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「総理入り」となった消費税転嫁法案の経産委審議。


私も質問をさせて頂きましたが、その概要は以下(1~3)の通りです:


1) この法案が通ってしまえば、そこから企業は会計システムやPOSシステムの準備をスタートさせる必要性が出てくる。つまり外堀が埋められてしまい、消費増税が既定路線となってしまう。この法案は「既成事実化」を狙ったものではないかと思っているが如何?



理由→ 今回のこの消費税転嫁法案は参議院と衆議院で参考人質疑を入れると合計11回もの審議が行われました。過去10年間の実績を調べてみても、経済産業委員会で審議回数が3回を超えるものは一つもありません。なぜ、これほどまでに、この法案に力を入れるのかが不明です。
また、5月28日に私が稲田大臣に対して、5月31日に中西さんが麻生大臣に対して「なぜ、消費税を上げるかどうか決まっていないのに、この法案の終期を平成29年3月31日までと区切っているのか?」「本来ならば、消費税増税が施行されてから3年とすれば良いのではないか?」との質問をさせて頂きましたが明確な答えは得られませんでした(稲田大臣のその時の答弁は「法律上、確定的な日付で書くのが適当だと思ったからだと思います」と非常に分かり辛いものでした)。
終期を最初から決めてしまう。これは明らかに、消費増税を確定させていると思わざるを得ません。



それに対して安倍総理は「この法案は、(消費税率引上げの半年前に判断するという)枠組みを変えていくというものではもちろんございません」との答弁でした。



2) (この法案が通ってしまえば、増税が既定路線化すると話をしたが)本来はもっと本質的な話、つまり「増税ずるべきか否か」の議論を国民的にしてもらうほうが大切である。今は株価を見ても非常に不安定な状態にあり、三本目の矢でしっかりと経済成長を成し遂げてから増税をするべきだと思う。つまり10月の増税は見送るべき。安倍総理はどう思うか?



理由→国会での審議回数が増える度に、メディアやSNS(ブログ、ツイッター、FBなど)での消費税や転嫁に関する書き込みが増加しています。柳井さん(ユニクロ)のような小売業者の中心人物が問題提起などをした時は尚更です。つまり、本来あるべき「増税するべきか否か」の議論は消えてしまい、「増税後」の話ばかりになってしまっている。結局、これも既定路線化の一環になってしまっているのです。そうやって、国民の目をそらすような事を考えるよりも、経済を優先すると言うなら、今回は増税を見送るべきです。



それに対して安倍総理は「せっかく景気がこれから良くなるかもしれないと多くの方が思い始めていただいているという中において、やっと数値においても好転していく兆しが出てきた中で、それをまた元に戻してしまうということになっては、これは元も子もないわけでございます・・・」「様々な指標をよく吟味しながら適切に判断をしていく考えであります」などと答弁しました。実際は、この前段に比較的長い説明をされ(自分の言葉で)、私には消費増税について少し悩んでいる様にも感じられました。



3) 「消費税還元セール」という広告が市中に氾濫(はんらん)すると、否が応でも「消費税」という文字が国民の目に入ることになる。そうすると、国民の中では益々「消費税」に対するイメージが悪化する。いわば、「消費税」のネガティブキャンペーンのようになってしまう。そうなると、次の増税がやりにくくなる。つまり、このネガキャンを防ぐ為に、実際はザル法となってしまった「表示規制」を行おうとしているのではないか?



理由→消費増税に対する国民の不満を生じさせない一つの方策は、国民に消費増税を感じさせないことではないかと思います。本法案では「消費税還元セール」といった広告を禁止しています。しかし、これも先日の委員会で聞いて判明したのですが、「4月以降もお値段据え置き」や「3%還元セール」という表示は許されるとのこと。
あやふやな「ザル法」になっているわけですが、それでも頑なに「消費税」という言葉だけは規制しようとしている。つまり、消費税の言葉刈りをする為だけに、無意味になってしまった表示規制を強引に通そうとしているのではないかと思います。
私は前回の消費増税の後に実施された「総額表示(内税方式)」の際も同じことを感じました。当時は経営者だったので、内税方式になったことによる苦労を実体験したのです。例えば290円のラテを[290円(+消費税15円)]と表示するのと、[305円]と表示するのでは、全くお客様の受け止め方が違ってきます。つまり、「消費税が上がったからな」と考える人はいなくなり「値段が上がった」としか思われなくなってしまうのです。また、内税方式になると、源泉徴収制度のように、消費者は消費税を取られている事を忘れてしまい、いつのまにか麻痺してしまう。つまり、次の増税がやり易くなる。今回の「言葉刈り」と同様、それが本当の狙いなのだと思います。



それに対して安倍総理は「松田委員は深く読まれておられるんだろうなというふうに思いますが、そこまで考えているわけではございません」との答弁。



はたして、本当に私の杞憂でしかないのでしょうか?
もし、安倍総理が本気で「松田さんは考え過ぎだ」と思っているとしたら、その後ろでほくそ笑んでいる官僚がいる事を忘れてしまっているような気がします。



更に、時間が無くて議論できなかったことが2つありますので、それについても簡潔に言及したいと思います。



1つは、この法律の終期である平成29年3月31日まで、小売事業者は値引き交渉がやり難くなります。その交渉を「消費税の転嫁に問題がでる行為だ」と納入業者にクレームを出されたら、公正取引委員会の立ち入り検査が入って、場合によっては悪質業者として社名が出てしまう可能性があるからです。
また、特別措置として、中小事業者に値段のカルテルを組むことを許しています。



つまり、これは中小納入業者を守るという名目で値下げ交渉をさせない=デフレ対策を行っているようなものです。
インフレターゲットを否が応でも達成しなくてはいけない安倍政権の必死の策だと言えます。

もう1つは憲法上の問題です。
「消費税還元セール」という広告の禁止は、憲法違反との指摘もあります。憲法22条の経済的自由を侵害するという視点と憲法21条の表現の自由を侵害するという観点からの指摘ですが、今回のような規制は一般的には経済的自由の問題として語られます。表現の自由というのは、政治的な言論や自己実現の手段を守るためであって、営利的なものは含まれないとの考えがあるからです。



しかし、経済的自由は表現の自由と比較すると保障の程度が低く、立法・行政の判断が尊重されがちです。営利的表現であっても、国民の知る権利に資する点、また、たとえば、消費税還元セールという広告も、小売店の「私たちは消費税増税には反対しています」という思想が含まれている場合もありうる点において、表現の自由として保障される必要があるといえます。今回のように安易に規制すべきではありません。



この国会の経済産業員会で稀にみるほどの審議回数がとられた消費税転嫁法案。
元々は昨年、民自公で作り上げた法案なので、圧倒的な賛成多数で可決されました。



しかし、最後まで読んで頂いた読者には、この法案一つとっても様々な角度から見る必要があることが伝わったのではないかと思います。
疑問を持たずにスルーでこのような法案を通してしまうようでは、やはり自民党も民主党も官僚の手の平の上で踊らされているだけだと言わざるを得ないのです。





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「反対討論をしたのはみんなの党だけでした。復興基本法や、原発損害賠償支援機構法の時を思い出します」