中二病は辛い
と思う。
実際のところ


「うつくしい人」西加奈子著は
他人の苛立ちの感情に敏感で、それを感じると萎縮してしまう主人公の百合が、瀬戸内海の直島を思わせるリゾート地で、いつも心のどこかで「これで合っているか?間違っていないか?」と思いながら生きている青年マティアス。置いていききれないものを抱えて生きているバーテンダー坂崎と出会い、自分自身を解放していく物語

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『私の行動の基本は、全て恐怖から来ているように思う。「社会」から取り残される不安、それ(主人公が通っていた女子高)は、個人にとっての全世界だ。』


女子校の人間関係。力のある生徒が他人を値踏みする方法、価値観から外れた同級生に対する穏やかな無視や、蔑み。

主人公が自分の声を聴くことができなくなったプロセスが『たまに薬を飲みすぎる引きこもりの姉』や、そんな女子校の風景が重ねて語られる前半は、吐きそうになるくらいリアル。ですが、後半から徐々に主人公が自分自身と合致していく過程でようやく一息つけるのでご安心ください。



著者の西加奈子さんは、執筆当時中二病だったそうで、書くことで自らを癒していったというようなことがあとがきに書いてありました。

 


なぜ、人は自分の声を聴くことができなくなるのか?そしてなぜ?誰に対して?間違ったことをしてはいけないと思い込むようになるのか。恐怖や人の評価に敏感に生きていることの辛さが見事に描き出してあります。
 

 読後、「読んだ人は相当落ち込んだんじゃないかな?」と思って、ネット上の同書の感想一覧をざっと見たのですが、「30過ぎて中二病の主人公が・・・」とか、「よくわからなかった」「風景が素敵、行ってみたい」みたいな感想が多かったのに驚愕。




多分、30過ぎて中二病の主人公が・・・と、書いている人は20代なのだろう。
もしかして、自分が中二病をどんなふうに抱えているのか気づいていないのかもしれない。



中二病とは、自意識をこじらせたり、世界を色眼鏡で見たりした状態だと言われている。


30過ぎて、というけれど、40才を過ぎて初めて、幼少期に形成したものが現在の自分にどれだけの影響を与えているか気づく場面がやってくる、なんてことはザラにあります。



主人公は、「自分らしく」いる人自身、または、自分らしく居させてくれる他人を『うつくしい人』なのだと考える。
 アナ雪のエルサだって、「自分らしくいること」を取り戻すのに大変な苦労をしていたよね。
エルサにとっては、アナは間違いなく「うつくしい人」でしょう。でも、人間はそのことに気づくまでに、必ずアナを疎ましく思い続ける時期があるんですよね。


書評かどこかに
「人生はそんなに悪くない」と書いてあったような気がします。

今、もし辛くっても
あなたにとって「うつくしい人」は必ずいる
あなた自身が誰かにとって「うつくしい人」でいられた思い出も必ずある



そして、あなたを「うつくしい人」で居させてくれる人も必ずいる
今までも、これからも


そのことに気づいていくのが自分探しで
成長で、人生なんだろう


そして、私は人々にそのことを伝え
それを見つけていく過程に寄り添いたいから
今の仕事をしています


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