昨日はどうしてか
一睡もできずに焦っていた。

突然、私の呼吸が
何かを知らせるみたいに音を立てた。
まるで、息をするのも やっとみたいに。

長い夜が明ける頃
大好きな親戚のおじちゃんが亡くなった。

幼い頃から大好きだった。
お家に遊びに行くのが毎回楽しみで
私の特等席は、いつだって
あぐらをかいたおじちゃんのお膝の上だった。

聡明で、優しくて
思い出すだけでも、心があったかくなる。
いつだって、いっぱい遊んでくれた。
おじちゃんが怒った姿を
私は一度も見たことがない。

にこにこして、多くを語らないおじちゃんは
人生で出会った人の中で
たぶん、一番言葉数が少ない人でもあった。

大人になって知ったことは
おじちゃんが
トップに立ってみんなを導き
毎日のように、大勢の前で
話をするような仕事をしていることだった。


思い返せば、夜ご飯を食べた後は
よくウトウトと居眠りをしていた。
あぐらの中におさまっている幼い私を
支えながら。

いつも遅くまで働いていたから
きっと、疲れていたんだなぁと
今になれば分かる。

あぁ、かっこいいって、こういうことだ。


今、おじちゃんのそばにいるよ。
スーツ姿で
お気に入りのネクタイをしているけど

どこにも行かないで



2024 5.7