第470話◇恐怖と共に
「もう辞める」。
「分かった」。
ん?止(と)めて欲しいの?男が決めたことなんだから、止(と)めるわけない。
「頑張れ」という誰かの言葉が欲しい…と思っているなら、それは自分への言い訳。負け犬の遠吠えでしかない。
男の決意に口を挟める者は、…大切な女だけ。
臆病な男は、自分が感じる恐怖や不安に罪悪感を覚えてしまう。
しかし、どんなに心身を鍛え上げようとも、恐怖心から逃げる事はできない。
「恐怖から逃げたい」というのは幼稚なのだ。
稚心を捨てて、「恐怖と共に生きる」という器量を持てるだろうか。
そもそも、恐いと感じる心は、もともと人間に備わった心であり、人間なら恐怖を感じることがあって当然。
全力で取り組んでいた事に躓いたら、うろたえ途方にくれるのは、人間なら当たり前。
恐怖は感じないし、臆病にもならないというのは人間らしくない。笑
しかし、ただ「恐い」という理由だけで逃げるのは、やっぱり幼稚なのだ。
そして、それを安易な暴力で解消しようとすることも幼稚。
幼稚も暴力も、己に甘いだけで全く優しくない。
男なら、
恐怖も臆病も、志も義も、インフルエンザもノロウイルスも、全部全部抱えて前を向いて歩いて行こう。
あなたの時代は終わらない。
恐怖と一緒に、皆と共に歩こう。
例えば、「雨ニモマケズ 風ニモマケズ…サウイフモノニワタシハナリタイ」宮沢賢治のように。