新日本の番長・真壁刀義の俺様主義〜「だから、俺はプロレスで夢を追う!」おすすめポイント10コ〜 | ジャスト日本のプロレス考察日誌

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恒例企画「プロレス本を読んで感じたおすすめポイント10コ」シリーズ27回目です。このシリーズはライターの池田園子さんが以前、「旅とプロレス 小倉でしてきた活動10コ」という記事を書かれていまして、池田さんがこの記事の書き方の参考にしたのがはあちゅうさんの「旅で私がした10のことシリーズ」という記事。つまり、このシリーズはサンプリングのサンプリング。私がおすすめプロレス本を読んで感じたおすすめポイント10コをご紹介したいと思います。

この企画は単行本「インディペンデント・ブルース」発売以降、色々と試行錯誤してましてブログ運営における新しい基軸となったと思っています。今後もさまざまなプロレス本を読んで知識をインプットしてから、プレゼンという形でアウトプットしていきます。よろしくお願いします!


今回ご紹介するプロレス本はこちらです。




内容紹介

世界が注目する新日本プロレス。この最強団体に入門して20年、男気溢れる闘いで圧倒的な支持を集める真壁刀義が書き尽くした入魂の一冊。プロレスとの出会い、地獄のしごきを受けた練習生の日々、無期限とされた海外修行時代、G1優勝、IWGPを戴冠したスターへの道、“スイーツ真壁"としてのテレビでの活躍など、自身のタフな半生のほか、新日本プロレスを最高に楽しむために知っておくべき、選手たちの極太な生き様が見えてくるエピソードの数々を展開(オカダ・カズチカ、KUSHIDA、後藤洋央紀、小松洋平、獣神サンダー・ライガー、田口隆祐、田中翔、棚橋弘至、天山広吉、内藤哲也、永田裕志、中西学、中邑真輔、本間朋晃、矢野通ほか…五十音順)。さらには、幼少期からの真壁を知る小松和馬氏や、私設応援団『刀義団 大井町支部』の面々による熱気溢れるファン目線のプロレス評、真壁評も収録。読めば、新日本プロレスにますますハマり、漢・真壁刀義にとことん心酔すること必至! 巻頭カラー8ページ。長州力、梅沢富美男、両氏が絶賛推薦。

著者について

1972年生まれ。神奈川県相模原市出身。身長181センチ、体重110キロ。血液型B型。得意技はKKKD(キングコング・ニードロップ)、ラリアット、スパイダージャーマン、チェーン攻撃。所属ユニットはG・B・H。現在、本間朋晃とのタッグでIWGPタッグ王座を戴冠。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

真壁/刀義
1972年9月29日生まれ。神奈川県相模原市出身。所属ユニットはG・B・H。96年2月、新日本プロレスの入門テストに合格。97年約1年の猛トレーニングを経て、2月15日、大谷晋二郎戦でデビュー。98年10月に吉江豊を破り、シングル初白星を飾る。99年11月よりJr.ヘビー級戦線へ身を投じる。00年4月に「SUPER J‐CUP」に出場。同月、若手の登竜門「ヤングライオン杯」で準優勝。01年3月20日、長州力とのタッグでIWGPタッグ王座に初挑戦(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)







今回は2016年に徳間書店さんから発売されました真壁刀義選手の「だから、俺はプロレスで夢を追う!」をご紹介します。
 
"暴走キングコング"という異名を持ち、プロレスだけではなく、バラエティ番組でも活躍する
真壁選手の半生が綴られています。また不定期ながらテレビ中継の放送席では、ゲスト解説者として分かりやすく舌鋒鋭いトークで評判の真壁選手がこそ書ける新日本プロレス論が読めてしまうのがこの本です。

最近は本の各章を順を追って書評、紹介するスタイルでしたが、今回は、シンプルにこの本のおすすめポイントをネタバレ少なめにプレゼンさせていただきます。よろしくお願いします!



1.真壁刀義選手の魅力を一冊に凝縮!
この本は真壁選手の世界感が爆発しています。新日本プロレス、巡業、道場、レスラーズのエピソードや批評など大いに語っています。とにかく真壁選手の新日本プロレス愛をビンビンに感じてしまいました。


2.真壁刀義選手の「プロレスとは?」が興味深い!
まずこの本の冒頭「はじめに」で真壁選手はプロレスについて語っています。これが興味深い!

「試合を見てスカッとすると同時に、プロレスとは人生の教科書だということをな。単純明快なことで盛り上がったり、裏切りかあったり、反則があったり、卑怯にも観えるような闘いのなかで仲間を守ったり、自分が盾になって頑張るとか、いろいろな状況がある。そういうことって、小説や映画でも味わえるかもしれないけど、現実として生身の人間が眼前でそれをやっているところを見ることができるのは、やっぱりプロレスだけのものだ。言い方は悪いかもしれないが、様々な欲望や、どろどろした人間最寄というか、人間ドラマ、それを俺たちら見せているってわけだ」

そして真壁選手は「プロレスはすべてに対して諦めないという魂を持ち合わせている。諦めなければ何かが掴めるんだ。それこそが俺がプロレスラーとして伝えたいこと、新日本プロレスが見せていることそのものだとも思う」と力説します。

本当に正論!素晴らしいと唸ってしまいました!真壁選手の話はとにかく分かりやすく、物事を正面から捉えたものが多いんですよね。だから解説も好評なんですよ。


3.真壁刀義選手の新日本プロレス論が読める!
とにかくこの本の3分の2くらいは真壁選手は所属する新日本プロレスをテーマに語っています。真壁選手は暗黒期から復活期までの新日本を見届けてきたレスラーです。その言葉には重みがありました。

そして苦しい時代を知っている、忘れていないから、倒産寸前までいった新日本が年間売上50億円も上げる企業に成長しても、安心しないで、何か今の新日本に必要なこと、もっと新日本をよくするためにできることはないのかと模索し、実行しようとしている真壁選手のスタンスが文章を通じて伝わってきます。

お世話になった先輩、仲間、ライバル、後輩、若手、スタッフなどありとあらゆる角度から新日本について語る真壁選手。

この本を読むとまた新日本を好きになることでしょう。そして古くからの新日本を好きな人に関しては真壁選手の意見は嬉しくなるのではないでしょうか。ストロングスタイルは、まだ新日本に残っているんですよ。


4.新日本入門、寮生活、猛練習、しごき、いじめ…地獄の新弟子時代がすご過ぎる!
真壁選手は1996年に新日本に入門しています。そこから猛練習、寮生活を経て1997年にプロレスラーとしてデビューするわけですが、この地獄の新弟子時代の内容がすご過ぎるんですよ。

とにかく過剰なまでも過酷。あととくに真壁選手はしごきやいじめを受けて耐え抜いてデビューしたレスラー。「辞めさせるためのしごきと練習」という内容だけあります。理不尽ですよね。こんな内容は今の新日本でやっているかどうかはわかりませんが、恐らく真壁選手があり得ないしごきを受けた最後の世代だという話は聞いたことはあります。      

その後、先輩からしごきや理不尽な要求があっても、デビューして新日本寮長になっていた真壁選手が「俺が言いますので」と防波堤になっていたそうです。もちろんいけないところは注意したり怒りますが、そうではないことは容認していたそうです。   



5.「誰よりも強くなれ!」鬼軍曹・山本小鉄さんの言葉が転機
そんな真壁選手、地獄の新弟子生活で心が折れます。そんな失意の彼に手を差し伸べたのが、鬼軍曹・山本小鉄さんでした。真壁選手が思わず漏らした弱音に対して「誰よりも強くなれ!誰よりも強くなれば、誰もお前に文句言わねぇよ!」と言ってくれたことが彼にとって転機となります。

あまりにもひどいしごきやいじめをする先輩に殺意を抱いていた真壁選手。そこからより猛練習を重ねていきます。入門当初はスパーリングでボコボコにされていたのに、そのうち極められず逆に相手を極めてしまい、3年後には誰も彼に文句を言う人間はいなくなったそうです。実力で黙らせたのです。すると先輩は誰も彼とスパーリングをしなくなったのですが、ひとりだけ受けてくれた先輩がいたそうです。誰でしょうか?それはこの本を読んでご確認ください!   



6.「練習は裏切らない!」
真壁選手はこの本で「練習は裏切らない!」と語っています。これは真壁選手の生き様を象徴しているように思います。いじめやしごきに耐えて実力で周囲を黙らせたのは練習の賜物で、どんなテレビ番組の仕事が増えても練習は休まないのが真壁選手の凄さです。  

そして真壁選手は中途半端で生半可な考えでプロレスをしている人間を嫌います。今の新日本にはそういう人間はいないそうですが、もしいたら自分が手を下すというほどです。

真壁選手のプロレスラー魂をそこに感じましたね。


7.レスラーに対する客観的な批評が清々しい!
この本で真壁選手は独自の目線で棚橋弘至選手、中邑真輔選手、田口隆祐選手、内藤哲也選手、天山広吉選手、中西学さん、永田裕志選手、後藤洋央紀選手、石井智宏選手、矢野通選手、オカダ・カズチカ選手といったレスラーにはついて語っています。それがなかなか興味深いですよ。かなり冷静に客観的な批評をしているなという印象を受けました。

そしてその客観的な批評は自分自身にも飛び火しています。真壁選手はこの本を書いた時点(2016年)で、「今の俺のプロレスが面白いかというと、80…いや70%くらいしかできていないと思っている。俺自身、渇いてしまっているのはわかっているんだ」と現状を受け止めています。



8.悪の集団GBHを率いた真壁刀義選手が語るバレットクラブ論が面白い!
この本でかなりスクープ級に面白く感じたのは真壁選手のバレットクラブ論です。まずバットラック・ファレ選手に「根本のハートがいい、新日本道場のしごきに耐えてきた本物」と高い評価をしています。

またこの本を執筆時期が恐らくAJスタイルズ選手がバレットクラブにいた時代。そこで真壁選手が評価していたのがドク・ギャローズ選手でした。意外でした。

「あいつは潜在能力がすごい。このタイミングで相手方を攻める、仕留めなければいけないというのがすべてわかっている。自分の色の出し方がわかっているんだ」

個人的にはギャローズ選手ってスピードがあるダニー・スパイビー選手なのかなと思いましたね。これ褒め言葉です!


9.スイーツ真壁としての顔
真壁選手はテレビ番組でも多数出演するタレントとしての顔があります。かつては日本テレビ系の朝の情報番組「スッキリ!!」でスイーツを紹介するコーナーを担当していたことがありました。

真壁選手は雄弁な方なのですが、食レポとなると勝手が違います。当初は全然喋れなくて苦戦したそうです。でもそこはプロレスで練習を積み重ねて成長したように、レポーターとして成長するための手段はシンプルでした。

表現方法やレポーター手法を勉強し、スイーツや食べ物の知識も学びました。

「スッキリ!!」でのレポーター経験が活かして、彼はバラエティ番組の常連プロレスラーです。そしてこの活動は真壁選手なりのプロレス普及の一環なのです。



 10.新日本の番長・真壁刀義選手の俺様主義
真壁選手の文章はブログでもTwitterでもこの本でも基本的には試合のコメントのように荒々しい。常に「べらんめえ口調」で文章が展開されていきます。

また自身を「俺様」と言うのですが、これがまた真壁選手のキャラクターに合っていますよね。まさに新日本の看板を守る番長ですよね!
 
地獄も天国も見た新日本の番長・真壁選手の俺様主義がいかんなく感じられるのがこの本の最大の魅力です!とにかく豪快さと繊細さが両居している印象を受けました。
  
そして新日本の番長には多くの人たちの夢や希望を背負う存在になっています。

だからこそ彼には使命感があります。

「これからも俺は夢を追い続ける。諦めねぇんだよ、本物ってのは」

真壁選手らしいストレートな言葉でこの本は締めくくられています。

本当に素晴らしいプロレス本でした。

「いま日本にはプロレスが必要なんだよッ!」とこの本の帯文に書かれていますが、暴走キングコングの咆哮が新日本やプロレス界のいいスパイスになるのだなと感じました。

皆さん、是非チェックのほどよろしくお願いします!