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光と影、表と裏

(C)Universal Pictures

アス


リゾート地サンタクルーズの遊園地にあるミラーハウスで自分とそっくりな少女と出会ったアデレード(マディソン・カリー/ルピタ・ニョンゴ)はショックで失語症になる。時は過ぎ、症状を克服し、ゲイヴ(ウィンストン・デューク)と結婚して2人の子の母となったアデレードだったが、家族で再び訪れたサンタクルーズで自分達とそっくりな4人家族の襲撃を受ける。


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ゲットアウト」チームが再集結したブラムハウス作品を初見。ホラーか、いやジョーダン・ピールならきっとスリラーだ…などと想像を巡らしてみたけど、中盤までは正解。終盤はまったく想像してなかった展開。その辺、ブラムはお手のもの。


そういうのは嫌いじゃない。むしろ好物なのだが、この展開はどうだろう。「そっち行っちゃった?」的な。そっち行った後も最後のオチも予想の範囲。「ゲットアウト」が傑作だったので、ハードルが上がってたとは思うけど。


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それでもさすがはジョーダン・ピール。本作でもちゃんとテーマを敷いてある。「ゲットアウト」は差別社会を逆手に取った裏の恐怖だった。本作も表と裏。自分は表だとふつうに思っている人の足もとを掬うような世界観である。


恐怖は襲われる側にある。多くの方が自然とアデレード家族の側に立ってこのスリラーを堪能する。実はこの迷うことない「自然さ」が落とし穴。自分は表なのか裏なのか。「そっくりな者たち」は表裏の象徴である。


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2013年「それでも夜は明ける」で大ブレイクのニョンゴ。「スターウォーズ」シリーズを経て2018年には「ブラックパンサー」で主要キャラに。トントン拍子なのもうなずける存在感。2022年公開の「355」も大注目。


夫役デュークは「ブラックパンサー」シリーズにも出演。ニョンゴとの共演が多い。「マトリックス/レザレクションズ」のニュー・モーフィアス役ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世を発見。「アクアマン」のレギュラーでもある。


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アデレードのそっくりさん、アデレードに説明なんて必要だったのかしら。昔のことなんで忘れてました、ということなの? 辻褄合わないのはままあることだし気にならないけど、冒頭とオチがストーリーのコアだとしたら、ちょい雑味。


ま、結論としては「そっち?」に尽きる。ホラーっぽい導入からの謎の4人の登場。幽霊でもなく、実態はあるけどモンスターとも違う。モンスタースリラーで押し切ったほうが怖かったかも。少し残念だったかな。



 DATA

監督・脚本・製作:ジョーダン・ピール/製作:ジェイソン・ブラム/ショーン・マッキトリック

出演:ルピタ・ニョンゴ/ウィンストン・デューク/シャハディ・ライト・ジョゼフ/エヴァン・アレックス/エリザベス・モス/ティム・ハイデッカー/ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世/マディソン・カリー



hiroでした。



ゲットアウト←ピール監督のブレイク作


ブラックパンサー←ニョンゴ+デューク共演


それでも夜は明ける←ニョンゴのブレイク作