易経ノート「53. 風山漸(ふうさんぜん)」
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物事は艮(とど)まるに終わるものではない。
→また新たに進み始める。それが「漸」。
山上の木が、日を追って少しずつ成長する象。
下卦が山だから、無私で落ち着いていなくてはならない。
上卦が風だから、外は謙虚に従って行く。
女が落ち着いて求婚を待っている象。

初6…まだ未熟。急に飛び立つことは危険。
62…英気を養っている。無駄食いではない。
93…一挙に飛ぶより、外敵を防ぎ安全を保障する体制を整える。
64…用意周到に進むが、安全を得ない。
95…恋愛結婚成功。しかし、節度を守る。
上9…鳥の大群が悠々と順序正しく雲路遥かに渡って行く。人間の好模範。


この反対が「54. 雷澤帰妹(らいたくきまい)」。止まって従い、動いて窮(とど)まらない。
「雷澤帰妹」は、女の方から男に働きかけている。警戒を要する→その弊害を知り、いかに長続きできるようにするかが、この卦の主旨。

だんだん進歩・発展していく卦には、「35. 火地晋(かちしん)」がある。こちらは、日が地に昇る。火が地に燃え上がる象。光明が差すように、初めて周囲が明るくなる。従順に明に従っていく。自ら明徳を明らかにしていく。

「34. 雷天大壮(らいてんたいそう)」も、「地天泰」から一歩進んだもので、大いに盛んではなく、陽気が盛んに延びること。家庭でも、親戚、子供、友人…色々と問題が起きてくる。これが大壮。これをどう処理するか。妄進してはいけない。私利私欲を去り、全体の調和を考えて努力していく。

「雷天大壮」は、「33. 天山遯」(解脱)の綜卦。
消極的な逃げはダメ。生活形態・環境から逃れることで、生命・人格を延ばすことでなくてはならない。逃れることで、自由になるのはよいが、我儘になってはならない。
作り上げた生活形態・環境には道や義がある→礼を尽くさなければならない。