朝日放送 「ムーブ!」に対する公開質問状 | 悪徳不動産会社スマイルサービスとの闘い   blog版

朝日放送 「ムーブ!」に対する公開質問状

7月30日に放送された朝日放送の「ムーブ!」という番組があまりにひどいので、抗議として8月19日付けで公開質問状を送付しました。


不当な言論にはちゃんと訂正して質していく必要があるからです。


まずは番組をご覧ください。


以下が公開質問状になります。

多少長いですが、お読みいただければ。


PDFでも読めます。


この質問状に対する回答も 来ています。


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2008年8月19日
朝日放送株式会社 代表取締役社長 渡辺 克信殿
朝日放送「ムーブ!」番組担当者様


公開質問状


スマイルサービス闘争を支援する会


【事実確認と意見】



私たちは、「スマイルサービス闘争を支援する会」で、スマイルサービスで被害に遭った方の相談に乗ったり、被害回復のための活動を行っている団体です。
このたび、御社放送番組である「ムーブ!」で、事実に基づかず被害当事者を貶める看過できない放送がありましたので、強く抗議するとともに公開質問状を送付させていただきます。


御社朝日放送の番組である「ムーブ!」で、7月17日放送コーナー「台頭する貧困ビジネス 救世主?それとも搾取?」の続報として、7月30日に「貧困ビジネス 明らかになったその実態」というコーナーが放送されました。その番組内で、ビデオを用いて先日7月26日に行われたゼロゼロ物件被害110番の模様が説明され、相談内容も紹介されました。その後、番組に出演しているコメンテーターが次々と発言しました。


以下で発言内容を確認し、検討します。


やくみつる氏は「この件が放送された時には、この会社に対しむしろ同情的な気持ちを持った。『甘ったれんな、フリーターの店子』と思う。旅行中に支払期日が来たから払えないといっても、支払い期日を放っておいて旅行に行くことも問題だと思う。ある程度きつめにやらないと(借り手を)増長させてしまうことになるので、その懸念を考えれば、この業者がやっていることはそれほど悪質なものとは思えない。」と発言しました。


まず、『甘ったれんな、フリーターの店子』というのは、フリーターが甘えていてだらしがないから賃料を支払う期日が守れないのだという根拠のない仮定を、今回の被害当事者に無前提に結び付けており、フリーターに対する明確な差別であると同時に、事実と異なる認識に基づき被害当事者を貶める二重に差別を重ねた発言です。


今回の被害当事者で言えば、たとえば、給与支払いが月末であったために、スマイルサービスが規定する28日の賃料支払期日に間に合わず毎月のように2万円近くの違約金を支払っていた、という事例があります。改めて言うまでもなく、この違約金条項は消費者契約法9条2項に違反する違法行為です。このことが被害当事者にとって大きな経済的負担であり続けたことは明らかです。彼は昼と夜の仕事を掛け持ちながら、低い賃金で休む間もなく働いていました。にもかかわらず賃料を支払えないのは、上記の違約金の事案に加えて、フリーターのおかれた低賃金かつ不安定な労働条件という社会構造的な原因があるのです。番組コーナーで「貧困ビジネス 明らかになったその実態」といったタイトルを掲げておきながら、このような事実を取材せず、あたかも賃料を支払う期日を守れないのはフリーターが甘えていてだらしないから、といった主旨の発言がなされるのは、フリーターへの不当な差別意識からに他ならず、被害当事者への侮蔑です。


また、発言後半部分の支払い期日を放っておいて旅行に行くことを問題とした発言ですが、これも到底筋違いと言わざるを得ません。当該被害事例は、当事者は旅行から戻ってきたら鍵を変えられていて、その後家賃を納入後、再三交渉するも頑なに業者は取り合わず、いつのまにか現金や貴金属、権利書を含めたすべての荷物を処分されてしまったという事案です。
業者の行っていることは、自分の損害を取り戻すために法的手続きに則らず自ら損害を取り戻そうとする自力救済と呼ばれるもので、法治国家では許されない、明確な違法行為です。そもそも、この事例で言えば、家賃収入がないことにより貸主が被った損害よりも、借主は多くの被害を被っていることは明らかです。
このような事例を挙げた上で、やくみつる氏はどうして「この業者がやっていることはそれほど悪質なものとは思えない。」と発言できるのか、到底理解できません。この発言は、借り手を増長させないためには、貸主は違法行為を働いてもいい、落ち度のある借り手は法に関係なく私的な罰を受けても仕方がない、という主張と解することができます。


次に上杉隆氏は「業者の悪い部分が報じられているけれども、この業者のおかげで助かった方もいるわけで、そういう方にもスポットを当てるような報道をするべきではないか。」と発言しました。


確かに、入居費用が安いことで、住まいを得て「この業者のおかげで助かった人」はいるかもしれませんが、それは問題の表層を見ているだけだと言わざるを得ません。この業者は、法的知識に疎い社会的経済的弱者を狙ったビジネスをすることで、あえて不利な違法性の高い契約を入居者に成約させ、本来得られるはずのない違法な利益を上げていました。つまり、助かったと思っていても、実は不当な契約書を理由にして違約金支払いや鍵交換、居宅侵入などの被害を受けていることが多いのです。被害を受けているにも関わらず、契約書にあるからと当事者が被害に気付かない。これはより大きな問題であるし、不当な契約を結ばされたという意味で、この業者と成約させられた方は、全員が被害者とも言えるのです。
それに、この業者が違法性の高い営業をしていることで、本来であれば、住居を奪われずに済んだにも関わらず、鍵を交換され屋根を失った人もいます。むしろ、この業者は違法な営業をすることで居住を不安定にさせる直接的な原因を作っているのです。
また、もしこの業者のおかげで助かった人がいるからといって、被害者の被害が回復されるわけではありません。助かった人がいるのだから、被害者が一定数いたとしても致し方ないということにはなりません。


最後に、司会である朝日放送アナウンサー堀江政生氏は「家賃を払わなくて大家としても出したいのに出せないという変な店子も大勢いますからね。」と発言し、コーナーは閉じられます。


借地借家法では、普通借家契約では、契約の解除には正当事由が必要とされ、判例では家賃が半年ほど遅れた場合に信頼関係の破壊とみなされ、契約解除が認められる場合があります。しかし、今回の被害事例では、たった1日家賃納入が遅れただけで、鍵を交換され住居を失うという被害が多発しています。これは、借地借家法に違反した行為である可能性が高いと考えられます。
司会者である局アナウンサーが、スマイルサービスを扱った報道の最後を締めくくるコメントとして、「家賃を払わなくて大家としても出したいのに出せないという変な店子も大勢いますからね。」と根拠なく発言することは、コーナー全体の見解として、今回の被害者が「追い出さねばならない変な店子」であり、業者の違法性を阻却し、被害者に問題があるのだという印象を視聴者に大きく持たせます。


番組として、このようなコメンテーターや局アナウンサーの事実に基づかない被害者を貶める発言を許容し、そのまま無批判に放送した責任は極めて重大であると考えざるをえません。


【公開質問】
よって、以上を踏まえ、下記の質問をさせていだきます。


1.スマイルサービスが違法企業である、あるいは、違法性の高い営業を行っている業者であるという認識をしているか?


2.やくみつる氏の、「甘ったれんな、フリーターの店子」という差別発言について、番組としてどのように考えているか?


3.やくみつる氏の、支払い期日を遅れたことで業者が荷物を処分した事例を挙げた上で、「借り手を増長させないためには、この業者がやっていることはそれほど悪質なものとは思えない」という発言について、番組としてどのように考えているか?


4.上杉隆氏の、「業者によって助かった人もいるのだから、そういう方にもスポットを当てる報道をするべきだ」という発言について、番組としてどのように考えているか?


5.朝日放送アナウンサー堀江政生氏の、今回の被害者が「追い出さねばならない変な店子」であるかのような発言について、番組としてどのように考えているか?


6.もし不適切な発言であったことを認め、問題であると考えるのなら、今後追加取材をした上で、法律家からのコメントを取るといった追加訂正報道を行うつもりはあるのか?


7.もし不適切な発言であったことを認め、問題があると考えるのなら、このような問題発言をするコメンテーターやアナウンサーを今後も起用し続けるのか?


8.今回の事態は、まともに被害実態を取材をすることもなく、ビデオを使った説明を行った後、コメンテーターに意見を求め、浅い理解のまま事実に基づかない発言を許容する番組構成自体に問題があると考えるが、番組構成を変える、あるいは廃止するつもりはあるのか?


以上の各質問について、8月31日までに上記住所宛へ必着にてご回答を願います。
なお、該当番組による社会的な影響や問題の重要性に鑑み、本件質問とご回答有無及び内容は公開を前提としていることをご了承ください。


以上

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