Omotyaな日々 -2ページ目

Omotyaな日々

気ままな日常と物語を綴っています。

ブログを書くことということが久しぶり過ぎて……

仕様が全く変わっていて、オロオロししております。

 

久しぶりのブログですが、アメブロから作品を徐々に他の小説サイトさんへ移していきますというお知らせです。

 

まずは『ホテル万華鏡』を「小説家になろう」へ移します。

すでに一話は下書きにしてます。

リンク:ホテル万華鏡

 

今後、アメブロに新しい作品は投稿せず、途中で終わっているものの続きは他の小説サイトさんで投稿する予定です。

 

もしよかったら小説サイトさんへも来ていただけたら嬉しいです!

よろしくお願いします。

 

 

久々のブログで、お知らせですみません。。。

 

日常はまた投稿していきたい……

毎回長過ぎて途中で終わっているブログがちらほら。。。

今年中には……(遠い目

 

でもでも、皆さんのブログにはまた遊びに行きますので、今後もよろしくお願いします!

 

 

ほうふ しなこ

A…転活スタッフ
B…転活スタッフ
C…転活中


 大きな扉がある。
 その前に設置してある受付の机の前で、Aはうろうろしている。Bはぼぉっとしている。

A「暇だぁ。あぁ、暇だ」
B「仕方ないよ。ここ、人気ないもん」
A「人気ないにしても、限度ってのがあるだろ? あぁ、ほら、あっちはあんなに……あそこ、何に転生希望だっけ?」
B「あぁ、あそこ単細胞ブース。元々一斉転生だから多いけど、今さらに人気みたい」
A「派手な看板かかげやって。なになに? 『生まれ変わった瞬間、あなたの意思一つで、あなた好みに進化できます!』って、そうしなきゃ生きていけねぇだろ!」
B「仕方ないよ。それに、ここの進化はほぼ止まってるからねぇ。むしろ、退化しちゃってる機能もあるし。三回目の世界戦争で核爆発が起きちゃったのも、ここの人気を一気に落としちゃったよねぇ」
A「あぁ、それな。巻き込まれた方の身にもなれっての。身はもうないけど。はぁ、最近は転活せずに、留まるニートも多いな。とっとと何かに転生して出てってもらわないと……まあ、今氷河期? いや温暖化か? まあ、そんなんだから難しいけど」
B「実際生き残れるのは、あっちの方が確率は高いよね。僕ももし転生しようってなったら、あっちにするもん」
A「こっちの方が、知恵でいくらでも長く生き残りようがある気もするけどな」
B「仕方ないよ。進化は望めない、未来は真っ暗、ただ知恵を振り絞る苦しいだけの生命体なんて、給料低くてボーナスない、昇給ない、ただ残業多い企業と変わりないからねぇ」
A「夢のないことばっか言いやがって」
B「夢じゃ命は続かないよ。現実ってやつ」
A「てか、それを作ったのは全部ここだろ? 言葉ができて、発想力があって、本能以外にも理性ができて、一時期は、『仲間と共に、理性的に、知恵を出し合い、きらめく世界を創り上げよう!』って転活ですら、利用してたのにな」
B「人気者なんて、そんなもん」
A「下火になれば、見向きもされねぇってか。悲しいな」
B「Aは? ここに転生したことあるの?」
A「あるよ! だから、ここにいんだろ」
B「嫌な役回りをさせられてるって、本当は思ってんだろう?」
A「ま、まあ……たしかに、最初は」
B「僕も転生経験あるけど、正直おすすめできるかって言えば、そうでもないからさ」
A「ここの敗因は、まず俺ら今をここに配置したことだな」
B「でも、いないでしょ? ここを担当したがるスタッフなんて」
A「まあ……あぁ! やめよ、やめよ! もっと楽しいことを口にしよう」
B「例えば?」
A「例えばぁ……そうだな、ここになれば、できること、とか。知恵があるからさ、どんな風に生きていくかはどの生命体よりも幅広いと思わないか?」
B「うぅん、そう、かもね。環境が厳しければ、盗めるし、仲間にも攻撃できるし、宗教ってものにどっぷりハマって最後は……」
A「やめようか、この話」
B「え? いいけど」
A「じゃ、じゃあさ、いろいろなものが作れるじゃん、ここ。形があるものでも、ないものでも。おまえは、何か作ったものある?」
B「作ったもの? そうだなぁ……人生自体、もうそれぞれが作るよね」
A「おっ、いいね! そんな感じで。他は?」
B「他? 他は……遺書」
A「やめようか、この話」
B「別にいいけど」
A「やっぱ俺らにしたのがまずかったんだよ。なんでここにしたんだよ? 上は何考えてんだ」
B「何も考えてないんじゃない。彼らは安泰だもの」
A「ブースもだいぶ少なくなったよな」
B「絶滅した種も多いからね。ここの責任も結構あると思うよ?」
A「そう、だな」
B「今日はこの辺で片付けようか。転生したい魂も来なさそうだし……」
C「あ、あの」
B「え?」
A「あっ、ここに転生したい魂さんですか? よければこちらへ! あなたのご来訪をここは心の底、いや天よりも高く、地よりも深く、お待ちしておりましたよ!」
C「へっ、えっ、あ、はい……えぇ……ちょっとこわい」
B「その強引さもここが人気ない原因だと僕は思う……上はここを消したがってるんだな、きっと。僕もやる気なし」
C「あ、あの、ちょっとお話だけ……なんですけど、いいでしょうか?」
A「えっ? あ、はい、もちろんですよ! どんなことでも、親身になって、天地がひっくり返っても、お傍でお伺いしますから」
C「いや、そこまでしていただかなくても結構ですから……」
B「絶対にここは数年後ないね」
A「B、何ぶつぶつ言ってんだよ? せっかくの転生希望の魂様だぞ? 歓迎しなければ!」
B「いや、かなぁり引かれているぞ? 気付け?」
A「ご希望ならば明日からでも転生し、生命を謳歌できますよ」
C「謳歌はできませんよね、ここ。きっとまずは母親という存在にご迷惑でしょうから」
A「ッ……あんた……」
C「あっ、私は数年前までここで生命体でした。でも、やはりうまくいかなくて……しばらく転生はしたくないって思っていたんですが、……どうしてもまた会いたいと思う生命がいまして」
B「会いたい?」
C「はい。私の恋人だった生命です。その方はまだご存命で、新しい恋人……今はご結婚もされているんですけど、新しい命が宿る予定なんです」
A「もしかして、その命になりたい、と?」
C「……それは、難しいでしょうか?」
B「基本的には、どの方の元に生命体として転生するかはこちらでは分かりかねます。確かに人気のない生命体ではありますが、以前縁のある方のお近くに転生できるかまでは……」
C「そう、なんですね、やっぱり」
A「でも、あんたはそれでいいのか?」
B「ちょっと……転生希望の魂様だよ? あんたはっていうのはさすがに……」
A「たしかに転生したら、以前の記憶は一切合切ないが、それでも辛いだろ?」
B「ちょっとA! 失礼だよ! 申し訳ありません」
C「辛いです。今でも」
A「じゃあ、なんで?」
C「なんで、なんでしょうね……もう二度と、この生命体には転生したくないって思っていたのに、だんだん……まるで呼ばれている気がして……突然、すごく会いたいって思ったんです」
B「……僕は、感覚だけでこの生命体に転生するのはお勧めしません。ここは以前よりもはるかに厳しい状況下で生きていかなければならない。それでもあなたは、ここで、生きていく覚悟はあるのですか?」
A「B……俺よりもかなり厳しいこと言ってるぞ?」
C「正直、ないです。もう本当にここは辛いと思うので……でも、それ以上にここが生きていく場所だと思う自分がいるんです。だから、経験のあるあなた方に伺おうと思い、ここへ来たんです」
B「僕は、もう二度とここに転生したくないと思っています。辛くて悲しいことが刻まれている。怖いです。何十年経った今でも、です。だから、僕はここでこうして留まっている」
C「そうなんですね……あなたは?」
A「俺は……俺も、同じです。気付けば、こっちに来ていた。三回目の核が落ちた後です。いろいろと経験したことがあるはずなのに、Bと違って何も憶えていない。ただ……」
C「ただ?」
A「誰かが、ものすごく嬉しそうに俺を迎えてくれた顔が時々ちらつくんです。誰かは憶えていないし、思い出したところでどうにかなるもんでもないけど。それでも、なぜか自然とここに惹かれる」


 Aは大きな扉を振り返る。BとCもそれに倣う。

C「……会いたいなぁ」
A「ちょっと待ってろ。上にかけ合ってみる」
B「ちょっ……! そんなことしても、無理に決まってんだろ?」
A「無理を押し切ってきただろ?」
B「そんなことしたことない! それはおまえの……おまえの、前の記憶?」
A「……俺の、記憶?」
C「いいです。そんなことしなくても。私は、ここにします。もし、彼らの子どもとして生まれ変われなくても、苦しんでも、やっぱりここがいいです」
B「苦しんで……なんで? なんでそうまでして生きていきたい? ここにいればいいじゃないか? 魂ニートでいいじゃないか! それか、あっちの、人気のある楽な方でいいじゃないか? 生きていくのには変わりなんだから!」
C「楽な生命体なんてないと思うんです。きっとまたここに戻ってくると思います。そして、またここがいいと、懲りずに思うんです」
B「なんで……なんで?」
C「『あなたに会えて良かった』って瞬間が、必ずあるから」
A「では、転生合意欄にチェックを。あなたの生命を魂全力で応援しています!」
C「ありがとうございます。ここに来て、良かった」


 扉が開く。Cは、そこをゆっくりと潜る。Cの姿が消える。


B「馬鹿だよ……本当にあいつは……ここに来る連中は、いつも思うけど大馬鹿ばっかだ」
A「なぁ、B」
B「あんたもそう思うだろ? この扉の前は楽だし……」
A「俺も、ここにチェックした」
B「え?」
A「おまえと会えて、良かったよ」
B「なんで? どうしてだよ? 今までとなんら変わりない転生手続きだっただろ?」
A「なんとなく思い出した。俺は、ここに惹かれていたんだ。だから、ここにいた」
B「なあ、……そうだ、楽しいことをこの扉の前で口にしていよう? 僕はさ、何も作ってこなかったけど、辛い時は日記に……」
A「おまえも、ここがいいから、ここにいるんだろ?」
B「僕は嫌だ……絶対にここは……」
A「うん。そろそろ行くよ」
B「嫌だ……行かないでよ……ひとりにしないでよ……」
A「あっ、さっきの魂が」
B「え?」

 赤ん坊の泣き声が響く。

A「よかった。あいつ、運が良いな。会いたい人の元に行けたみたいだ。じゃあ、俺も行くよ。あと、頼んだ」
B「あっ……」
A「また戻ってきたら、その時はよろしく。でも、おまえもその時はいないかもな。人間という生命で出会ってるかも」

 Aも開いた扉に消える。

B「……僕は、行かないぞ。何があっても……辛いことばっかで、苦しいことばっかりで、裏切られて……嘲笑うことしかしない連中のいる場所なんて……ここも、辞めよう。辞め……どうして僕はここにいるんだろう? あの時と同じ……ここでも、同じなのか? 僕は。何も変われないのか? 何も……」

 また赤ん坊の泣き声が響く。

B「力強いなぁ。うらやましい……僕も、あんな風に泣けたら良かった…………二人とも、僕がいない時に戻ってくるなよ。良い人生を」

 ゆっくりと暗くなっていく。







 ~了~