ロマンチック・ジャパン | Hack or Fuck ?

Hack or Fuck ?

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一日中東葛地域を走り回って、横浜に向かう首都高湾岸線を西日に顔をしかめつつ疾走しながら大音量でこの曲を聴いていると、震災、原発、TPPと揺れ動く今の日本をそのまま歌にしたようだと思う。

『ロマンチスト/ザ・スターリン』

遠い昔友人から借りたレコードをカセットテープに録音してよく聴いたものだ。

なんでもいいのさ壊してしまえばお前はいつでもアナーキスト

壊れていくのはてめえばかりヌカミソになってオポチュニスト

吐き気がするほどロマンチックだぜ 吐き気がするほどロマンチックだぜ

誰でもいいのさ手をつなげばお前はいつでもコミュニスト

ゴキブリみたいに数だけ殖やし手拍子とり出すスターリ二スト

吐き気がするほどロマンチックだぜ 吐き気がするほどロマンチックだぜ

お前は主義者

良心的にと手を差し伸べて助けてあげるとモラリスト

しゃしゃり出るほど顔がない臭いで犯すヒューマニスト

吐き気がするほどロマンチックだぜ 吐き気がするほどロマンチックだぜ


天気のせいだぜ笑いだしたら公害無毒のナチュラリスト

夕焼け見ながら即席平和 天のお告げだジャパ二スト

吐き気がするほどロマンチックだぜ 吐き気がするほどロマンチックだぜ

お前はアナーキスト ナショナリスト スターリ二スト オポチュニスト

スタイリスト フォーマリスト リベラリスト

ヒューマニスト ソーシャリスト イスト イスト イスト イスト

吐き気がするほどロマンチックだぜ 吐き気がするほどロマンチックだぜ

お前は <遠藤ミチロウ:作詞>


あらゆる「主義者」を罵倒するこの曲を聴いているとなぜか元気が湧いたものだが、おそらくそのほとんどは若造の勘違いだったのだろう。しかし当時は「ロマンチスト」を聴くことで自分が何の主義からも自由になれたような気がしたものだ。

ところが今はどうだ。今の世の中はどうだ。

誰も彼もがこぞって何かの「主義者」を目指している。そんな気がする。

それがどんなものであれ、何らかの「主義者」の衣装を纏わないと生き辛い世の中になってしまっている。

内実はどうであれ衣装としての「主義」を強制されているような気がしてならない。

「日本を取り戻す!」と、どこかの誰かが言ったようだが、日本の何を取り戻すのかよく分からない。

ふと、「エンバーミング…」という言葉が降りてくる。まさかと思う。そしてすぐに打ち消す。打ち消すが、すぐに疑念がまた頭をもたげてくる。またまさかと思う。


照りつける西方の光に輝くみなとみらいの風景を横目で見ながら一瞬、すべての車が湾岸線を逆走しているよう錯覚に見舞われた。

そしてすべての車が逆走しているのならそれは逆走とは見なされないのだろうと思った。