{EF36D193-C369-4B72-9739-F60CF7E916C9}

古代中国の百科事典「呂氏春秋」。そこに記されている「八観六験(はちかんろくけん)」。

人間を八つの側面から観察し、六種の方法で試し、その人物・品格を見極める方法。


これは研究に値する。再掲。


▪️八観

1.「通則観其所礼」(通ずれば則ち、その礼する所を観る)
出世するなど、上手く行き始めた時に何を尊重するか。権力・地位・名誉・金・信用・人脈・友情・知識・技術・仁義・礼節・誠・理想・志・家族・過去・未来等。何を尊重するかで、その人の「人物・品格」を観る。

出世した人に対しては、その礼儀正しさを観る。謙虚か傲慢になるか、礼儀正しいかどうか、ここに人間の品格が現れる。


2.「貴則観其所進」(貴ければ則ちその挙ぐる所を見る)

地位の高い人に対しては、その人が敬う人、側にいる人、使っているモノ等から、「人物・好み・人格」を観る。

「類は友を呼ぶ」と言われるように、周りを見ればその人の好みや人格が垣間見える。


3.「富則観其所養」(富めば則ちその養う所を見る)
金を持ち豊かになったら何を養うか。

不動産・車・事業・ペット・愛人・旅行・自分・家族・社会等。金の使い方にその人間の「人生観・倫理観」が現れる。


4.「聴則観其所行」(聴けば則ちその行う所を観る)
人の言動がいかに一致しているか、矛盾しているか。「知行合一」かどうかを観る。実行となると難しいもの。発言と行動が一致しているかどうかで、その人の「誠実さ・実行力・志の有無」を観る。


5.「止則観其所好」(止まれば(到れば)則ちその好む所を観る)
一人前になったら何を好むかを観察してその人の「価値観・人生観」を観る。


6.「習則観其所言」(習えば則ちその言う所を観る)
ある物事に習熟したら、その言を聴いて「心境・価値観・分際」を観る。


7.「窮則観其所不受」(窮すれば則ちその受けざる所を観る)
貧すれば鈍するで、貧乏するとなんでも欲しがるのが人情だが、落ちぶれた時に「何をしないか」、受けるべきではない援助や利益を受けているか否かに「節度・プライド」を観る。


8.「賤則観其所不為」(賤なれば則ちその為さざる所を観る)
人間は窮すれば恥も外聞もかまっていられない、何でもやるというようになりやすい。

どんなに落ちぶれても「これだけはしない」ものの中に「志・意思」を観る。


▪️六験

1.「喜之以験其守」(之を喜ばしてめて以て其の守を験(ため)す)
人間は嬉しくなると羽目を外す。しかし、人間には守らねばならない分とか節がある。それを喜ばされたくらいで外してしまうかどうか。失意の時も同様。自身をしっかり制御できるかどうかが試される。


2「楽之以験其僻」(之を楽しましめて以て其の僻を試す)
喜びの本能に理性が伴うことを楽という。人間は楽しむと、どうしても僻する(偏る)。癖が現れると公正さを失って物事がうまくいかない。

楽しんでいる時に癖が現れるかどうかが試される。


3.「怒之以験其節」(之を怒らしめて以て其の節を試す)
人間はどんなに怒っても、締まるところは締まり抑えるところは抑えなければいけない。

人は怒ると感情的になりやすく、本音が出やすい。怒った時に、自制力が失われないかどうかが試される。


4.「懼之以験其持」(之を懼れしめて以て其の特(独)を試す)
恐れおののくような状況に立った時、独立性の維持、信念の堅持ができるかどうかが試される。


5.「哀之以験其人」(之を哀しましめて以て其の人を験す)
人間は哀しい(切なくて、いたたまれない)時にその人の全てが現れる。人が哀しみに暮れている時、その情を解するかどうか、その人の全てが試される。


6.「苦之以験其志」(之を苦しめて以て其の志を験す)
苦しいことにぶつかると、ついへこたれがちになる。志とは千辛万苦に耐えて自分の理想を追求してゆくことである。よく苦しみに耐えて理想を追求していく粘り強さを持っているか。

苦しみの中にいる時に、その人が志を失うかどうかという意思の強弱が試される。


自分自身を「八観六験」で観ると、いい研究材料になる。