●「食べないと元気になれない」は嘘
栄養が不足すれば、健康は損なわれます。
疲れた時、病気になった時、回復するには栄養を摂らなければなりません。
改めて言うまでもないことでしょう。
しかし、時には、「食べないほうがいい」と言うこともあります。
食べれば体力がつく、と盲信していれば、却って体調が悪くなるケースが少なくないのです。
例えば、風邪をひいた時は食欲が落ちます。
食べなくても何ら苦痛は感じません。
そうした現象が何故起こるのかと言えば、余計なエネルギーを使わない為です。
物を食べ、消化・吸収する時には、大きなエネルギーが使われます。
ウイルスとの戦いに勝つ為には、できるだけ多くのエネルギーを戦いに費やさなければなりません。
その為に脳が「食べるな」と言う指令を発し、結果、食欲が減退するのです。
風邪をひいて食欲がない時に「食べないと元j気になれない」等と無理に栄養を摂るのは、回復を遅らせる行為に他なりません。
食べるのは、食欲が出てきてからでも遅くはないのです。
回復してくれば、食欲はおのずと出てきます。
焦ることはありません。
或いは、うつ病になった時も食欲は落ちます。
食欲不振が長期化すれば、体力は落ちるから、これは食べなければいけません。
しかし、うつ病になって食欲が落ちた時、真っ先にすべきなのは、うつ病の治療です。
「食べないと元気になれない」などと無理して食べ続けていても、問題は解決されません。
むしろ、事態は悪化するでしょう。
「食べなければいけない」「でも食べられない」という葛藤は、うつ病を悪化させる要因となります。
人間は、食べなければ生きていけません。
人類の歴史は、飢餓との戦いの歴史でもあったとも言えます。
要するに、脳が「食べるな」と言うサインを出すのは、余程の緊急事態であるわけです。
その緊急事態を解決する方法は「食べること」ではないのは明白でしょう。
病気になったわけではないのに、どうも食欲が湧かない―。
そういう時も無理して食べる必要はありません。
人類は飢餓との戦いの歴史でもあるので、人体は餓えに耐えられるように設計されているということです。
飢餓の心配がない現代の日本は、人類の歴史から見れば「異常な環境」だと言えるでしょう。
当然のことながら「栄養過多」や「胃腸の過負担」に対して、脳が警告を発するケースも出てきます。
そうした警告に忠実であるべき。
簡単に言えば、食べたくない時は、食べなければいいのです。
原因の分からない食欲不振が1週間以上も続いたら、これは内科を受診し、医師の診断を仰ぐ必要があります。
しかし、1日、2日程度の食欲不振なら、無理をする必要はありません。
食べないと体が弱くなる。
食べれば体力がつく。
いずれも嘘ではないが、これは「栄養不足の時代」から言われ続けてきたことです。
状況が大きく変わった今日では、割り引いて受け止める必要があります。
食事は健康維持には欠かせないものですが、「食べないと元気になれない」 「食べないと体力がつかない」と言うのは、すべての人、すべての状況に当てはまる事ではないのです。
幸食研究所 ひふみ塾
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