先頃息子が書いた作品で「トランスイマー」という夢をテーマにしたものがあった。

物語は、結婚適齢期の里子を中心に進む。里子は辛い現実ではなく、むしろ全くその逆の、素晴らしすぎる現実から逃げて行く。

「あまりに夢のようで」夢としか思えなかったのだろう。過眠症となり、明晰夢と現実が入れ替わる里子。そしてとうとう里子は記憶の中から愛しい人(婚約者・梶雅人)を消してしまう。

その日目覚めた里子は泣いていた。記憶から消されてしまい途方にくれる梶君。そんな梶君に、里子の幼馴染み哲太は言った。

「里子、起きた時泣いてた。泣きながら目覚める時って、脳が夢の中で、何か大事な記憶を上書きしたからだと思うんだ」


私は今日、起きた時涙でまぶたがくっついていた(結膜炎ではない)。

夢には、昔、家族同様に過ごした大輔という人と宇多田ヒカルのアルバムが出てきた。思えば私は宇多田ヒカルの「First Love」が好きだった。歌詞には「煙草のフレイバー」。寝る前に煙草のことを考えていたから、脳はそれを持ってきたのだろう。(脳は記憶をアゲるDJだから)。

大輔は夢の中で、宇多田ヒカルが自分をモデルに歌を作ってくれた、と喜んでいた。タイトルはSammy(サミー)※そんな曲ないですよ(笑

そしていま、はて?大輔は煙草をすっていただろうか?と考えるのであるが、全く覚えていない。

大輔の記憶は上書きされたようだ。




話は変わって、私はピーチ・ジョンの初代クリエイティブディレクターであるが、当時の社長・野口美佳さん(美佳ちゃん)は、「近頃日本酒が美味しくてね!」と言う私に、今後は日本酒を飲まないでくれ、と真顔で言った。私の脳は会社の宝で、日本酒は脳によくないから、と。

私はそれを守った。美佳ちゃんは私の仕事を、私を、すごく大事にしてくれていて、ギャランティはもちろん、自分が素敵なものを買うときに私の分も買ってきたり、私を想った、と言っては私が泣いて喜ぶようなものを買ってくるような人だったから。

自分の命や身体は、自分だけのものじゃないと思う。あなたを愛する人のため、自分自身を大切にした方がいいと強く思う。

自分の存在が誰かの宝物であったとしたら、宝物としての自覚を持つべきだ。それが頂く愛に応えることになるのだから。

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これはウエッジウッドが「ワイルドストロベリー」誕生50周年記念に限定販売した、ミニチュアです。出会ってしまったので、バンジージャンプしました(私の言葉で「目をつぶってカードを差し出す行為」)。それこそかつて先に美佳ちゃんが見つけたら、買ってきちゃうだろうな(笑…という程に素敵なものです。自分自身を誰かの宝物であると自覚するなら…こんな贅沢も時に必要ですよ。

ええ。

いいんです(笑。