鈴木あきひろ 一言日記 -150ページ目
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国際的な構造変化への対応

 パナソニック、ソニー、シャープ・・・ かつての日本の製造業を代表する企業が、テレビの不振で過去最大の赤字を計上。半導体の国策企業のエルピーダメモリは経営危機に陥りました。自動車各社も世界最大のマーケットである中国で、欧米メーカーに出遅れています。

 なぜ日本企業の競争力は急激に低下したのか、その答えは「国際的な構造変化への対応が遅れた」のが主な原因と、今年のものづくり白書で指摘されている通り、アジアの新興国市場のニーズに対しての対応が遅れており、技術力はあるのに、中途半端な状況に陥っております。

 新興国企業が低コストで大量生産が可能になり、米アップルのように、製品の企画や開発のみに集中して、製品組み立ては委託するケースが増えてきており、日本の強みであった、製品の企画・開発から製造までのフルセット型の体制を見直すことも必要となってきております。

 生産拠点の海外移転が加速すると、国内の空洞化が進み、雇用が減少し、日本の強みである集積力の低下につながりますが、そうした中で白書は、海外拠点を支援する国内の「マザー機能」の強化の必要性を指摘し、各企業に対し、研究開発や基幹工場の充実に力を注ぐべきとしております。

 この場合、これまで組み立てなどの単純労働の方々の雇用をどう考えていくか、慎重な対応が求められます。

 東京都において、こうした課題に積極的に取り組んで参ります。

集積維持・連携強化へ 東京都と大田区の連携

 日本のものづくり産業の強みは、中小零細企業の技術力の高さと、その集積であります。その集積が、円高デフレにより、かつてない苦境に立たされている今、その集積を守るため、東京都が各市区町村と連携して、「ものづくり産業集積強化支援事業」を立ち上げました。正に私たちが強く働きかけてきた事業であり、その事業でまず承認したのが、大田区の「ものづくり工場立地設備投資助成事業」です。

 工場の立地と設備投資の助成を通じて製造業の集積を維持し、ものづくり力の強化を目指しています。都と区が連携して、このような喫緊の課題に迅速に対応していく取り組みを、今後も積み重ねていって欲しいと思います。

 更に大田区は、三棟目となる工場アパート「OTAテクノCORE」を東糀谷6丁目に開設しました。国際戦略総合特区の指定を受けている羽田空港跡地に近く、工場アパートでの企業の集積維持と連携強化が、アジア圏企業との取引につながるように期待しております。因みに工場アパートは、シンガポールの不動産投資企業の所有で、区は建物ごと20年間借り上げて、各区画を中小企業に貸し出しています。こうした取り組みは初めてでありますが、海外を視野に入れた的を射たものであると思っています。

道路切削水の処理について

 私たちが日常茶飯事的に目にしている公道での工事。工事には、道路下の埋設物の工事であったり、道路そのものの工事であったり、様々な種類がありますが、そのたびごとに、道路を切削するわけであり、その際に出る切削物及び切削水は、近くの下水道に垂れ流されていたことを皆様ご存知でしたでしょうか?

 私はこの問題に、数年前から取り組んで参りました。下水道の処理能力の許容範囲であり、環境基準の水質のPh値にも問題がないということで、続けられてきたわけですが、道路を切削し下水に流せば、必ず切削汚泥が出ます。

 それを税金で処理すれば、汚泥を減らす方向には行かず、廃棄物処理の排出者責任の理念にも反します。

 今回の原発事故で、放射能汚泥の問題がクローズアップされました。この放射能汚泥は全て埋め立てられ、リサイクル(①石灰系焼却灰の特性を利用した土地改良材 ②高分子系焼却灰を利用したアスファルトフィラーやセメントの原材)としては使われません。こうしたことを考えても、そもそも下水の処理能力の範囲であり、環境基準を満たしているからと言って、排出者責任が問われないのは、問題であると思われます。

 今回国への地道な働きを続けてきたことにより、遂に法改正がなされ、7月に国が見直しの指針を示すことになりました。これを受け、東京都も直ぐに切削水の処理の指針を改めました。東京都の迅速な対応に心から敬意を表します。

 これから環境に対する考え方は、合理的では済まされません。全てにおいて、説明責任が果たされるような取り組みこそ重要であり、そうした積み重ねが子供たち世代への環境に対する責任であると思っております。

 今後ともこうした粘り強い地道な活動を、積み上げてまいります。

所在不明な子供たち

 皆さんご存知ですか?

 現在この日本の中で、住民票がありながら一年以上安否不明な小中学生が、1191人(平成24年7月現在 文科省発表)もいることを。

関東一都六県でも役500人、東京においては約200人もいるのです。その理由として、配偶者の暴力(ドメスティックバイオレンス:DV)から母子で逃避したり、学校などに連絡しないまま外国籍の親と出国したりといったケースがあげられると言われております。

 DVからの逃避とみられるケースについては、個人情報の扱いに大きな課題があります。不明の子供を、児童虐待と同じ「要保護児童」と位置づけ、教育現場と福祉現場の連携で、積極的に取り組んでいくことが必要であります。

 全国で1000人以上もの不明な子供たちがいることに、大変な驚きを感じますが、このことは子供たちの命に関わることであり、組織や個人情報の壁に躊躇することなく、各自治体が果断に取り組んでいっていただきたいと切望します。

政治の使命とは?

 先日ある大学生の集まりに出席した。知り合いの後輩がそこのサークルのメンバーで、ぜひ話を聞かせてほしいとのことだった。内容は、東日本大震災後の復旧・復興、そして原発問題について、また高齢者対策など多岐に渡って語り合った。

 その中で、被災地の復旧・復興について、大学生が一番感じているのが、未曽有の災害でその被害の大きさがあまりにも甚大であることは理解しながらも、その進み具合が大変遅いのではないかということであった。

 私は、かつての後藤新平が中心となって取り組んだ帝都復興事業、また石原信雄官房副長官が村山総理の信任の元に取り組んだ阪神淡路大震災の例を引いて、こうした復旧・復興には、明確に中心となる者を据え、窓口を簡素化して、極力細部は口出しせず、全体の方針、復興のビジョンをしっかりと共有して取り組んでいくことが大切であると我が国は学んで来ているのに、今回だけはそれが全く機能していない事が、大幅な遅れの原因となっていると説明した。

また、原発問題については、慎重な対応が必要である。私たちの社会において何よりも大切にしなくてはならないもの、それは人の命であり、今回その命が、驚くべき脆弱な安全神話になおざりにされてきたことに、誰もが驚きと憤りを感じずにはいられなかった。

 ただ、そうした重い現実(これは正に政治の不作為であり、重く受け止めなくてはならないことであるが、この原子力政策を我が国のエネルギー政策の柱の一つとして取り組んできたことには一定の理解ができる。)を受け止め、今後を冷静に判断することが重要で、だからこそ脱原発でいいのかとも考えるべく、彼らに話をさせてもらった。

 彼らからは様々な意見が出てきたが、その中で、自分たちもこれからのこの国の政治や社会に責任を持っていくことが重要であるということにまとまった。

 大切な問題を多岐に渡って話し合えた大変有意義な時間を過ごさせてもらった。

 我が家の子供達と同年代の彼らと語り合う中で、彼らの普段感じさせない真剣さや頼もしさに触れ、私自身、世代を超えて情報発信をしていくことの大切さを実感した。また私たちの仕事の責任の重さも痛感した。


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