信州読書会の宮澤が投稿していた山田詠美の『僕は勉強ができない』という小説の解説動画が面白かったんで少し解説します。

 

 

 この作品では主人公である高校生の時田秀美(女みたいな名前ですが男です)が、片親の家庭で育ち、勉強が出来ないことにある種のコンプレックスを抱きながらも、そのようなコンプレックスを「勉強はできないけど、人気者だし、女にもモテる」という自身の価値観への自信、まあ要はそういう自意識みたいなもので補っていきます。しかし、このような価値観や自意識が、学年でトップクラスの成績を維持している脇山茂、ことあるごとに高尚な悩みにうつつを抜かしている植草、ことさらに初心で無垢な乙女を演じようとする山野舞子、そして生徒の「正しい」教育に熱心な学年主任といった高校という小さな社会のなかで主流を占める価値観の持ち主とことごとく対立していく。しかし、このような対立関係の過程を経て、これらの価値観が何の根拠も説得力もない空疎なものであることが、秀美の手で暴露されていく・・・といった内容になっているそうです。

 

 で、なんというか、この本を読んである種の人々は物凄い不快感を覚えるそうなのですが、まあ要はリア充独特の価値観によって、普通にまじめにコツコツ頑張って生きている人たちの価値観をこの少年の価値観が、ことごとく否定していくんですね。

 

 要は、17にして年上の大人の女性の恋人を持って、セックスやらなんやらの体験を済ませて粋がっているガキが、普通にまじめに生きてる人たちが大切にしている価値観をことごとく空疎なくだらないものだとバッサリ切り捨ててしまう。

 

 ただ、なんとなく、このような説明を聞いて思ったのが、果たしてこのいきがったガキである秀美少年が大人になって中年になった時に、はたしてこのいきがった17のガキの価値観、人生観をより成熟したものへアップロード出来るんだろうか?という疑問です。

 

 ある種の早熟な価値観の中で、同世代の女子から好かれるイケてる男子であった秀美も、結局、彼自身を支えている価値観もまた「女にモテる」という別の空疎で陳腐な自意識と価値観であり、なおかつことごとく社会の他者の価値観とぶつかりながら世間を斜に見て、「俺の方が偉いんだ!!」といきがってしまう。かといって、凄く勉強があるワケでも特別な才能や能力があるワケでもない。つまり、社会の価値観に適合していくことも、自分自身の特別な才能や能力で道を切り拓いていくことも出来ない。このような自身の能力や身の丈に合わない肥大化した自意識をこの少年は今後上手く消化していけるのかは非常に疑問です。仮に、もしそれが出来なければ、結局女の元でヒモ生活でも送りながら、「俺は本当はもっとスゲーんだよ!!」とかワケ分からん自意識だけを持って女に寄生するkzになっていくか、当時の、16,7の女の子にモテてた高校生時代のの価値観を30,40になっても維持し続けながら、若者を騙して精神的な搾取を行っていくようなしょーもない大人になっていくんじゃないかと思ってしまいます。

 

 まあ、大人になった秀美少年がどうなるかはともかくとして、この動画ではほかにシールズの国会前デモについても解説しています。まあ、これは旧来の左翼運動にも通じるのでしょうが、もともと左翼運動というのは、資本家階級のリア充的なもの、つまり、金持ちの家に生まれて何不自由なく高校大学と進学して良い趣味や、センスの良い友達や仲間を持って青春を過ごしていくリバリーヒルズ高校白書みたいなものを否定し、それを満喫する資本家階級を打倒する階級闘争であったはずが、いつの間にか、戦うべき対象の特性であったはずのリア充感を左翼運動の運動家側が出していくという現象が起こります。つまり、若くてオシャレでそれなりに知的で、政治状況についてほどほどに語っていけるみたいな連中がグループを作って「俺たちこんなにイケてるぜ!!」とやっていく・・・こうなっていくと、一体何と戦って、勝利に末に何を得ようとしているのかがよく分からなくなってくるんですね。

 

 私自身としては、こういった階級闘争や革命思想を前提としない、冷戦崩壊以降の穏健な中道左派的な左翼運動を基本的には肯定する立場ではあるのですが、結局、コレも現状追認というか、「悪しき資本家階級」と「搾取され疎外される労働者階級」という対立軸を失い。むしろ、国会前で「スタイリッシュにレジスタンスする俺たちの方がイケてるんだぜ!!」とやってしまった瞬間に、もうこれは強烈に現状肯定のパワーに転化してしますと思うんですね。何しろ、スタイリッシュな抵抗運動というのは、凡庸な悪たる巨大権力の存在を前提とするワケですから。これはもう鳥肌実(朝鮮や創価学会を批判して揶揄する芸風を持った芸人)が、一通り池田大作をボロクソにけなした後で、ぼそっと冗談めかして「でも、まあこうして僕が飯を食えてるのも池田先生のお陰なんですけどね」と言ってみるようなもので、一応巨悪として設定しているところの安倍政権が存在することで、シールズなどの現政権に批判的な団体は引き続き安倍政権に対するアンチとしてオシャンティーな抵抗運動を続けて、その活動の中でリア充感を獲得していくことが出来るワケです・・・。

 

  まあ、詳しい事情は知りませんが、アメリカでも似たような状況はあるのでしょう(過去のヒッピー文化とか)。しかし、日本で特にこのような、抵抗する側が「むしろ俺たちの方がイケてるんだぜ」アピールをするのは一つ決定的な理由があると思っていて、日本だと権力者とか特権階級の人間とかがとにかくイケてないんですね、何しろ一国の総理がコレですから・・・。

 

 

なんというか、左翼の側は運動の建前上、「上級国民」なんて言葉を使っていますが、別に実際には誰も安倍とかその周りの権力者を羨ましいとも何とも思ってないんですね。頭の禿げ上がったオッサンがちょろっとファーストクラスの旅客機に乗って、海外のスイートの高級ホテル泊まったところで、実際のところ本当は皆「ふーん」としか思わないし、むしろその後の壮絶なバッシングを見てみれば、むしろ哀れなハゲが全国レベルで袋叩きにあっているというくらいにしか感じないワケです。稲田なんて教養のカケラもない整形BBAだし、片山さつきも歌うことも踊ることも出来ないマイケル・ジャクソンみたいなどうしようもないキモBBAだし、羨むべきところなどせいぜい政治資金ちょろまかしてちょっと贅沢をするくらい。いや、むしろ、彼らは自分の人生で何一つ良いことがなかったからその空虚を埋めるためにアホみたいな税金や政治資金を使って豪遊しているんじゃないか?とすら思えてきます。

 

 まあ、なんというか、現在において日本には真のリア充も、真の権力者もいないワケで、色んなものを一部の特権階級の白人に取られてるのかなーと 。まあ、最もまさに完璧に見えるリア充白人もそれぞれ自分の中に空虚さを抱えているのかもしれませんが。

 

 

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