「発音」に関する私のホンネ | アイケーブリッジ外語学院 幡野泉のブログ

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虎ノ門のアイケーブリッジ外語学院、幡野です。韓国留学後、韓国語学校を設立。中国語やロシア語講座も開始。海外の文化、言語が好きで、橋渡し業に使命感を抱いています。仕事のこと、プライベートのこと自由に書いています。

「発音は重要。日本語にない激音は、濃音は…、イウンパッチムのコツは…」
「中国語は四声が命。これが曖昧だと、意味が通じません」

韓国語であれ中国語であれ、私たち語学学校、そして講師は、当然以上のように指導しています。

私も韓国語のレッスンを行う際、これまで自分がどうやってその発音のコツを掴んだか、いろんな方法を用いて伝えています。

口の中の様子、下の位置などが自分で把握できる方は口の中の構造を。また、息の緩急、音の高低、長短、強弱が把握できる方にはそれらの説明を、と、いろんな伝え方ができるように、と思っています。

そう、発音は良いに越したことはない、それは事実だし、そんな学習者を増やせるようこれからも努力して指導したいと思いますし、するつもりです。この春の忙しい時期を過ぎたら、久しぶりに発音に関する講座を開講しようと企画しています。

一方で…、実は私がこれまで韓国語、中国語を勉強し、社会生活を行う中で、心から「こうなりたい!」と思い、嫉妬心に近い憧れを持った人は決して発音の良い人ではありませんでしたえっ

例えば(ご本人も自身の発音に関しては「良くない」とおっしゃるのでお許しを)、創業時にお世話になったビジネスパートナーの李さん(現、(株)フロームジェイ代表取締役の李承勲氏)。李さんは在日韓国人で、若い頃に米国留学。その後韓国に渡り延世語学堂に通われました。

ご本人曰わく「ビジネスが忙しくて語学堂にはほとんど行けなかった」と。確か三級(六級で修了)くらいまでしか通われていなかったのでは、と記憶しています。

私は創業時、在日の李さんを中心とした現地韓国人5,6名くらいのチームと組んでビジネスをしていました。

韓国人は辛口なので、ことあるごとに「幡野さんは韓国語が上手。李社長よりうまいですね~」と、ご本人がいる前でもこう話し、その度に李さんは「だって僕はほんとうに悪い生徒だったからね。学校なんてほとんど行ってなかったし」と笑っていましたっけ。

実は私はチームのメンバーにこう褒めてもらっても、そこまで嬉しくありませんでした。

ビジネスの現場では様々な厳しい局面に遭遇します。事業の立ち上げ時は特にそうです。そんなとき、チームのみんなにきちんと訳を説明したり、どうして今これをすべきかを説得したり、対外的に他社と交渉しビジネスを進めたり……。これらの点において、李さんはほんとうに見事でした。

いくらご本人が「韓国語が下手」とおっしゃっていても、例えばチームのメンバーを説得しているとき、他社との交渉で説明にあたっているとき、聞き返されたり、よくわからなそうな表情をされていることは私が見る中では皆無でした。

みんな神妙に、ふんふんと聞き、反応している。むしろみんなに「韓国語が上手」と言われる私の方がしょっちゅう「は?」という反応をされるわけです(笑)汗

そう、言葉で、会話で大切なのは文脈なんですひらめき電球

ビジネスの場面で相手の話すことをきちんと理解し、会話を進め、交渉ごとを発展させることができるかは、その業務内容に通じているか、また経験が豊富かに大きく左右されます。

また、いかにその国のことを理解しているか、背景、感情、思考に思いを馳せ、そこを突いた話ができるかも重要です。しかし、当時の私にはそれらの能力がありませんでした。だから、心から李さんが羨ましかったですし、「こうなりたい!」と思ったわけです。

いまだにあの能力は身についていないのでは…?と思う今日この頃…ガーン

また、数ヶ月前、中国に駐在中の受講生、Oさんが遊びに来てくださいました(Oさんは中国で当ブログを読んで下さっているとのこと。お元気ですか~?お土産のDVD、観てますチョキ)。

Oさんは当校で韓国語を学ばれていましたが、もともと中国駐在歴があり、中国語は堪能です。Oさん曰わく、

「中国語の四声に費やす労力は無駄ですよ。あんなのやっても仕方ないです。現地の人間と話すときは、例えば中国で流行ってる映画の話題ができたほうが余程役に立ちます。娯楽が少ないんで、ほとんどの社会人がみんな同じ映画観ますからね」

と、発言の前半はまさに語学スクールへの挑戦状?爆弾のようなことを言い放たれていますが(笑)、Oさんは実際、現地中国人と家族のような濃い付き合いをしながら生活やビジネスを満喫しています。

私は韓国で李さんのような方がビジネスで成功するのを見ていたので、Oさんのおっしゃることもよく分かるんですかお

私は小さい娘たちに英語を習わせたりしていませんが、外国語を話すにあたり大切なのは「その国を理解しようとする気持ちと、文脈のキャッチボールができる文章力や経験が大切」だと思っているからです。

アイケーブリッジが語学スクールという看板とともに、「文化理解」にも重点をおいて講座企画、情報発信をしている理由をお分かりいただけるでしょうかアップ

とはいいつつも、矛盾しているかもしれませんが、個人的には韓国語であれ中国語であれ、「ネイティブみたいな韓国語、中国語の発音」を追い求めています。これは趣味、そう……自己満足!なんです。たぶん、歌を上手く歌うとか、楽器が上手に吹けるとか、そっちの達成感を得るためですね。

発音は結局、コツを教わったとしてもどうこうできるのは自分自身。いかに「変わりたい」と思うかに関わっているので、やはり発音を良くすることが自己満足に繋がるか、が重要なのかな、と思います。

以上、私の「発音」に関するホンネをまとめましたビックリマーク