涼(ベアハッグで全身がいてえ……けど)
ここで踏ん張らなければ、拓も雄も照人も救えない。自分のプライドも許さない。そのような精神力だけで、涼は片腕を構えていた。
筋肉男はこれみよがしに、ゆっくりと、隙だらけで涼に歩み寄る。
涼「オッラァァ!!!」
バチン
涼(クッソ……)
涼の右パンチは、たしかに筋肉男の腹に命中した。しかし……
筋肉男「その状態でこの威力。大したものだ。だが俺を倒すには100年早いな」
筋肉男は涼の右腕をつかみ、とてつもない握力で引き込む。
涼(やっべ)
急速度で引っ張られた涼の腹が向かう先はーー
ズッボォッ!!!!!!!
涼「うぶぅぇえええええ!?!?」
筋肉男の膝が、涼のレバーを射抜いている。
涼(ダメージの次元が違う……!!!)
目を見開き、涎を垂らす涼。耳元でささやく声が聞こえる。
筋肉男「随分めり込んだな。一発で肝臓行っちまったか?」
最高硬度を誇っていた涼の腹筋は、今は力が込められないほどにダメージを受け、筋肉男の膝をあっけなく受け入れていた。
涼「アッ……アッ……!!」
じわじわ感じられてくる異質な痛みに、涼の理性と本能が壊れる。
ズボッ。ドサッ。
ビク、ビク……。
膝を抜かれ、涼はリングに落ちる。
肝臓部分が紫色に変色した、涼の腹。
涼「アガッ……あっ……」
涼は両手を腹、特に肝臓にあてがっている。
時々、ビクン、ビクンと痙攣。涼の口からは涎が流れ続け、目は焦点が定まらない。
筋肉男はそんな涼のそばに来る。見下ろす形となる。
涼(や……ばい)
焦点が合わずとも、視界の大きな影が筋肉男だとはすぐにわかる。
しかし、まもなくその影は消えた。
涼(……?)
ズッボッ!!!!
「はぁうぅえ!!!!」
筋肉男は照人の腹にボディを入れていた。
筋肉男「こいつが立ち上がるまで、代わりにお前のレバーやってやるよ」
グリュ!!
「アッ……!!!!」
加減した筋肉男のレバーブローは、最小ダメージで最大の痛みを照人に与える。
照人「あ……がっ……!!(思うように声が出ない!!)」
筋肉男「いい顔だ」
ズボッ!!!
「ひぎっ!!!あがっ……!!いたい……いたい……」
照人は懇願するように首を振る。
筋肉男「涼が立ち上がるまで、お前はやられ続ける。涼はお前を見捨てて、ねんねのままでいるのかもな」
グリュゥッ!!!!
「ぐええええ!!!!!」
涼(コイツ……!! 照人を精神的にも追いつめる気か……!!)
涼は痛みに震えながら、少しずつ足に、腕に、力を入れて、立ち上がろうとする。
涼「はあ……はあ……」
筋肉男「それでこそ、エキシビションだ」
ズボッ
照人「あぁっぅ…………」
涼はよろよろと筋肉男に向かう。ファイティングポーズもままならない状態で。
涼(舐めやがって……!!)
パチン。
涼の弱々しいパンチが筋肉男のわき腹に当たるが、まったく威力が伴っていない。
筋肉男「胃と肝臓はもう掃除終了だ。残りは……腸か?」
筋肉男の回し蹴り!!!
バキッ!!!
涼「うあっ!!!!」
わき腹に突き刺さった筋肉男の蹴り。
涼のわき腹は簡単に変形、そして涼の身体はリングの鉄網に飛ばされる。
涼「いってえ……」
涼は動けない。筋肉男の足音が近づいてくる。
……消えた。と思ったのも数瞬間でーーーー
グッチュッ!!!!!!!!!
涼「あぁあぁっあ!!!!!!!!!」
筋肉男の足がどてっぱらにめり込んでいく!!
筋肉男はジャンプし、そのまま涼の腹筋に着地したのだ。
グニュグニュグニュ…………
涼「はぁああああ!!!!!!!」
筋肉男の体重で、足は細身の腹筋をずぶずぶと陥没させていく。
涼「ふぶぅえぇ!!!!」
涼はついに吐血!!!
筋肉男「いい顔だ。これで臓物は一通り潰してやったぜ」
筋肉男は涼を軽々しく持ち上げる。
筋肉男「念には念を、膝でもう一遍!!」
ズドッ!!バコッ!!グチュッ!!ベキッ!!!ドゴッ!!ズブ!!!ズム!!!ドゴッ!!!
「はぁう、はぁぅえ、うぇぅえ!、うぶっえ!!ぇえぇっ!!うぐぇ!!ぇっっっ……」
10発、20発、50発、100発!!! 涼の腹を、余すところなく、強烈な膝で打ち込んでいく!!!!
涼の身体は、膝が打ち込まれるたびに激しく衝撃を受ける。
筋肉男「最高だ。どんどん柔らかくなっていく。もう泣きそうか? 無様だな。でも息子は元気みたいだな」
筋肉男にぶら下げられ、意識があるのかないのかもはっきりしない涼。自慢の腹は紫色に染まっている。
そして、死を察知した本能ゆえか、テントを張っている。
筋肉男「じゃあ最後に一発、やるか」
筋肉男は涼の肩を左手で押さえ、無理矢理に鉄網の前に立たせる。
筋肉男はそうして、右手で涼の胸筋と腹筋をまさぐる。乳首をつまむ。すると、涼のテントは痙攣を始める。
涼「んくっ………………」
筋肉男はそれと同時に、右腕を一気に引き、今までに見たことのないほどの力こぶを上腕に現す。
涼(やっべっ……!)
そして、打ち込んだ。
筋肉男「イっちまえ!!!!!」
ドッボォォォォォォォォォッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
涼「はぅぅぅうえええええ!!!……ん!! ん!!! ん!!!…………」
涼の意識は、絶頂と、想像を絶する痛みとによって限界を迎えた。
そしてパンツを貫通して発射された。
筋肉男「俺の完全勝利ってとこか」
めり込んだ拳を奥へ奥へと押し込むほど、発射の勢いは増していくのだった……。