きのう
南三陸町で
信じられない光景を目にしました。
両側に瓦礫が積まれた道路に 車の列ができています。
その先にあるのは
津波で破壊され、辛うじて残っているこの建物が スタンドです。
「いつから営業再開しているのですか?」と始めた話から
想像もつかない現実が語られました。
「今 手伝ってくれている若者たちは
地震の後すぐに解雇したんだよ。
だってもう給料を払ってやることができないんだ。
家も財産も両親も 何もかも津波に持って行かれた。」
「それでもここは 両親が残してくれた店だからさ。」
「地域の人のために 今 私ができることは店をやることなんだ。」
店主の思いに、
かつての従業員たちも
自分のことを後回しにして毎日手伝いに来ています。
当然 彼らも被災者です。
ご主人は、本当は・・・
まだ見つかっていない父親を探したいともおっしゃいました。
「母親は、腹を痛めた我が子の店を見下ろすように
あの木の上に座るようにして見つかったんだよ。」
「父親はきっと俺が店をやっていることを
喜んでみてくれていると思うんだ。」
強い意志で気丈に大きな声で
話してくださるご主人の横で
私は涙を抑えられませんでした。
別れ際に握手したら
ご主人の手が冷たくて冷たくて・・・
荷物に入れていた軍手を渡して
私たちは車に乗り込み、
炊き出し現場に向かいました。
「伝えてください。この惨状を。」
ご主人のこと
私は忘れません。