少林サッカー〜男ならパンツを被って笑われても立ち上がれ!〜 | 明日から真似したくなる漢の映画

明日から真似したくなる漢の映画

男子総草食化が叫ばれる、昨今。
男なら明日から真似したくなる映画を紹介していきます。
たとえ真似したところで、明日が全然変わらないにしてもだ!

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~蹴球是功夫!人生オフサイドのイレブン達のキックオフが、今始まる!~

最高のスポーツ映画とは何か?
そんなもん決まってんでしょ!
少林サッカーでしょうが!!
…と、北の国からの田中邦衛の物真似で答える準備をしているものの、誰も聞いちゃくれないので今日は少林サッカーについて書こうと思います。
未見の方に手っ取り早く説明しろと言われたら、
サッカーボールが飛ぶ!
ついでに人も飛ぶ!!
物理法則を超えて!
そんなジョン川平も白目を剥いて失神するような映画。
それが少林サッカーです。

思えば公開同時「君はまだ究極のサッカーを知らない」というキャッチコピーに痺れたもんです。
そんでサッカーを多少かじっていた知り合いになんかヤバいサッカー映画が来たぞ!香港から!!と熱っぽく誘ったら、彼もサッカーという競技に真面目に思い入れがあったのでしょう。
「あんなのサッカー映画じゃねえだろ!ていうか、そもそもサッカーやってないじゃん!
と言われ「そういうつまらないこと言ってっから童貞なんだよ!」
と俺もキレたもんです。
まあ俺も童貞だったんですけどもね。
そんな童貞だった俺でも、現実のサッカーがこれ位だったら、視聴率も150%になるんじゃねえか…と思わせたもんです。
というわけで、気になるあらすじ。

主人公は鋼鉄の足と呼ばれる少林拳の達人シン。
彼は少林拳を普及させる為に主にバイトをする、くすぶった日々を送っていた。
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ある日、聞いてもいないのに無職のオッサンにカンフーの素晴らしさを説明するシン。
このおっさん=ファン、サッカーの花形選手として活躍していたが、ある事件がキッカケで選手生命を断たれた過去があった。
今では落ちぶれてしまい、かつての同僚で今ではサッカー界のドンに成り上がったやしきたかじんソックリの同僚にコキ使われ辛酸を舐めていたのだ。
やさぐれているのも手伝ってか、シンの話を全力でスルーするファン。
それでもカンフー馬鹿のシンはめげない。
だが歌で少林拳を広めようと、かつての兄弟子と音楽デュオなんかをするものの客にブン殴られたり己のアイデアを中々活かせないでいた。
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しまいには兄弟子に「カンフーで飯が食えるか‼︎」とまで言い放たれる。
事実、近所の屋台にて太極拳で饅頭を作る娘ムイにツケを3秒で断られるなど貧窮を極めていた。
一方、ひょんなことからシンが蹴り飛ばしたチューハイの缶が壁にめり込んでるのを発見したファン。
タイミング良く壁が崩れると、絡まれたチンピラ達に「ボールは友達」ならぬ「ボールはカンフー」精神を叩き込むシンの姿が!
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改めて驚異の脚力を目の当たりにしたファンはサッカーへの情熱を取り戻し、シンをストライカーに据えたサッカーチーム結成を決意する。
一方のシンも「そうか!サッカーを通じて少林拳を世に広められる!」と、3秒で合意するのだった。
だが、サッカーは一人ではできない。
かつての兄弟子達をチームへスカウトすべくシンとファンであったが、兄弟子たちもサッカーどころではなかった。
だが、かつて一緒にカンフーで汗を流した想いが彼らの胸に去来する。

泥水をすするような毎日。
このままで良いのか?
良くないだろ!

何やかんやでシンの熱意に打たれた兄弟子たちは仕事やら何やらを投げ捨て合流するのだった。
サッカーのルールは解らないけど!
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こうして人生を大幅にオフサイドした男たちのキックオフが始まるのだった

かつての少林寺のカンフーマスターが全力でサッカーをやる、この作品。
カンフーマスターといっても、ハゲ、平社員、おっさん、無職、老け顔、デブ…
という普通に求人かけてもでもなかなか集められないメンツが揃う
脇役もオカマ、近所の馬鹿と、画面に映るのは汚いもんばっかだ。
見ようによっては悲惨な人物ばっかだが、そんなメンツが一致団結するので、いっそ清々しいという奇跡が、この映画にはある。
あるいは、いきなりバナナで滑るなどの模写をブッコむ。
このベタさ。
冷静に考えて、この21世紀の現在においても類を見ない模写ですよ。

肝心の試合でもメンバーのおっさんに至っては平気でマウンドでタバコとか吸ってますからね。

真面目なサッカーファンなら、バカ映画と一蹴するかもしれないが、じゃあアンタ、シュートして虎が出るのか?出ないだろ!?と。
そういうことですよ。
もうバカというのも野暮なんじゃねえか?そう思わせるパワーがある。
ちなみに、この作品を鑑賞した後、フットサルに人数合わせで呼ばれたのだが、ブルースリー似のゴールキーパーの真似をしてフットサルで小指が折れたもんです。
今になってみればいい思い出だ(これは馬鹿です)
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コメディ模写やら香港らしい人間離れした技を見せてくれるわけだが、この作品の魅力は世の中的にドン底と言われるであろう面々がサッカーと少林拳を通じて自らの人生を再生していく点にある。
何かしらで日の目を見ない人間。
そういう色々くすぶらせている人間こそ震える。
特にパンツを被らせるという屈辱を受け、それまで封印していた少林拳を開放するシーン。
ルール無用の泥試合になり、ボコボコにされる少林拳のメンバー。
たまらずシンが「こんなのサッカーじゃない!戦争だ!」と言われ「サッカーは戦争なんだ!」と返すファン。
思わず相手に白旗ならぬ白パンツを振る少林拳のメンバー。
そんなメンバーに「俺のパンツを被ったら許してやる」と無慈悲に相手チームは告げるのだった。
結果、泣きながらパンツを被るおっさん。
ゲラゲラと笑われ、何も言えないメンバー。
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あまりの惨状に監督のファンも、そして観ているコチラも目を伏せてしまう。
その時!
雲の流れが変わる!!
そんで何処からか聞こえるお経!
何が起きたかと思うと、各々が構えを披露しているのだった。
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一人に至ってはブルースリーになってるし。
もう周りも唖然としている。
おもむろに「帰ってきた」と呟くとシン。
ここからダメ人間たちの快進撃が始まる!
それまでサッカーのサの字も知らなかったメンツが、いよいよ己の技を使ってチームとしてまとまる、この流れ。
人間、やはり一度はパンツを被せられる位の屈辱を受けて立ち上がるのが大事なんだなあ・・・と観る者に思わせてくれる。
これは漢なら真似したくなる姿勢だ。
俺も他人のパンツを被り笑われるような毎日を送っているおかげか、グッと来てしまう。

スポーツしよう!!というより少林寺に行こう!となってしまうのが困っちゃう映画であるが、だとしても今自分がどん底だと感じている人間にこそ観ていただきたい、明日から真似したくなる漢のスポーツ映画である。


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