ためしてガッテン「窒息死を招く大誤解!本当は怖い過呼吸SP」
平成24年8月29日(水) 20:0 0~20:43(総合)
ある病院の救急来院した過呼吸の患者さんはここ5年で1.3倍になっているそうです。
子供の息こらえ競争などで、ハイパーベンチレーション(強く早く呼吸をくりかえす)してしまったり、
ストレスからくる過呼吸など、意外と身近に起こりえますが、
対処法として有名なペーパーバック法は、実は殺人行為になってしまうこともあるなんて・・
過呼吸について、正しい知識・対処方法を知ろう!
心理系のサポートをする人たちもぜひ知っていてほしいです。
■患者さんの様子
救急で運ばれた患者さんは、パニックを起こして叫び声をあげることも。
お腹が激しく上下して、呼吸が異常に早く激しくなっているなど。
筋肉が収縮し、手を固くと握りしめたまま、医師が開こうとしても開けないほど。
鎮静薬を投与して、しばらくすると回復、歩いて帰れる。
■過呼吸の際、紙袋を口に当てるのは危険。
過呼吸の時の処置として、口に紙袋をあてて呼吸させるというペーパーバック法は、
家庭の医学や保健体育の時間でも習うほど、一般常識的に知られている方法だが、
実際は殺人行為になりかねない、非常にリスクの高い方法。
最近は医療機関でもリスクが高いため実施していない。
■何故過呼吸になるのか?
1.ストレスがかかると、呼吸がはやくなる。
2.酸素がどんどん取り入れられることになるが、
血液中に溶け込む酸素量は決まっているので一定以上にはならない。
が、二酸化炭素は呼気から出ていく。
3.過呼吸の発作時、血液は
・酸素量が多く
・二酸化炭素量が少ない 状態になる。
4.血液中に二酸化炭素が少ないとどうなるか?
延髄が、二酸化炭素が少ないので、呼吸をするなと指令を出す。
大脳は、あれ?息がすえない!大変、息をしなくちゃと焦ってパニックになる
■そこでペーパーバック法を実施すると・・
非常に二酸化炭素が少ない状態になっているため、
ペーパーバック法を実施すると、多少は二酸化炭素濃度が上がるけれども、
延髄が呼吸再開と判断するレベルまで戻るには時間がかかる。
→そのままペーパーバック法を続けていると、酸欠に陥る。
紙袋を口にあてたまま亡くなっていたケースもある。
■紙袋のせいで酸欠になるなら、その前に苦しくて気づくのでは?
過呼吸で、早い呼吸を繰り返す = ハイパーベンチレーション の後は、
通常苦しいと思うレベルよりはるかに血中酸素濃度が下がっても気づかない。
苦しいと気が付く前に酸欠になる。
■フリーダイバーがBIGBLUEのプールで、医師立会いのもとで実験。
1.フリーダイバーがスタティック(息こらえ)前の血中酸素濃度は98%程度
2.通常通り息こらえ(平均2分22秒)後の血中酸素濃度は90%程度
3.大きく早く深呼吸を繰り返すハイパーベンチレーション実施 = 過呼吸と同じ状態
4.それから息こらえ→3~4分程度まで伸びる。
それほど苦しさを感じない、苦しさを感じるまでの時間が伸びる。
72~79%程度になっていた
→血中酸素濃度は通常苦しく感じるより10%以上下がってから気が付いている。
気が付かないうちに失神する危険が!!
※参考:血中酸素濃度について
http://www.nihon-iryouki.jp/index.php?main_page=page&id=9&chapter=0
健常者の血中酸素濃度は96~99%です。
肺や循環器に慢性の疾患を持ってあられる方が風邪や肺炎を起こすと、急激に下がることがあり、
90%を切れば(急性)呼吸不全と判断されます。90%にまで下がっていなくとも、
平常から3%-4%の下降をすれば何らかの急性の疾患を引き起こしている可能性がありと判断されます。
■ハイパーベンチレーション、過呼吸の危険性とは
通常二酸化炭素の量が多くなると「苦しい」「呼吸をしなければ」とセンサーが感知するが、
ハイパーベンチレーションで二酸化炭素量が非常に下がっている状態では、感知しない。
過呼吸の後にペーパーバック法を実施するのと、
ハイパーベンチレーション後に息こらえをするのは同じ状態なので、
本人が気が付く前に酸欠になり、失神、最悪の場合は死に至る事もある。
■じゃあどうしたらいいの?
ストレスが原因の過呼吸は、まっていれば必ず落ち着く。
余計な事をするよりは、何もしないほうが安全。
・そっとしておいてあげる
・吐くことに意識をおき、「吸う:吐く」=1:2 でゆっくり吐く。
・1回の呼吸で10秒くらいかけて吐く(吐くまえに1~2秒息を止める)
・胸や背中をゆっくり押して、呼吸を整えてあげる
■ストレス以外が原因の過呼吸もあるので注意。こういう症状がないか確認。
・胸の圧迫感・痛み → 肺梗塞、心筋梗塞
・頭痛 → 脳出血、くも膜下出血
・糖尿病・腎臓病もち→ 糖尿病性、腎性アシドーシス