重要なことは、耳介鍼の効果を高めるために、体の滞りをいかに無くしておくか
中谷式耳介画像鍼治療では、耳介に円皮鍼(商品名パイオネックス)と、粒鍼(商品名コリスポ・樹脂製、マグレイン・金属製)と、短鍼を使い分けいる。それぞれ特徴があり、また問題点もある。
詳細はいずれまた別に書くとするが一つだけ、粒鍼は、決して体(耳介)に傷をつけないというものではなく、ある程度の鍼痕が残る。
写真をのせるので、どれくらいの痕が残るのか、確認してもらいたい。というのも、鍼灸の資格がなくても施術できるものとして、粒鍼が使われているが、その根拠として体に害を与えたり、傷つけないからということになっている。最近は一般に向けて販売されているが、痕が残って問題にならなければいいなと思っている。
本題に戻ろう。耳介鍼をしていると、それぞれの鍼で効果のピークが来るまでの時間が違うことをよく経験する。ただ、効果が出てからは、その後だいたい4日目くらいから徐々に効果が減弱してくる感じがある。
その効果が減弱してきた時に、太極拳などの体を動かす運動を行ってもらうと、また効果が復活してくる。
これはおそらく、体の知覚受容器が刺激に慣れて、そこに鍼があることを受け入れて、調和させてしまった現象だと考えている。
つまり、それは体自体が行う『和法』というホメオシタシスの働きということだ。
その様な状態になった時、体を動かしてもらうと、あ、やっぱりそこに何かあるな、と再び気づいてくれる感じなのだ。
実は、米軍方式の耳介鍼でも、8割がた効果があるが、残りは体の他の部位を刺激することで効果が出てくる。また耳介鍼直後に歩かせると効果が高まる。と言っている。私も同意見だ。治療後、帰り道の途中に急激に効果が出てくるのは、よくある現象だ。
私の耳介鍼の恩師、坂下孝則博士も歯科麻酔時に同様のことを述べられ、鍼をしてから脳内の鎮痛物質が血流に乗って全身を巡り、作用するまでのタイムラグがあると教わった。
ここで重要なことは、耳介鍼の効果を高めるために、体の滞りをいかに無くしておくか、つまり全身の血流が巡りやすい状態にしておくかにかかっているということだ。
まさに、本治法と標治法の関係のようで、本を効かせるためには、標をどう処理しておくか、そこが重要なのだといえる。
写真は、粒鍼を貼って1週間後にはがして、2週間経過した後の撮影。