東京オペラシティ、アートギャラリーで開催中の谷川俊太郎展に行ってきた。
僕は何を隠そう、谷川俊太郎の大ファンである。
たくさんの詩集を持っているし、今まで何度も谷川さんの詩にインスパイアされて歌を作ってきた。
谷川さんの詩と自分の音楽を融合させたコンサートも行った事もあるくらいだ。
そんな谷川さんの詩の一番好きなところは、リズムである。
意味はもちろんなのだが、時に軽快なワルツのような、時に歌い上げるスローバラードのような、詩によって様々なタイプの音楽が聴こえてくる。
だから、僕は谷川さんの詩を読む時は音読する。
その方がより詩を味わうことが出来るような気がするから。(今日はマスクをしながら超小声で邪魔にならないように。)
そして、もう一つ好きなのは、ユーモアの感覚である。
谷川さんの詩には、どんな真面目に見える詩にも必ずユーモアがある。
読んでいくうちに、ぐーっと深いところに引き込まれて行って、急に緊張をふっと緩めるような一節があって、その瞬間、「あっ、またやられた!」と思う。
そして、それが癖になり、また次の詩が読みたくなっている。谷川中毒である。
この谷川俊太郎展では、詩はもちろん、仕事用具から、衣服、小物、個人的な手紙まで公開されていて、谷川俊太郎という一人の人間を身近に感じることのできるものになっている。
谷川さんがここを訪れた時に、その場のインスピレーションで書いたと思われる、張り紙が面白い。
りんごについて、延々と語ったと思うと、「理想のアップルパイにはまだ出会えていません。」などと書いたり、
自分のことについての詩を読んだかと思えば、「自分には飽きる。他人の方が面白い。」と言ってみたり、
死生観を読んだ後に、「谷川俊太郎はもう歴史に属しているんでしょうか?」と自らを皮肉ってみたり。
とにかく、あらゆる感性のツボを柔らかく刺激する谷川さんの言葉に、また「谷川愛」を深めたのでありました。
そして僕は、今日頂いた谷川さんのポエジー(詩情)を栄養に楽曲制作に勤しむ。
いつかお会いできたら、お礼を言いたい。至高のアップルパイを手土産に。