よく言われる台本の読み方として

セリフとセリフの間を読め

と言われます。


芝居にとって重要なことは、セリフそのものではなく、
そのセリフを出すに至る感情がどうだったのか?という流れの表現になります。


お客さんって、セリフ自体に心を動かされるのではないんですね。


以前も1度ここでお話しましたが、

ば~かっ

というセリフ1つとっても、何通りもの言い方が出来ます。


でもそのテクニックを使い、言い方を変えれば、確かにそれらしくは聞こえますが、
それでは観ているお客さんに感動を与えることは出来ないんです。

例えば、夕暮れに飼っていたペットの墓前で、
そのやんちゃだけど、優しさを自分に与えてくれていた
ペットとの思い出を振り返って、ふいに出てきた

ば~かっ

ってセリフは、絶対気持ちが違うはずです!!!

お客さんに本当に伝えなきゃいけないのは、
自分とそのペットとの関係がどれだけ深かったのかなんです。

だって、それがこのふたつの関係に生まれた真実なんですから

その真実は、ただの言い回しだけでは伝わらないです。


私はやっているつもり…

残念ながら、それはあくまでも自己満足だけであって、
芝居はお客さんの心を動かして、始めて成立する芸術であり、エンターテイメントなんです。


役者が抱いたイメージを、感情を、きちんとお客さんに伝えなくては、心は動かせません。


そのセリフが出てきてしまった背景は、感情の流れは、セリフの中には書かれません。

それを役者自身で、書かれていない空白の部分から読み込まなきゃいけないんです。


この「役を掘り下げる」ということを中途半端にやってしまってしまうと
真実を伝える芝居が、フェイク「嘘」なものに成り下がってしまいます。


芝居という空間は、確かに嘘の世界です。
飛んだりビームを出したり出来ません。

でもそのストーリーの中では真実で、
その真実を伝えることが芝居なんです。



その真実が伝わったとき…
人の心は動きます。。。




ってなかんじで、今日はこのへんで!