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800年前に朱子(しゅし)と劉子澄(りゅうしちょう)が、四書五経や他の古典から、日常生活における基本的な教えを選出し、それを約250項目にまとめたもの。


江戸時代の主流だった朱子学とも関係が深く、武士の家庭教育と一般家庭の子女教育を通じて日本人の心に深く浸透・実践された。


幕末に日本を訪れた欧米人は、日本人が実に礼儀正しく、躾の行き届いていること、明るさと清潔さに感嘆し、「東洋の君子国」と呼んだ。

イエズス会のフランシスコ・ザビエルも、「今まで世界を見て来たが、こんなに勤勉で礼儀正しく親しみ合い、名誉を重んじる民を見たことがない」と言った。


列強の植民地支配から日本が独立を堅持できたのは、国民が「小学」の教えから人間性を育んでいたことも忘れてはならない。


▪️小学

「古(いにしえ)の小学、人を教うるに、洒掃(さいそう・掃除)、応対、進退の節、親を愛し、長を敬し、師を隆(たっと)び、友に親しむの道を以てす。

皆身を修め、家を齊(ととの)え、国を治め、天下を平らにするの本(もと)と為す所以なり」。


訳)「小学」において、まず人を教えるのに掃除、応対、進退の勘所の会得すること、そして親を愛し、目上の者を敬い、先生を尊び、友と親しむことが大切。

その道を教えることは、自分の身を修め、家を斉え、国を治め、天下を平らかにする根本となる。


・洒掃とは掃除のこと。

日本神道の精神は、清く、明るく、直き心。掃除は、人間が本来持っている明るさ、清潔を好む心、素直な心を引き出すことであり、それを人間を創る基本とした。


・応対とは挨拶のこと。

親が赤ん坊に毎朝「おはよう」と声を掛け続けていると、成長するに従い「おはようございます」と子供は挨拶を返すようになる。

これが応対の基本である。習慣は第二の天性である。幼い頃に習慣化すれば生涯失われることはない。 


・進退とは立ったり座ったり、進んだり退いたりといった作法のこと。

まず「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」。自分の脱いだ靴をきちんと揃えること。自分の足元から整える。

玄関とトイレを見れば、その家の家風が大体分かる。


洒掃、応対、進退は習慣とすることが大切。少 日々繰り返し、無意識で出来るようになること。


己を修めるための第一歩。