本の中小企業が急激な人件費の高騰などで経営が悪化して、これじゃ儲けにならないと撤退しようとしたら、中国人労働者から経済補償金という名の退職金を要求されるは、お役所からはこれまで優遇してやったのに出て行くんなら、これまで負けてやった税金を払えと言われて困っているというようなものだった。

で、その金を払いきれず、借金を抱えて倒産するケースも出てきているらしい。

そこで、「撤退コンサルティング」なるビジネスが登場して、脚光を浴びているという。

日系企業と中国政府および中国人労働者のあいだに立って、カタをつける仕事だ。

カタをつけると言っても、全部が全部、撤退のためというわけでもない。

両者の言い分を精査し、できるだけ双方が納得できるように持っていくという。



…番組はまず撤退してその後倒産の憂き目にあった元経営者の話を紹介する。

中国人労働者に囲まれ、補償金を払うまで日本には帰さない!と脅されたという。
そして何日もホテルでの缶詰状態を過ごし、一瞬の隙をついて命からがら帰国した。
結局、中国当局からあれこれと罰金?を取られ、会社は倒産し借金だけが残った。

ここだけ見ていたら、冒頭に挙げたニュースと重なり、やはり中国はヤバいな…となるのかもしれない。自分の職場を焼き討ちするわ、日本車を燃やすわで、嫌中感情も高まるのかもしれない。

それとは正反対のケースももちろんある。赤字経営の原因をそれぞれ日本人のせいだ、中国人のせいだと押しつけ合っていただけだったが、その会社は「思い切って」中国人従業員にコスト削減の権限を任せたところ、赤字は一転して黒字に変わったという。

その中国人従業員は笑顔で、

「今までは、言われたことをただやるだけだったけど、自分の頭で考えて結果を出せた」

みたいなことを言っていたのが印象的だった。

で、途中、おそらく偉いとされている先生が何か言っていたが、ごくふつうの話だったような気がする。

中国人の権利意識が向上してきたからとか、双方に募る不信感を解消するためには、中国人従業員たちの会社であるという意識を求める必要があるとか、中国人従業員の「位置づけ」の変更とか…

と、30分観て感じたのは、どこがチャイナ・リスクなんだろうという疑問だった。

まあ確かに最近の反日デモの光景はとんでもないとは思うが、この番組のケースはあくまでも経営が悪化した日系企業の話だ。

で、経営が悪化したから日本に帰りますと言ったら、中国側が「ちょっと待て!」と言っているということだ。

そりゃ言うだろうと、おれは思う。

ある日突然、自分が勤めてた会社がなくなるわけだからね。「そうですか、残念です。さようなら」で済む訳ないだろう。済むんですか?

もしかして、日本人の心性としては、済むのだろうか。

「それは大変ですな。ない袖は振れませんよね」

…まあそれに近いものはあるかもしれないなとは思う。

だから、いわゆる「ブラック企業」がいまだにのさばってるのだろう。



倒産した経営者さんたちは気の毒だとは思うけど、赤字が続けば会社はつぶれる。
それが資本主義のルールだ。

もちろん何とかして資金繰りをしようとしたのだろうが、叶わなかったのだろう。

で、撤退しようとしたら金を払えと…ふつうのことだ。

日本では退職金を絶対に払わなくてはいけないことはない、払わなくてもいいみたいなことを紹介してたけど、こっちの方がどうかと思う。

まあ倒産した会社経営者がとんずらしたっていうニュースは珍しくないが…日本じゃ。

まさかそのノリで異国で商売していたのだろうか?

そもそもそれまで、自分が資本主義のルールに則って商売してきたのだから、最後までそのルールは適用されるのがふつうだと思う。外国で商売するのなら、その国のルールとかも知るべきだ。


…そうした基本ルールを共産主義の国に突きつけられるというのも皮肉な話だ。

さらに違和感を覚えたのは、偉い先生が中国人従業員たちの「位置づけ」を変える必要があると発言したことだ。

それでは、今までは彼らは一体どんな位置づけだったのだろうか…
日系企業の経営者たちはどんな目で彼らを見ていたのだろうか…

…コスト削減に成功した中国人従業員の誇らしげな笑顔が甦る。



今もなお混迷を極める日中関係だが、少なくとも経済において、あの笑顔がひとつの解決の糸口となるはずだ。