私は北条早雲(ほうじょうそううん)の子・幻庵(げんあん)です。
(早雲は伊勢早雲(いせそううん)と名乗っています。)
明応地震で被害を受けた領内を立て直すために民とともに動いていた早雲は民の1人、茂吉(もきち)から相模国の話を聞きました。
茂吉「御館様、わしの弟が相模で米作っていますが、伊豆に移りたいと言うとります。」
早雲「相模から伊豆に。それは何故だ?」
茂吉「相模では納める年貢米の領も多く、生活が苦しいし、この地震で相模の殿様は何もしてくれんと嘆いております。わしらの御館様の話をしたら、是非伊豆に移りたいって言いだしたんです。」
早雲「相模の殿様とは誰か?」
茂吉「小田原城の大森藤頼(おおもりふじより)様です。」
早雲「この地震の被害で困っている民を放っておくとは…小田原はどうなっているのか?茂吉、わしが相模を調べてみよう。茂吉の弟には今しばらく待つように伝えるのだぞ。」
茂吉「御館様、ありがとうございます。」
早雲は忍びの小太郎(こたろう)を呼びました。
早雲「相模の小田原城下の領内を調べる。わし自らが行くから一緒に来てくれ。」
小太郎「御館様が?調べるなら俺たちが…」
早雲「いや、わが目で見てみたいのだ。」
早雲は伊豆国の領内の地震被害の復旧を家臣に指示し任せ、小太郎とともに相模へ向かいました。
相模の大森氏は相模の国人で扇谷上杉家(おうぎがやつうえすぎけ)の家臣です。
当主の大森藤頼殿は1494年に家督を継いだばかりでした。
相模国に入った早雲は唖然としました。
あちこちで地震被害にあった民が倒れていたのです。
早雲「これはひどい…。」
早雲と小太郎はできる限りの治療をしました。
小太郎「伊豆とは大違いですね。大森さんは何をしているんだろう⁈ 」
早雲と小太郎は小田原城へ向かいました。
2人は夜半に小田原城内へ忍び込みました。そこで見たのは酒宴をしている武士たちでした…。
つづく…
次回をお楽しみに〜