・米国で行われた従軍慰安婦訴訟時の日本の主張とは ~日本政府は歴史問題の真実追及に着手すべき~ | アジアの真実

・米国で行われた従軍慰安婦訴訟時の日本の主張とは ~日本政府は歴史問題の真実追及に着手すべき~

【緯度経度】 米国での慰安婦訴訟の教訓 :3/18産経新聞紙面より

【ワシントン=古森義久】 慰安婦問題といえば、最近でもなおNHKの番組や朝日新聞の報道をめぐって、論議が絶えないが、米国内でこの問題で日本を非難する勢力にとって大きな後退となる最終判決がこのほど出された。米国の司法や行政の良識を思わせる適切な判決だったのだが、ここにいたるまでの五年以上の原告側の執拗な動きからは日本側にとっての多くの教訓もうかがわれる。

 米連邦最高裁判所は第二次大戦中に日本軍の「従軍慰安婦」にさせられたと主張する中国や韓国 の女性計十五人が日本政府を相手どって米国内で起こしていた損害賠償請求などの集団訴訟に対し、二月二十一日、却下の判決を下した。この判決は米国内でのこの案件に関する司法の最終判断となった。もう慰安婦問題に関して日本側に賠償や謝罪を求める訴えは米国内では起こせないことを意味する点でその意義は大きい。

  日本政府は当然ながらこの種の賠償問題はサンフランシスコ対日講和条約での国家間の合意で解決ずみだとして裁判所には訴えの却下を求めた。ワシントン連邦地裁は二〇〇一年十月、日本側の主張を認めた形で原告の訴えを却下した。原告側はすぐに上訴した。だがワシントン高裁でも二〇〇三年六月に却下され、原告側は最高裁に上告したところ、最高裁は二〇〇四年七月に高裁へと差し戻した。 だが、ワシントン高裁の再審理でも日本政府に有利な判断がまた出て、原告は二〇〇五年十一月にまた最高裁に再審を求めた。その結果、最高裁が最終的に決めた判断が却下だったのだ。

 六年近くもこの訴訟を一貫して、しかもきわめて粘り強く進めた組織の中核は「ワシントン慰安婦問題連合Inc」という団体だった。在米の韓国人や中国人から成り、中国政府関連機関とも連携する政治団体である。Incという語が示すように資金面では会社のような性格の組織でもあるという。

 この「ワシントン慰安婦問題連合Inc」は実は二〇〇〇年十二月に東京で開かれた「女性国際戦犯法廷」にも深くかかわっていた。この「法廷」は模擬裁判で慰安婦問題を主に扱い、日本の天皇らを被告にして、その模擬裁判を伝えたNHK番組が日本国内で大きな論議の原因となった。「慰安婦問題連合」はまた、その少し前には中国系米人ジャーナリスト、アイリス・チャン氏著の欠陥本、「レイプ・オブ・南京」の宣伝や販売を活発に支援した。

 この種の組織は日本の戦争での「侵略」や「残虐行為」を一貫して誇張して伝え、日本の賠償や謝罪の実績を認めずに非難を続ける点では間違いなく反日団体といえる。その種の団体が日本を攻撃するときによく使う手段が米国での訴訟やプロパガンダであり、その典型が今回の慰安婦問題訴訟だった。米国での日本糾弾は超大国の米国が国際世論の場に近いことや、日本側が同盟国の米国での判断やイメージを最も気にかけることを熟知したうえでの戦術だろう。日本の弱点を突くわけである。

 だが米国の司法は最高裁での却下という結論を打ち出した。行政府のブッシュ政権も一貫して「日本の賠償は対日講和条約ですべて解決ずみ」という立場を裁判の過程でも示した。

 しかし立法府である米国議会は「慰安婦問題連合」などの果敢なロビー工作を受けて、慰安婦問題ではまだ日本を非難する決議案をたびたび出している。その種の工作の持続性、粘り強さは今回の訴訟での軌跡がよく示している。日本側も米国という舞台でのこの種の争いの重要性を十二分に意識して、果敢に反撃すべきだろう。反撃すればそれなりの成果も得られる。今回の最高裁の判決はそんな教訓を与えてくれるようである。 (一部略)


 3月18日の産経新聞紙面よりの引用です。韓国、中国の”自称”従軍慰安婦の女性が日本政府を相手取ったアメリカでの訴訟で最終的に敗訴し、以後慰安婦問題についてアメリカ内で訴訟は起こせなくなったということは、中韓の組織的な工作活動が実を結ぶことなく真っ当な判決が出たということで、喜ぶべきことではありますがが、一方で日本の反論が「この種の問題はサンフランシスコ講和条約で解決済み」という内容になっているのが非常に気になります。確かにそこは間違っていないのですが、この主張は、この”自称”従軍慰安婦達の主張自体は正しいが、サンフランシスコ講和条約で解決済みなので訴えは無効とも取れてしまい、暗に”自称”従軍慰安婦達の主張を認めてしまっていることにもなります。結局訴訟で勝ったとしても、根本的な解決にはなっていないのです。(この手の裁判は日本でも度々起こされています。ほとんどの判決は原告敗訴ですが、その理由は今回と同じく、「国家間で解決済みの問題である」としたものが大半です。つまりここでも”自称”従軍慰安婦の主張自体は暗に認めてしまっているケースが多いのです。)

 これは、日本政府の公式見解として従軍慰安婦を認めてしまっていることが大きな足枷となっているのは間違いありません(あの悪名高き平成5年の河野談話 が元になっています。従軍慰安婦問題が出来た経緯は、当Blog過去記事参照→「作られた従軍慰安婦1 」 「作られた従軍慰安婦2 」 )。”自称”従軍慰安婦達の主張は、政府の公式見解と合致している部分があるため、そこには具体的な反論は事実上できない。しかも、ここで所謂「歴史認識」について政府が見解を変えれば、中韓が再び烈火のごとく日本を攻撃してくる姿が容易に想像できます。つまり、「サンフランシスコで解決済み~」というのは、間違いではなないにしろ、日本の”逃げ”の主張と捉えられます。


 政府公式見解を簡単には変えられない。変えたら中韓の日本攻撃の激化するだろうという点を懸念するのもわからなくはないですが、真実を押し隠し、いつまでも外圧を恐れてそれを訂正しないというのは如何なものでしょうか。この根本を解決しない限り、この手の訴訟はなくなりませんし、中韓の歴史問題をネタにした日本攻撃も終わることはないでしょう。つまり、正しくない、もしくは不確かな歴史見解を政府が保持してしまっていることが中韓との外交問題を引き起こす最大の原因にもなっているのです。


 いつまでも逃げていては何も解決はしません。難しく長い道のりにはなるかもしれませんが、そろそろ日本は従軍慰安婦、強制連行、南京事件といった問題に対し、本格的に真実を追及することを始めたらどうでしょうか。それが長い目で見れば、中国や韓国との外交を正常な状態に修正することにもなるはずです。

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参考書籍:


日韓「歴史問題」の真実 「朝鮮人強制連行」「慰安婦問題」を捏造したのは誰か
西岡 力
4569643167


これだけは知っておきたい日本・中国・韓国の歴史と問題点80
竹内 睦泰
4893086170


なぜ中韓になめられるのか
屋山 太郎
459405028X