【特別転載】髙山善廣さんへの思いを持ち続けること | KEN筆.txt

KEN筆.txt

鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

BGV:フラワーカンパニーズ 『感情七号線』

 

古巣である週刊プロレスモバイルの連載コラム『週モバ野郎NOW』が2017年8月28日更新分をもって最終回を迎えました。遅れ馳せながら、2011年4月より355回分もの長い間、ご愛顧いただきました皆様へ改めて御礼を申し上げます。

 

終了が伝えられた時点で、ラストは髙山善廣さんのことを書こうと決めていました。5月4日の事故から4ヵ月が経ちなかなか続報が伝わない中で、それでも思いを持ち続けようという呼びかけです。あの時点では、誰もが力になりたいと思っていながら待つしかない状況でした。

 

最終回がアップされた1週間後に記者会見が開かれ、髙山さんの容態報告とTAKAYAMANIA設立が発表され、ようやく私たちは動けるようになりました。各団体・関係者の間でも募金活動が始まり、またたく間にその輪は広がっていきます。

 

それは事故からが経過した今も、変わることなく続いています。今回の支援に関しては、本当に長期的な活動として継続する必要があります。呼びかける側も、そして支援をする側も一過性ではなく、髙山さんに対する思いを持ち続けるのが何より大切なのだと考えています。

 

これはコラムの最終回で書いたことでもあり、そして今後も変わらぬ姿勢として自分の中で位置づけられています。連載が終了し、現在もアーカイヴとして閲覧はできますが、もっとファンの皆様の目が届きやすいところで感じてもらうことはできまいかと週刊プロレス編集部に相談したところ、特例としてブログへの全文転載を認めていただきました。

 

ご理解と、そして髙山さん支援へのご協力をいただいた湯沢直哉編集長、相談に乗っていただいた奈良知之記者へ心より感謝申し上げます。髙山さんが我々のもとへ戻ってくる日まで、皆様へご協力をお願いする次第です。

 

何が正しくて何が正しくないのかの正解は一つではありません。人によって、価値観によって、状況や環境、立場によっていくらでも変わってきます。その上で、心へ芽生えた自分を突き動かす"動機"に対し、正直になってください。それが信念を育みます。そして、良識のもと信念に基づいた言動であればあなたにとっての正解です。

 

皆様の正直な思いや気持ちを、支援募金という形で我々はお預かりしているにすぎません。大切なのは一人ひとりの思いを髙山さんへ届けることだと思っています。それを忘れることなく、今後もご協力をお願いするべく呼びかけていきます。

 

 

☆        ☆        ☆

 

2013年1月に「ニコニコプロレスチャンネル」が開設されて4年間、髙山善廣さんはもっとも顔を合わせ、時間をともにしてきたプロレスラーでした。週一番組「ニコプロ一週間」の司会進行とレギュラーコメンテーターの関係で、そこに本誌前編集長の佐藤正行さんを加えた3人で毎週水曜に1週間ごとの主な大会やニュースを紹介し、それについて掘り下げていくというものでした。

 

髙山さんと私は昭和41年生まれの同い年、佐藤さんは1つ上なのでプロレスもそれ以外のジャンルに関しても蓄積が共通しており、当初は出来事をなぞっていくだけだったのが回を重ねるごとに会話が膨らむようになって、やがてグルーヴ感を覚えるほどの絶妙な呼吸ができあがっていきました。天然の佐藤さんに私が突っ込みを入れ、帝王が「ガハハハッ!」と豪快に笑いながらさらに突っ込む。自分の活動範囲だけでなく、あらゆる団体の話題について論客らしいコメントをし、そして楽しめるネタに関しては小学5年生へ還ったかのごとくウヒャウヒャする。

 

テレビの方はどちらかというとおカタいコメンテーターのポジションでしたが、こちらではプロレスならではの幅広さを心から楽しんでいるようで、水曜に試合があっても極力休むことなく大きな体でスタジオへ飛び込んできたものでした。「編集長っていうシンドい立場にいるとさ、この番組で好きなことを言えるのが心のオアシスみたいなものなんだよ」当時、佐藤さんはそう言っていました。おそらく、髙山さんも同じような気持ちで出演されていたのだと思います。

 

だから視聴者の皆さんはもちろん、共演するお二人にも楽しんでもらえるよう私は番組の内容をナビゲートしているつもりでした。髙山さんの誕生日が来ると、いいトシした二人のプロレスマスコミが生歌と生演奏で「ハッピーバースデー・ディア帝王」と祝福し、それを生番組でファンに見てもらい一緒にお祝いしていました。

 

▲2013年9月18日、髙山さんの誕生日前夜の生番組中にロールケーキとシャンパンで帝王を祝う

 

また髙山さんが地上波のドラマへレギュラーでキャストされた時には毎週触れて、それさえも話のネタにしともに笑い合いました。プロレスによって鍛えられているので、どんなジャンルでも膨らまして楽しめるのが我々三人の強みだったのです。

5月4日のアクシデントがあった以後、ニコプロ一週間から帝王の姿が消えました。私の左隣へ当たり前のようにあった大きな大きな体の存在感は、あれから4ヵ月が経とうとしている今もかすかなぬくもりのように残っています。

 

休みに入った以後も、ニコプロはオープニングVから髙山さんの箇所を抜いていません。出演時には毎週豊富なコレクションの中から着てきたTシャツを紹介していたのですが、それも私が引き継いでいます。髙山さんほど多くは持っていないので、ネタが尽きた頃には戻ってきてほしいという願かけでもあるのです。

 

でも…今の我々には、それぐらいのことしかできません。本当にたくさんの選手、関係者がなんとか力になりたいと思っています。でも現時点では、まだその段階ではありません。力になれる日が来るのを待ち続けるしかないのです。

 

あれ以来、一日で髙山さんのことを一度も思い浮かべなかった日はありません。私のような人間でさえそうなのですから、ご家族の辛さを察すると心が痛みたまらなります。そして何より、今なお孤独な闘いを続けている帝王の気持ちを想うと、何もできない無力さが情けなくて情けなくて。

「髙山は帝王です! 僕だってここまで回復してリングに戻ることができたんです。髙山、絶対大丈夫だからな! 負けるなよ!」

 

8月14日におこなわれた「カッキーライド」のエンディングで、垣原賢人さんは何度も帝王の名と「大丈夫」の言葉を口にしました。それは挨拶という形式的なものではなく、とめどなく体のそこからあふれ出てきて抑えきれぬ思いのたけでした。悪性リンパ腫と今も闘いながら、奇跡的な回復を遂げ夢にまで見たリングへ還ってきたのに、自分のことではなく盟友の力になりたいと泣きながら叫んでいる。

 

 

私はプロレスを通じて「人間は他者のために動いた時、とてつもないパワーを発揮する」ことを教わりました。これまで自分のために闘ってきた垣原さんは、その強さを髙山さんへの思いに乗せて使おうとしています。思いは無形のものであるからこそ、時空を超えて伝わる…そしてそれこそが今、私たちにできることなのだと信じています。だから皆さんも――。(2017年8月28日・記)

 

 

【関連エントリー】

365日続いた闘いと思い。そしてこれからも――

 

【髙山善廣選手の応援よろしくお願いします】

プロレスラーの髙山善廣選手が2017年のDDT5・4豊中大会試合中に負傷し、頸髄完全損傷という診断が下され現在、肩から下が動かない状況の中、厳しいリハビリ、ケガと闘っております。そんな髙山選手を応援する会「TAKAYAMANIA」が起ち上げられ、各プロレス団体協力のもと試合会場にて募金箱の設置、応援グッズ販売、支援イベントなどがおこなわれています。活動状況は髙山選手の公式ブログ https://ameblo.jp/takayama-do/ にて随時更新されていきます。当ブログを閲覧された皆様のご協力を、心よりよろしくお願い申し上げます。皆様からご協力いただきましたご厚意は、髙山選手の治療費等に寄付されます。ご賛同いただける方は、下記口座及びクレジットカードに募金をお振込いただければ幸いです。

 


 

〔銀行振込〕
★三菱UFJ銀行代々木上原支店
店番号137
口座番号:普通預金 0240842
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★みずほ銀行渋谷中央支店
店番162
口座番号:普通預金 1842545
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★三井住友銀行渋谷支店
店番654
口座番号:普通預金 9487127
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア 代表・髙山奈津子

※通帳は髙山選手の奥様がお持ちになられています
〔クレジットカード〕
日本語:https://secure.koetodoke.jp/form.php?to=13
ENGLISH:https://www2.donation.fm/takayamania-en/
〔TAKAYAMANIAお問い合わせ〕 
takayamania.staff@gmail.com