夜、アイスコーヒーを仕込むの迷っている私の話です。
というのも、毎朝コーヒーを飲むのをかかさないのですが、うちは水出しのため、アイスが飲みたい場合は夜のうちに仕込んでおかないといけないからです。
でも最近、気温の変化が激しいので、朝ホットを飲みたい気分の時が多いのです。しかも最近、立て続けにホットの豆を買っているので、ついついアイスコーヒーを仕込まない夜が多かったりします。
そんなことを考えていた昨夜、テレビの天気予報では「明日は都内は30度!その後は秋の訪れ・・・」のようなことを言っておりました。私はあわてて冷蔵庫の引出からしばらく使われていないアイスコーヒーの豆(ペーパー用)を取り出しました。
「ああ、こんなところに置き去りにしてしまい、すまないねえ。」と語りかけました。
すると、アイスコーヒーは
「そんなこと気にするな。まだ、夏は終わっちゃいねえぜ。」と、微笑返してくれたような気がします。
少し埃をかぶったアイスコーヒーのポットを軽く水洗いし、そっと豆を入れ、優しく水を注ぎました。ああ、これがアイスコーヒーなんだな。遠い記憶の胸の高鳴りを感じ、その夜は床につきました。
朝、冷蔵庫を開けると、堂々とした佇まいのアイスコーヒーポットが待っておりました。
「ちょうどいい、あんばいだぜ。」
私はお気に入りのガラスカップに氷を入れ、アイスコーヒーを注ぎました。
「パチッ!」
氷がはじける音がしました。冷凍庫から取り出した白熊アイスを食べながら、夏の終わりを楽しむ朝。
アイスコーヒー豆の袋の中には、申し訳なさそうなくらいの、スプーン半杯ほどの粉がまだ残っています。最後はペーパーでいれて、氷で冷やしてやろう。そんなことを思う、初秋のすみこの朝の風景。