すみコラム 27
「一瞬の光」を読んで。



本を選ぶ時、文庫の厚さって割と重要だったりしますよね。
あまりにも分厚いと、躊躇してしまいますし、数ページ捲った時に文章が詰まっていると、そうそうの覚悟がないと途中で挫折してしまいそうな気になります。



「一瞬の光」2000年
白石一文さんのデビュー作にして代表作です。


こちら、600ページ近い長編です。
正直、スラスラ読める類の本ではありませんが、じっくり時間をかけてしっかり理解して読み進める事が重要です。



ネタバレは書きませんが、冒頭から中盤位まで、すごくイライラするところもあります。でもそのイライラは、作者のしてやったりな事なのであって、どんどん物語に引き込まれていきます。


実はこれ、数年前に本好きな友人から凄くすすめられ、一度読んでいました。それから白石さんの本は結構読んだのですが、何故だかまた最近これが読みたくなったんですよね。

「人生の一瞬一瞬を、次の瞬間が最後の瞬間となるように生きなければならない」

壮大なテーマなのですが、文章が綺麗で説教臭くはありません。でも、話がかなりの「男性寄り」なので、賛否両論があるのは否めません。

「結局男ってそういうもんなんだよな~」と思う女性は多いと思います。この「そういう」というのは人それぞれの解釈でしょうが。

でもだからこそ、誰もが持っている感情を飾り付け、代弁してくれているようなこの作品が多くの読者の心に突き刺さっているのだなと思いました。


ちなみに、このカバーイラスト、前買ったときは



これだったのですが、こっちのが好きー!

これをすすめてくれた友人も「今まで読んだ本で、一番好きな装丁」と言っていたような気がします。

誰に感情移入するかで、物語の後味がかなり変わる本。

ちょっと長くて根気がいるかもしれませんが、死ぬ前に、読んでもらいたい一冊です。