知ってるつもりのIllustrator(リンク編2) | 3倍早くなるためのDTP講座

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DTPの作業を早くするためのテクニックを綴っていこうと思っています。

つづきです。

●リンク先の変更と更新

リンク先のファイルを変更した場合、「リンク」なので当然Illustrator側でも変更されます。しかし、これには「条件」が付きます。

たとえば、リンク画像のあるIllustratorファイルをInDesignに貼り込んだとします。InDesignからPDFを書き出せば以下のようになります。


ここからリンク先のファイルを更新します(aiファイルは開きません)。この状態でInDesignからPDFを書き出すとどうなるでしょう。


Illustratorにリンクしているファイルが変更されているのだからそれを反映したPDFが書き出されそうですが、実際は「Illustratorを保存したとき」のデータで書き出されます。つまり、リンク先ファイルだけを修正しても変更は反映されていないということです。


察しのいい方はお気づきでしょう。そう、Illustratorがリンクファイルを「リンク」しているのは「ファイルを開いている」ときなのです。

ちなみにInDesign-InDesignリンクではリンク先のデータに変更が生じた場合警告を出します。こちらはリアルタイムで「リンク」していることがわかります。

●リンクファイルの行方

元データまでリンクファイルを読みにいかないならば、データはどこから吸い上げているの? と思いますよね。



実はリンクと言いつつ保存時にリンクファイルを複製内包していて、そのデータを出力しているのです。なにぃ、リンク画像をIllustratorファイルに一緒に保存しているだと!


と、にわかに信じがたい事実ですが、容量を見ればほらバレバレですよ。

↑白紙データは126KBで、リンク画像を配置して保存しただけのデータは9.3MB(保存オプションは同じ)。リンク元画像が14MBでちょっと計算合いませんが、プレビュー画像にしては重すぎます。…持ってますよね。

乱暴ないい方をすれば、リンク元のデータなんか無くたってちゃんと出力できるのです(でも入稿時は添付しないとダメです。リンクデータが無いと、データのチェック時にリンク切れになってしまいますから)

●保存形式による違い

リンクファイルを内包するのはPDF互換チェックのあるai形式か、Illustrator eps形式になります。両者はリンクファイル内包のルールが違います。
※「配置した画像を含む」チェックの有無と、リンクデータの内包は関連性がなさそうなので、ここでは外す前提とします。


■ai形式
ai形式のデータをInDesignなどに貼り込んで出力するためには「PDF互換チェック」が必須となります。PDF互換チェックは説明が大変なので省きますが、チェックするとリンクファイルを内包します。


つまり、ai形式出力用ファイル = PDF互換チェックをオン = リンクファイルを内包するという構図になり、必然的に内包する形になります。


(参考:公式ヘルプ引用
A-2. 「PDF 互換ファイルを作成」オプション

AI ファイルは PDF および PGF の両方の形式を使用します。「PDF 互換ファイルを作成」オプションを選択した場合、Illustrator は PDF ファイルを読み込める全てのアプリケーションと互換性のある PDF 構文が添付されているファイルを作成します。このオプションを使用する場合、Illustrator のファイル内に 2 つの形式を保存するため、ファイルサイズは増加します。


ただし、「PDF互換チェック」なしはPDFとしての情報を持たないだけで、リンク情報が消えたり、Illustratorデータが破損することはありません。


■Illustrator eps形式
こちらはPDF互換チェックはありませんが、「ver.9以降」のIllustrator eps形式ファイルは出力用のファイルを内包します。なので現在のIllustrator eps形式はリンクファイルを内包していると考えて良いでしょう。

↑同じデータからバージョンを変えて保存しました。共に「配置した画像を含む」チェックは外しています。


また、ai形式とeps形式では内包するデータの形式が違います。FileJuicerというソフトで抽出して検証してみましたが、ai形式は透明や別カラーモードのデータ(RGB←→CMYK)を内包、eps形式は透明を分割してカラーモードは統一して内包しているようでした。


●ではリンクはリンクでは無い?

それじゃあ埋め込みと変わらないじゃん。と思うかもしれませんが、埋め込みとの決定的な違いは「情報として」は外部ファイルであること。Illustratorファイルを開いた瞬間に内包データは外部データのリンクに置き換わりますので、「リンク」としての体裁を保っていることに変わりありません。


また、「リンクとして内包したもの」と「埋め込みしたもの」ではデータが異なります。例えばai形式でCMYKの書類にRGB画像をリンクした場合、リンクならRGBのまま内包、埋め込みならCMYKへ変換されます。


リンク周りは思った以上に深くてどうも藪をつついて蛇を出した感が…。
記事はかなり端折っているにも関わらず、まとめきれず。
まだつづくのです。