ほとんど全ての国を対象にしたトランプ大統領の「相互関税」は世界中に大きな衝撃をもたらしています。
トランプ大統領曰く「関税ほど美しい言葉はない。関税によってアメリカは再び偉大な国として蘇る。若干の株価の変動はあるだろうが、長期的にはアメリカ人が金持ちになるチャンスだ」。
トランプ氏の説明によれば、今回の関税戦争によってアメリカは前代未聞の税収を外国企業から徴収できるので、その分をアメリカの国民に減税として還元できるとのこと。
しかし、大半のアメリカ国民はそんな勝手なトランプ節を信じていないようです。
最新の世論調査では、「トランプ大統領の対外通商政策は間違っている」と答えている国民が60%に達しているではありませんか。
そもそも、いわゆる「関税戦争」は目くらましに過ぎないとの指摘も聞こえてきます。
その代表格はトランプ政権1期目で補佐官を務めたバノン氏でしょう。
彼の見立てによれば、「トランプ大統領の関税戦争は得意の話題作りの一環で、真の狙いは3期目の大統領の座に向けての布石」に他ならないとのこと。
トランプ大統領は「シンゾーは素晴らしい男だった」と、故安倍首相を持ち上げながら、日本への24%の追加関税を発表しました。
日本政府は「同盟国への配慮に欠ける決定だ。断固として抗議し、修正を要求する」と述べていますが、トランプ大統領の真意を掴めていないようです。
石破首相は「早ければ来週にもトランプ大統領と電話会談を考えている」と悠長な構えに終始しています。
実は、トランプ大統領は同盟国であろうと、敵対国であろうと、区別する気はさらさらありません。
要は、アメリカの「黄金時代」を築くためには、敵味方関係なく、とにかくアメリカの言うことを聞かせようという発想の持ち主なのです。
トランプ氏とすれば、アメリカの最大のライバルとなった中国の習近平主席が3期目を経て、場合によっては「終身国家主席」を狙っているとも見られるため、自分も同じような長期政権を目指すと心に決めているとしか思えません。
実際、3月30日のNBC放送のインタビューに応えて「冗談ではなく、3期目の可能性はあり得るだろう」と率直に心情を吐露していました。
そのためには憲法の改正が必要になりますが、トランプ陣営は抜け道を考えています。
何かと言えば、2028年の大統領選挙ではバンス副大統領が大統領候補となり、トランプ氏は副大統領候補に回るという筋書きです。
そして、バンス大統領が誕生した暁には、権力をトランプ副大統領に移譲し、実質的な3期目のトランプ政権の発足になるというシナリオに他なりません。
日本を含め、今回発動された関税戦争はトランプ大統領が政権を去れば終焉し、より安定した通商貿易関係が復活すると期待する向きも多いようですが、そうは問屋が卸さないでしょう。
もし、2028年にホワイトハウスを去ることになれば、多数の訴訟案件を抱えるトラン
プ氏は即座に収監されるはずです。
そうした不名誉な末路を回避するには終身大統領で居続けるか、自分の身内を大統領に
就けることが必須条件になります。
そうしたトランプ氏の精神構造をしっかりと把握した上で、対米交渉を推進しなければ、日本はいつまで経っても属国のままでしょう。
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