マウナケアは誰のもの? | 光のハワイ日記

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ハワイ島在住フリーランスライター相原光のハワイ情報。Webマガジン「MY LOHAS」、総合旅行サイト「トラベルコちゃん」などに記事を書いています。電子書籍版「光のハワイ島日記」BOOKWALKERで独占先行発売中!夫婦で営む玄米寿司店「ドラゴンキッチン」は8年目に入りました。

今、ハワイでは、

マウナケア山頂での巨大天文台の建設が、

ものすごく大きな問題となっております。

日本では話題になっているのでしょうか?


このブログを読んでいる方は、

知らない方が多いと思うので、

以下、簡単に説明します。




「マウナ・ケア」とは、

ハワイ島にある休火山で、

標高約4,205メートル。

ハワイ最高峰で、

富士山より高い山です。




マウナ・ケアは、ハワイアンにとって最も重要な聖地のひとつでもあります。

ハワイアンたちは、極めて聖なる場所として山を保護してきました。

長年に渡って、儀式や埋葬が行われてきた場所であり、

山に入ることは厳しく制限されてきたのです。




マウナ・ケアには4姉妹の女神が住んでおり、

山頂には雪の女神「ポリアフ」が住んでいます。


また、マウナ・ケアは貴重な自然資源が残る場所でもあり、

現在は自然保護区に指定されています。




ところが、

その聖なる山の山頂に、

世界最大の望遠鏡が建設されることになりました。




マウナ・ケア山頂は、

その高さにも関わらず気候が安定しており、

国際空港から車でアクセスできるという便利さもあり、

北半球で最も天体観測に適した場所として、

この50年ほどで13基もの天体望遠鏡が立ち並ぶことになったのです。



そして、今回問題となっているのは、新たな天体望遠鏡。

本来は、これ以上新しい望遠鏡を作る場合、

既存の望遠鏡を壊すという取り決めがあるにも関わらず、

史上最大の光学赤外線望遠鏡「TMTThirty Meter Telescope)」の建設が決定してしまいました。



この望遠鏡がどれくらい大きいかというと、

主鏡の口径が30メートルあります。

(ちなみに、日本がマウナ・ケアに建設した「すばる」の口径が8.2メートル。)

建物は地上18階建て(地下も有り)で、

高さは約56メートル(地下6メートル)。

オフィスと駐車場合わせて約195平方メートルを占有することになります。


TMTは、アメリカ・カナダ・中国・インド・日本の5か国共同プロジェクトで

総工費は14億ドル(約1500億円)。




その工事がいよいよ始まったのですが、
ハワイアンを中心とした多くの人たちが、
聖地を守るために立ち上がりました。




工事に反対する人たち約100人が、

330日からマウナ・ケア山頂へのアクセス道路封鎖を開始。

工事の作業員らが山頂の建設地に行くのを防いでいました。

そして43日、山頂付近で抗議者31人が逮捕されてしまったのです。




この逮捕の際、
あたりはハワイアン・チャントの詠唱に包まれ、
人々は自ら進んで警察に手を差出しました。

逮捕の前に、警察官と額を寄せ合うハワイ式の挨拶(息の交換)をする姿もありました。

後に残った人たちは、祈りの輪を作り、数人の警察官もその中に加わりました。




アロハに満ち溢れたこの逮捕によって、

反対運動が急激に大きくなり始めました。

411日のメリーモナークのパレードには、マウナ・ケアを守るために約400人がパレードに参加。

412日には、オアフ島イオラニ宮殿に3,000人が集まりました。

ハワイ知事は工事の一時中止を宣言しています。




そんなわけで、

2週間ほど工事が中断されていたのですが、

420日(今日)から再開されることになっております。



工事に反対している人たちは、

自らを「プロテスター」ではなく「プロテクター」と名乗っています。

そして、科学技術に反対しているわけではないことを強調しています。

建設場所が問題なのです。

アロハな抗議運動は、ハワイだけでなくアメリカ本土を含めて世界中に広がりつつあります。


というわけで、

長い説明になってしまいましたが、

概要が伝わりましたら幸いです。



私はTMTプロジェクトに反対しています。

だからこそ、このことを書いたのですが、

私の意見まで書くとややこしくなるので今回は割愛しました。

意見などは、今後の経過も含めて書いていきます。

とにかく、いまハワイで起こっていることを知ってほしい。

その気持ちでいっぱいです。




>プロテクト・マウナ・ケア

http://www.protectmaunakea.org/

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TMTに関する情報はこちら

・日本のサイト http://tmt.nao.ac.jp/

・公式サイト(英語) http://www.tmt.org/


>実際に反対運動に参加している数少ない日本人Kaiさんが、

ブログ で詳細を書いています。