日本の公職選挙法は世界でも類をみないほど厳しい内容になっています。(過去ブログ「公職選挙法について 」)

例えば、選挙ポスターについても大きさ、貼れる枚数、掲示方法、証紙貼りなどに厳しいルールが課されています。

しかし、そのポスターに関して「原則自由」とされているものがあります。

それは、写真の内容です。

選挙が始まった地域の皆さんもポスターを街で見かけることが多くなってきたと思いますが、中には「あれ?この人、こんなに美男子(美女)だったっけ?」と感じる人もいるのではないでしょうか?
多少の違いならまだしも、何年も前の写真を使ったり、修正が多すぎて、中には候補者本人と判別がつかないレベルのものもあります。

この現状はまずいと思っています。

学歴詐称や、経歴詐称で、辞職にまで至った議員も過去には何名かいるわけですが、言ってしまえば、これは写真詐称のようなもの。

現在は画像修正ツールが非常に発達していて、素人でも簡単に画像を修正することが可能です。
もちろん、プライベートなどで修整して楽しむのは全然良いと思いますが、それをもとに選挙の勝敗が決まってしまうようでは、フェアではないと思ってしまいます。

人の印象は90%が「見た目」だとする研究結果や(以前「3分間で成功を勝ち取る方法」という本の監訳したことがあります)、チラシの写真の印象や、投票に行く途中に見たポスターの印象で投票先を決めている有権者が多いことを示す調査結果もあります。
なぜ選挙ポスターはこんなにも自由になっているのでしょうか。

その理由を総務省に確認したり、予算委員会で高市大臣にも聞いたりしましたが(その時の動画はこちら/2015/4/8/予算委員会 )、答えは「そもそも選挙ポスターに写真を載せなければならないという規定もございません」というもの。


総務省の職員の話では、候補者以外の写真でも法的に取り締まるのは難しいとのこと。つまり、誰の写真を貼っても良いと解釈されているようす。

憲法で考えると、表現の自由と、選挙運動の自由を守っているということかもしれません。

この規制をつくるのは、公職選挙法の改正が必要になり、インターネット選挙解禁に携わった経験からすると、非常に大変なのがわかります。
(公職選挙法は、原則「全政党」のコンセンサスがないと変えるべきではないという慣習が国会にはあります)

よって、改正の動きをすると同時に、先んじて総務省には「画像修正はしないように」とするガイドラインを作ってもらうのが良いのではないかと思っていますので、予算員会でもそう提言しておきました。

民間でも、販売している商品のチラシや広告の写真が違ったら、返品したり、代金を返してもらうことが可能です。あまりにも悪質な場合は詐欺罪で訴えられることもありますよね。
選挙にはクーリングオフ期間もありませんし、なかなかリコールもできません。

しかし、この詐称ともいえる本人と違う写真によって選挙の勝敗が決まってしまったら、それこそ「正直ものは馬鹿をみる」ということになってしまいますし、
度が過ぎる候補者が増えていくと、益々国民の政治家不信を招いてしまうことに繋がるのではないでしょうか。
形式だけに拘って、本質を見失ってしまうと、本当の公正さからドンドンずれていってしまうのが良くわかるような話だと思います。


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出典:Photoshop Surgeon(YouTube内動画)をもとに松田公太事務所作成       (https://www.youtube.com/channel/UCiTnfugk85-N3Z3wstB72og)