再会 | 谷口礼子オフィシャルブログ「じゃこのおもしろいこと」
21歳の年に通っていた「キャラメルボックス俳優教室」の同期生・東川清文くん(同期の中ではお兄さん的存在で、当時から「とん兄」と呼ばれていた)が、今は地元の金沢に根を下ろして演劇活動をしており、同郷の相棒・西本浩明さんと二人で、演芸列車「東西本線」なるユニットをつくっています。
とん兄は、金沢で介護の仕事をしながらも、金沢の芸術村のプロデューサーを務めたり、演劇活動も精力的にやっている「二足の草鞋」の人で、俳優教室の時には感じていなかった、ちょっと特別な親近感を感じて、いつも遠くから心の中で活動を応援してきました。
今回、しばらくぶりに「東西本線」で演劇公演をするというので、一念発起して観に行くことに決めました。あまりにもすごい勢いで私が宿とチケットをおさえたものだから、とん兄もびっくりしていました(笑)

 

 

 
はたして、昨夜の公演初日を拝見しました。
作品名は『鬼より怖い』。家族の中で威厳を保ってきたお父さん。親父。
その親父を中心に集まる、個性の違う息子3人。
お母さんを亡くして一年。親父の様子がおかしくなった。
……ひとつの家族がひとつの答えを出していくお話でした。
 
認知症・介護といったテーマの物語は、とん兄の経験に基づいたフィクションだそうで、
なるほどと頷け、心がヒリヒリしたり、愛おしくなったり、そして結果、ひとつの答えに辿り着けたことが嬉しくなる作品でした。
 
家族とはいえ、答えの出ない問題を抱えていることは多くあり、その答えを出すために、家族がお互いに協力するということは、簡単なことではないから。
 
私はとん兄がパンフレットに寄せていた文章を、開場中に読み、感動して泣いてしまいました。
【否定をせず、嘘をつくのでもなく、演じることで認知症の方の世界を一緒に生きる。】
それが認知症ケアで大切なことなのだそうです。
とん兄は演劇の要素を仕事にフル活用している。
素晴らしすぎると思ったのです。
そして、私がいつも考えている「演劇とは嘘をつくことではなく、絶対に嘘をつかないことだ」ということと響きあった気がしました。
※全文は写真で載せました。
 
終演後、しばらくぶりに再会し、尽きない話をたくさんしました。どんなことを考えてきたのか、何を見てきたのか、今何を考えてるのか。
15年以上前にご一緒した同期生で今でも演劇を続けている人は数少なく、私は勝手にとん兄を同志と思っています。これからも本当に元気で、楽しく活躍してほしい!
 
私も頑張ります。