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柳楽優弥もすごいが、あの男のせいだな

浅草キッド


浅草フランス座のオーナー深見千三郎(大泉洋)はストリップの合間に挟むコントで浅草の「笑い」を支えてきた。多数の大物コメディアンを輩出した老舗劇場もテレビの普及で客席は閑古鳥が鳴く。そんな時代、深見の弟子になりたいタケシ(柳楽優弥)がエレベーターボーイとして劇場で働いていた。



観光客で賑わう浅草寺や仲見世が表なら、裏にあたるのが浅草六区だ。今でこそ再開発により綺麗になったが、古くからストリップにギャンブル…昼間から酒臭い大衆文化の町である。その六区に君臨した劇場「フランス座」の物語。


再現された六区で「芸人」深見が躍動する。渥美清や萩本欽一、東八郎…、レジェンド級の浅草芸人を次々輩出。ツービートもそこに連なるのは有名。ところが座長深見の名は知られていない。劇場を手放し、工場仕事に就いていたとは。



「芸人だ、バカ野郎」…舞台芸人としてのプライドが自らの生活を苦しめる。深見の苦悩は芸人としてだけでなく、すべての働く人が一度は頭をよぎる。が、多くの人は生活を選ぶ。浅草の笑いを背負う深見の場合、答えは簡単ではない。


テレビか舞台か。テレビを選んだ人々は芸を捨てたのか。「笑われるんじゃねえ、笑わせるんだ」…テレビを選んでなお「笑わせる」ことにこだわったタケシはやはり深見の弟子。深見とタケシの相関がまるで名作「ゴッドファーザー」のように描かれる。



舞台の場数を踏んでいる大泉。この役は適任。コントのシーンはイキイキ。「世界のキタノ」を演じた柳楽。そのプレッシャーはいかばかりか。喋りの間やトーン、一挙手一投足がそっくり。松村邦洋による指導(一部声も)があったとか。


門脇麦は歌唱も披露。「さよならくちびる」でも思ったが本気で歌がうまい。鈴木保奈美はこういう役もいけるね。リアル浅草芸人ナイツの土屋伸之がナイスキャスティング。ビートきよしさんを知る人は歓喜。Creepy Nutsの二人がいた。



「世界のキタノ」の作品はピンとこない。芸人の苦労話も好きでない。何より劇団ひとりのキャラクターが苦手。刺さらないはずの本作なのだが、妙な余韻が残る。人間関係や恋愛などを極力削り落として「芸」に特化したのは正解。


柳楽の所作に吸い寄せられる。が、オリジナルを知っているからこそ。そういう意味ではオリジナルを知らないキャラクターを際立たせた大泉の話芸はトップクレジットにふさわしい。つまりこの余韻、#大泉のせいなのだ。



 DATA

監督・脚本:劇団ひとり/原作:ビートたけし

出演:大泉洋/柳楽優弥/門脇麦/土屋伸之/中島歩/古澤祐介/大島蓉子/尾上寛之/R-指定/DJ松永/風間杜夫/鈴木保奈美



hiroでした。

(画像は映画.comなどから引用)



ゲゲゲの鬼太郎←大泉出てたね(笑)


今日から俺は!←柳楽出てたね(笑)


さよならくちびる←門脇、歌うまの証明