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ベッソン久しぶりのクリティカルヒット!

C2019 SUMMIT ENTERTAINMENT,LLC. 

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ANNA/アナ


モスクワの市場でモデルにスカウトされ、パリにやってきたアナ(サッシャ・ルス)。モデル事務所の共同経営者であるロシア人商人と親しくなるが、アナの本当の狙いは武器商人の裏の顔を持つ彼の殺害。幼い頃に軍人だった両親を亡くしてから転落人生を歩んでいたアナだったが、今はKGBのスパイとして任務を遂行していたのだった。


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ベッソン近作の、いわゆるスパイアクションを初見。ロシアの女性スパイ、というと「ブラック・ウィドウ」「レッド・スパロー」を思い出す。似てるのは、多くの人がロシアに対して画一なイメージを共有しているからなのだろう。


共通しているのは「自由」である。自由を求める主人公の孤独な闘いに敵対国の諜報組織が介入して…となると展開が読めそうなものだが、そう素直にはいかない。裏の裏の裏をかく。ベッソンの脚本が冴える快作。これは面白い。


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先入観なのだろう、社会主義っていうものに対する。国のために一致団結。そのためには個人の自由など捨てる。それが回り回って個人の暮らしを豊かにする、と。アナやエージェントの自由を束縛するKGB長官はわかりやすい悪役。


自由主義の大国が「いいもの」然とアナに接近する。本当か、と「待った」をかけるあたりがヨーロッパ目線を持てるベッソンならでは。結果、ありがちだけど一味違うスパイアクションに。ベッソン久々のクリティカルヒット。


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主演のルスはお初。画像の通り、姿形は状況ごとに目まぐるしく変わる。「アデル」のブルゴワンもそうだが、実績、人気に引きずられずにキャラにハマる「必要な」俳優を探し出すベッソンの目利きの腕は確か。これからが楽しみ。


本作、未知数なルスのサポート陣が豪華。KGBのエージェントにルーク・エヴァンス、CIAのエージェントにキリアン・マーフィー、アナのKGBのボスには絶好調ヘレン・ミレン。エヴァンスとミレンは「ワイスピ」では親子じゃんか。


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自分の居場所を求め、自由を求める主人公。資本主義国家で自由を謳歌している我々には他人事なのか。政治や法は自由を保障している。なのに、常識や同調にビクビクしている我々は、自ら自由を放棄してはいないだろうか。


本当の自由を手に入れようともがく主人公に僕は共感を覚える。少なくとも自分の人生を他人に勝手に決められるのは御免だ。他の誰でもない。僕は僕なのだから。



 DATA

監督・脚本・製作:リュック・ベッソン/音楽:エリック・セラ

出演:サッシャ・ルス/ルーク・エヴァンス/キリアン・マーフィー/レラ・アボヴァ/アレクサンドル・ペトロフ/ヘレン・ミレン



hiroでした。



ブラック・ウィドウ←アベンジャーズは元スパイ


レッド・スパロー←リアルなスパイミッション