まるで小学生の絵日記のごとく…山の次は海も制す! 大和ヒロシ、いざ東京湾横断プロレスへ | KEN筆.txt

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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

BGM:Duran Duran『Rio』

 

8月27日(土)、千葉県富津市金谷と神奈川県横須賀市久里浜を結ぶ定期船「東京湾フェリー」船上にて「東京湾横断プロレス」が開催される。当日は12:25金谷港発7便で出航、約40分の海の旅を楽しむ中、船上デッキにてノーリングのプロレスをおこなうというもので主催・くいしんぼう仮面&企画・大和ヒロシほか菊タロー、大谷譲二、仲川翔大、マッチョ・マイケルズの計6選手が出場(する予定だったのだが…)。過去にも船の上にリングが組まれ試合がおこなわれたことはあったものの、東京湾上でプロレスをやるのはたぶん日本のプロレス史上初。いわばクリス・ジェリコが実現させたジェリコクルーズのようなものだ。

 

地元・千葉県の活性化とプロレスの普及に心血を注ぎまくってきた大和ヒロシは、これまで小湊鐡道、千葉都市モノレール車内におけるプロレスを実現させただけでなく、毎年夏には富士山頂プロレスにも参戦し、業界最高峰のベルト(標高3776.12m)・富士山頂プロレス王座を3年に渡り保持し続けている。そうした実績を誇るものの、定期船上におけるプロレス実現までよくぞ漕ぎつけたと思わざるを得ない。いったい、どのような経緯で開催するにいたったのか本人に聞いてみた。

 


▲出発地である金谷港にて

 

――さっそくですが、東京湾フェリーの船上でプロレス開催にいたるまでの経緯をお聞かせください。

大和 今まで千葉県内のいろいろな乗り物の中でのプロレスをおこなってきましたし、また開催できればと動いてきたんですけど、そうした中で船というのはだいぶ前から考えてはいたんです。実は別のところでも船上プロレスの話があってそちらで動いていたんですけど、コロナ禍の影響で立ち消えになってしまいまして。

――それも千葉県内の話だったんですか。

大和 そうです。そちらは遊覧船で、夏に船の上でお化け屋敷をやったりしているんです。お化け屋敷が可能ならばプロレスもできるだろうと思いまして。でも話が進まないので、それを待っているよりも新しい案件を探した方がいいと思っていたところ、知り合いの方から「東京湾フェリーで働いている知り合いがいる。連絡先を教えるから話をしてみてはどうか」とつないでもらったんです。それが今年の頭ぐらいですかね。その方は東京湾フェリーの社員さんではあるんですけど、港の売店スタッフさんで船に乗っている方ではなかった。それでもお会いする前に連絡を取った時点で自分は今までこういうことをやってきましたと伝えて、それでは会いましょうとなって港にまでいったら…なんと社長さんがいらしゃっていたんです。

――一発目の顔合わせから社長さんがおられたと。

大和 ええ。それでもうこちらは最初からプレゼン全開ですよ。千葉県出身なので千葉を盛り上げるために、そして千葉からプロレスを盛り上げるために活動しております。そのためにぜひとも、東京湾フェリーでプロレスをやらせていただきたいんですと直球でぶつけたところ、その社長がとても先進的な考えをお持ちの方で「面白いですね!」と賛同してくださったんです。

――初対面で!

大和 揺れる船の上でできるかどうかも聞かれたんですが、千葉都市モノレールでは懸垂型(ぶら下がりタイプ)でもやれました、なんだったらルールを変更してでも対応できますと答えましたら「ではじっさいに船の中を見てください。それでできそうだったら検討しましょう」と言われ、ちょうど港に停泊していたフェリーに乗ったところ、これがサイコーで。


▲停泊している船ではなく運行中のフェリーの上でプロレスをやるのだ
 

――サイコーというのはどういう意味で?

大和 飛べるところもちゃんとあるんです。ただ、プロレス目当てではなく一般のお客さんも乗船されていわけじゃないですか。そのへんは大丈夫なのかとお聞きしたら「大丈夫です!」と。

――聞く側と答える側が普通と逆のような気がします。

大和 昼の時間帯は土日でも乗車率が高くないそうなんです。だから、お客様が乗船するとっかかりとなるのであればぜひやってくださいと。これまでも船上でコンサートなどのイベントはやってきているので、次なる一歩としてプロレス開催を認めていただいたということですね。なので、先に開催が決まってから出場選手を決めるという流れでした。そこでマットプロレスを開催しているくいしんぼう仮面選手にこちらでもどうですか?と声をかけたらぜひやりたいと。

――まったく千葉に縁もゆかりもない人が。

大和 いやいや、それよりも経験が重要ですから。くいしんぼう仮面選手が手をあげてくれたことで本格的に開催となりましたね。千葉都市モノレールの時もそうだったんですけど、まずは飛び込みでいってできるかどうか、場を確保できるかどうかが確定してから動き始めました。実は鋸山(同じ富津市)のロープウェイも許可をもらっているんです。

――ロープウェイの中でプロレスをやるんですか。

大和 ただ、安全上立ってはいけない。だから寝技のみ。

――グラップリングルール! 船の上でプロレスをやるという発想はいつぐらいから持ち続けてきたのでしょう。

大和 千葉都市モノレールが終わったあとですね。あの時、乗り物の中でやるのがすごく楽しくて。千葉の乗り物を考えると私鉄は少ない。JRはさすがに難しいので乗り物としては限られる。そうした中で何があるかなと考えたところ、船があるじゃないかと。

――前提として乗り物ありきというのが普通じゃないですよ。

大和 千葉にある乗り物を紹介するきっかけになるじゃないですか。小湊鐡道さんの時は2分で完売して乗車できなかった方がたくさんいたんです。でも、その方々も小湊鐡道というワードは目にしたわけで、それだけでも認知していただくのはすごく大事ですから。何より一つ実績を作れば次に話を持っていくさいに持ち込みやすくなるので。

――当日は船上にマットを敷いてやるんですか。

大和 その予定だったんですが…実は今日(25日)、くいしんぼう仮面選手がコロナの陽性判定を受けまして。主催をお願いした選手が欠場になるという緊急事態が発生し現在、ものすごい逆境に立っております。

――当日2日前に…くいさんも無念でしょうね。

大和 主催者不在ではありますが、私が責任者として開催はします。

――1人欠けたことで対戦カードも変更になりますよね。

大和 そうなんですけど…カードもくいしんぼう仮面選手の頭の中にしかなかったもので。

――つまり、聞いていないと。

大和 はい、主催者に任せておけばという感じだったので、当日聞くつもりでいました。でも、変更は避けられないので元のカードがなんなのかわからないまま出場できる選手のみでどうするかを当日決めなければなりません。

――出場選手は6名でしたから、当初はシングルマッチ、タッグマッチを1試合ずつだったんですかね。

大和 うーん…そうだったみたいですけど、これで奇数になりましたので…5WAYマッチとかになるかもしれません。

――路上…いや、船上プロレスだったらその方がいい気がします。40分間ですし。

大和 出航から到着までの時間制限ですから、2試合よりも1試合の方がいいかもしれない。そうなると、マットを用意したところで船上のどこかにいってしまうでしょうから、意味はなさない。一応ですね、東京湾フェリーさんからは客室にも入っていいと言われておりますので。

――デッキではなく、室内のようになっている座席のあるスペースですね。

大和 スタートは甲板の上なのでそこで見ていただくのももちろんOKですが、試合が始まってしまったら船上のどこにいくかはやるまでわからない。とにかく船の上から海に落ちることだけは避けたいです。

 

▲とても広い甲板上。おそらくここから移動しまくりながら闘うと思われる

 

――それは…フラグですか。

大和 いやいやいや! 本当に落ちるわけにはいかないじゃないですか。まあ、風景的には周りはすべて海で、晴れればそれは一面青空という中、どんな感じになるのかですよね。

――シチュエーションとしてはこの上ないですよ。それにしても、東京湾フェリーさんはよくすんなりと受け入れてくださったと思います。

大和 そこは社長さんがイベント好きで、そういうものに理解のある方だったのが大きいです。それもイベントをおこなうにあたって地域を大切にした上で企画されてきたそうで、それが私の根本にある思いと合致したわけです。また、これまでいろんなところでやってきた実績があってこそのものだと考えておりますので、今までの積み重ねが形になったということですね。

――社長さんは当日見に来られるんですかね。

大和 あ、いらっしゃると思います。すごく楽しみにしていたんで。あとは当日の天候がよくなるのを祈るばかりです。

――レフェリー、リングアナウンサーの方も用意されているんですよね。

大和 はずです。それもくいしんぼう仮面選手に集めていただくことになっておりましたので。仮に何か不測の事態があっても、参加選手はいかなることにも対応できる皆さんなので、ゴングがなければ船上の厨房から鍋を持ってきて対応できるし、レフェリーがいなかったら自分で試合をやりながら裁けると思います。

――たくましいですね。で、私は場内実況をやらせていただくのですが、船上アナウンスのように皆さんに聞いていただける形なんですか。

大和 えーっと、一応ですね、メガホンを用意しますので。メガホンというか、ちゃんと電動の…。

――メガホンというより拡声器ですよね。将軍KYワカマツさんみたいにやるんですか。

大和 ええ、お願いします。船上で移動したらお客さんと一緒に追いかけてきてください。その周辺で聞こえる形になります。フェリーに乗るだけでなく、船内全体を楽しんでほしいですよね。

――乗車賃(片道900円)さえ払えばプロレスは無料で観戦できるのもいいですね。

大和 はい、投げ銭制になっておりますので、試合が終わったら私が回ります。面白かったと思ったらよろしくお願いします。

――ものすごく面白かったら、社長さんが100万円ぐらい出してくれるかもしれません。

大和 そうしたら今度は港でも試合をやります! 何よりも、これを恒例化したいので。8月は毎年、富士山頂プロレスと東京湾横断プロレスをやると。

――山と海って小学生の絵日記のテンプレみたいな押さえ方ですよ。

大和 定着させたら富士山と同じようにベルトを作らなければならないでしょう。

 

 

――東京湾最強の証。海と聞いたら大日本プロレスのポセイドンさんが黙っていないかもしれません。

大和 「東京湾横断プロレス王座」と聞いたら、もしかすると海ほたるからも「道路だって横断じゃないか。ウチでもやってくれ」と声がかかるかもしれませんし。あそこも千葉ですからね(木更津市)。あとは夜にもできたらいいですよね。当日も花火大会があるんですよ。プロレスは昼ですけど、夜にまた乗れば東京湾に上がる花火が見られますよ。
――金谷港にはアジフライで有名なさすけ食堂や井之頭五郎さんもいった漁師飯はまべのように魚のおいしいお店がいくつもありますから、そちらも味わっていただきたいです。
大和 プロレス以外でもたくさん楽しめますので、夏の最後の思い出作りに皆さん、お集まりください。

 

 

「東京湾横断プロレス」
★8月27日(土)東京湾フェリー船上(金谷港12:25発-久里浜13:05着予定)
〔参加選手〕大和ヒロシ、菊タロー、くいしんぼう仮面(欠場)、大谷譲二、仲川翔大、マッチョ・マイケルズ
〔場内実況〕鈴木健.txt
〔観戦方法〕プロレス観戦無料投げ銭制(別途要乗船料)
※乗車料金、当日のダイヤ等の確認は東京湾フェリー公式サイトまで