【おれのこめ】白米の中に時々ある黒い粒の正体 | ほりうちたけし(ほりけん)のブログ 〜目指せ百姓!〜

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2018年現在、千葉県にて無農薬米「おれのこめ」、無農薬落花生を栽培中。

いつもありがとうございます!

今回は白米にすると目立つ「黒い粒」の正体について書きたいと思います。

白米、7ぶづきをお買い上げいただいた方の中で、
このような黒い粒が時々混ざっていることに気付いたひともいらっしゃるかと思います。

※写真はわかりやすいよう、黒い粒を集めてあります。こんなに入ってるわけではありません。実際は3合炊くと2,3粒入っている程度です





最初にお願い申し上げます。

どうか、この黒い粒が入ってしまうことを許容範囲にしていただけないでしょうか。

おれのこめだからという訳ではありません。

そのことが、きれいな地球を守ることに直結しています。


では少しずつ説明させていただきます。


結論から言います。
「これは米です」

なので、食べてしまっても何も問題ありません。

この米の正体は「カメムシ」が吸ったあとなのです。

カメムシが穂ができたてのまだ汁の状態の時に、籾殻の上から口を刺して
吸ってしまうのです。

カメムシの正体はこいつです。

写真はよくいる小さい臭いのを出すのとは少しちがう「クモヘリカメムシ」


このように吸われた米がこのように「斑点米」となってしまいます。


では、この斑点米は何に影響するのでしょうか。


みなさんよく「1等米」という言葉を耳にするかと思います。

いかにもいいお米で、高級な感じがしますよね。

でも実はこれ、「見た目だけの等級」なんです。

白くてきれいなお米が1等ということになります。

ちなみに味はまったく関係ありません。
味は食味検査というまた別のランク付け(特AとかAとか)があります。

しかし、普通の農家が気にするのは食味なんかではありません。

見た目の等級を気にします。

なぜ等級を気にするかというと、等級によって価格が変わるためです。
もちろん等級が下がると、買取価格も下がります。


農林水産省のHPによると
着色粒(このような黒い粒)が0.3%以上で2等となります。
要するに1000粒の中に3粒あるとその時点で2等に下がってしまいます。

一般的に1等と2等では1俵(60kg)あたり600円~1,000円程度変わってきます。
これは米農家にとっては大きな、大きな金額となってきます。

反収を8俵とした場合、1町(1ha)で48,000円~80,000円
大規模に10町(10ha)作っている農家だと480,000円~800,000円
変わってくることになります。



ちなみに味がまったく関係ないのは、収穫後、農協へもっていくと
いろんな農家の米と混ざってしまうためです。

自分の米だけおいしく、安全に作る意味がまったく無いのです。

だから農家は

ただただ、

「白くてきれいな米」を作ろうとします。

当然ですよね。


では、どのようにしたらその「白くてきれいな米」ができるか。

簡単です。


農薬を使用します!

それだけ。

----------2015.12.1 追記----------------------------
色彩選別機である程度選別することも可能です。
200万くらいまででぴんきりありますが、現時点では導入できる体制、資金ではないため
このような表現にさせていただいてます。
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普通の農家さんは生活のために白くてきれいなお米を作り、それを売ってお金に変えて生きています。
そのために農薬を使う。
ごく当然の行動だし、考え方。

もちろん、環境に対する影響など考えたところで
自分だけ損をしてしまう。

昔からの流れがあるので、使うことが自然。
今さらやり方は変えられない。

そもそも疑問すらもたない。

お年寄りが多いこの農業の世界ではこのような現実が当たり前だったりもします。


農薬を使うことで環境に対していい影響があるのであれば何も気にする必要はありません。

しかし、もちろんそうではありません。


具体的な例を挙げてみます。


この「斑点米」の原因は「カメムシ」と説明しました。

そのカメムシを皆殺しにするために

ヘリコプターを使って大量の薬を一気にばらまきます。

僕は「皆殺し大空襲」と勝手に呼んでいます。


人が少ない早朝に、地域ごとでやっていくのです。

この日の朝は農家も外には出ません。

普段がっつり除草剤撒いてる農家さんもこの日だけは
「危ないから出るなよ」
と注意もしていただけます。

一ヶ月前になるとこのような看板もあちこち立ちます。



御丁寧にこのような地域新聞も回ってきます。



食料にかかっちゃいけないものを、がっつり作物にかけちゃってるんですけどーーー
と言いたくなる記事。

しかし、これが現実。


そのカメムシを防除するために使用する農薬は「ネオニコチノイド系農薬」といわれる薬です。

これがまたやっかい。

今、日本中からミツバチが消えているという話をきいたことはないでしょうか。

実は、その原因となっているのではないか言われているのが

このネオニコチノイド系の農薬です。


EUではすでに2013年5月から
ネオニコチノイド系農薬の使用の一部を暫定的に制限
しています。

一方、日本ではというと。。。。

「散布の際に巣箱及びその周辺にかからないようにする。
養蜂が行われている地区では周辺への飛散に注意する等、ミツバチの危害防止に努める
などの注意事項を、その農薬のラベルに表示しなければなりません」

「蜜蜂に農薬がかかるのを防ぐため、農家と養蜂家との間の連絡を密にするように指導しています」


・・・・・・・。

特に規制無し。

え!?そんだけ!?

と思うでしょ。

これほんとなんです。

うそだと思ったらぜひ、農林水産省のHPをみてみてください。

特にすごい所はページ一番したの方。

Q9. 我が国でもEU、米国と同様に3種類のネオニコチノイド系農薬の使用を制限しなくてもいいのですか。

これに対するアンサー

「農薬は水稲のカメムシ防除に重要です。」

すげーーーーー

まるで会話になっていない。

国会中継を見ているかのようです。


この文面が書いてあるページはこちらです。


ついでにもっと言わせてもらいます。

「一般社団法人 農林水産航空協会」という所のHPを見ると
ヘリコプター散布してもよいと登録されている薬剤を見ることができます。

その中の薬剤の一つの概要を一部抜き取らせてもらうと
このようなことが書いてあります。

(キラップフロアブルという製品名の例)
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【特長】
新規化合物エチプロールのフロアブル剤。斑点米カメムシに優れた効果を示す。
害虫の神経伝達物質を阻害し、作物への加害を阻止する。
 
【注意事項】
本剤は貯蔵中に分離することがあるので、使用に際しては容器をよく振ること。
散布薬液の飛散によって動植物の被害や自動車の塗装の等に被害を与えるおそれがあるなど、各分野に影響があるので、散布区域内の諸物件に十分留意すること。

水源地、飲料用水等に本剤が飛散・流入しないように十分注意すること。

散布終了後は次の項目を守ること。
(a)使用後の空の容器は放置せず、安全な場所に廃棄すること。
(b)機体の散布装置は十分洗浄し、薬液タンクの洗浄液は安全な場所に処理すること。

蚕に影響があるので桑にかからないように注意すること。桑にかかった場合は25日以上経過してから給桑すること。

ミツバチに影響があるので、ミツバチを放飼している地域では使用しないこと。

散布器具、容器等の洗浄水は河川等に流さず、容器は圃場などに放置せず適切に処理すること。

誤飲などのないよう注意すること。

本剤は眼に対して弱い刺激性があるので眼に入らないよう注意すること。眼に入った場合には直ちに水洗すること。

散布の際は農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用すること。

作業後は手足、顔などを石けんでよく洗い、うがいをすること。
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もうミツバチに影響ある
と言っちゃってます。

そんなものが毎年毎年、空から降ってきているのが現実なのです。



そんなこんなの背景を踏まえて。
ここから「おれのこめ」の話をさせていただきます。


おれのこめは無農薬でやらせてもらってます。

しかし、空から降って来る農薬はどうしようもありません。
田んぼ全部にかけられるカバーのようなものがあればいいのですが。

それでも今年はあきらめきれず、いろいろな人にあたってみました。

どうやら窓口は「農協」ということが2日前にわかり、農協へ行って直談判しました。

自分の田んぼにだけは、できるだけかからないように散布してください。
そんなお願いをしにいきました。

「そんなこといちいちやってられない。」
「そんなところで無農薬でやるほうがわるい。」

そんな言葉が返ってくることを覚悟して、行くと・・・・・


案外親切!!!!

「田んぼどこ?印つけて」

と当日使うであろうでっかい地図を広げてくれました。

「こことここです」

全部で5枚印をつけさせていただきました!

そのときの様子☆




その成果が出たかどうかはわかりませんが。

なんと、その後、僕の田んぼに


みつばちがやってきました!!!!




動画はこちら☆




逆に言うと・・・・

当たり前ですが、カメムシたくさん!!!
今年は手で払うと数匹は飛ぶくらい、僕の田んぼに群がっていました。

ということは「着色粒たくさん」ということになります。


長くなりましたが、黒い粒の米はそんな経緯があって
できてしまったものです。


よくよくなぜ白いお米が必要かを考えてみると。

もとをたどると

そう、消費者なんです。


白くてきれいなお米を求めてるのは
まぎれもなく、消費者自身なのです。

色が着いて変色した米は気持ち悪い。
そんなの見たことない。
食べたくない。

そんな声が、販売元、生産者を動かしているのです。

だからと言って、甘えたいわけではありません。

少しでも、安心かつ「うまいもん」つくりたいと思っております。

残りの人生、生きている間、60回程度しか田んぼできませんが、毎回毎回を大切に
これからもずっと学びながらやっていきたいと考えてます!


長くなりましたが、「黒い粒」の正体、背景を少しでもわかっていただけたでしょうか。

あえてなくすこともできますが、そのためには薬が必要な現実。
(機械という手段もありますが、コストが・・・・笑)

多少混ざっていても、ご理解いただけたら幸いです。


地球のためにも、みつばちのためにも。



最後まで読んでいただきありがとうございます!!!!!



-----2015.11.29 追記---------------------------------------

白くてきれいなお米=農薬を使っている
というわけではありません


色彩選別機という機械があればある程度取り除くことが可能です。

私の場合は、まだ設備投資をできる段階ではなく、この機械がないため
取り除くことができていないという現状です。
もちろん、資金が回るようになればいつかは導入したいと考えています。

すでに、無農薬で安心安全は当然で、かつ、設備投資を行いきれいなお米にする努力をしている
農家さんもいる
ことをご理解いただきたく、追記させていただきます。
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