better than better 39 | better than better

better than better

彼は、私の死んだママのことが忘れられない。
一方通行の片思いたち


素人小説です

「その、私料理上手くないっていうか、全然しないし」
慌てて付け足すと、香篠君は全然気にしていないみたいに笑った。
「いいよ、無理しなくて。ちょっと言ってみただけだし。変なこと言ってごめん」
唐揚げもちょうだい、と手を伸ばす彼に、素直に頷く。
「練習して、」
おずおずときりだす。
「出来るようになったら、いつか、持ってくるね」
すぐにやってみせると言えないところが、素直になりきれない悪いところなのだけれど、香篠君の、さっきまでの穏やかな笑顔とは違うぱあっとした笑顔を見て、間違っていなかったのだと安心する。
「ありがとう。楽しみにしてるね」

「仲直り、できたの?」
教室に戻ると瞳が声をかけてきた。なんだかんだと気にかけてくれていることに、思わず口元がゆるむ。
「おかげさまで」
「香篠君、わざわざそのために来てくれたの?」
「…うん。たぶん」
瞳はじっと私を見つめた。
「なんか意外ね。もっと子供っぽい子かと思ってた」
私は少し気まずくなって乱暴に椅子に腰掛けた。
「時々、年下じゃないような気がする」
「し、春海は意外と子供っぽいし」
気にしていたことを指摘されて、机に突っ伏す。
「付き合う前はもっと先輩ぶっていられたのに」
「仕方ないわよ。彼氏できたの、初めてでしょ?」
「そうだけど」
そこで初めてふと気になる。
「香篠君は、彼女いたことあるのかな」
「やだ、そんなことも知らないの?」
瞳は眉をひそめた。
「私が知るはずないでしょ。気になるなら自分で聞きなさいよ」
「気になるっていうか…」
慣れているな、と感じることが多々あるのだ。別に元カノがいたところで嫌だとは思わないけれど、彼のことを何も知らないのだと実感してしまったのだ。



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