患者さんから下着や衣類でかぶれる
というご相談を良く頂きます。
小学生の娘の学校でも、制服や体操服、機能性の高い下着で肌にトラブルが出たという話も良く話題に上るのです。
制服、体操服、機能性下着は今やほとんどが化学繊維、または化学繊維と綿との混紡。
化学繊維は形状が崩れず、洗濯後の乾きが早いという利点もあるが、吸水、吸湿性、通気性や撥水性が低ければ肌には全て刺激になる場合があります。
また、機能性下着には特殊加工が施されているので、その化学処理が同じく刺激となる…ということは容易に想像ができます。
しかし、天然繊維の綿でもトラブルがおこる、という話も少なくないのです。
なんでも天然であれば良く、化学合成物は悪い
という単純な話ではなく、綿でも同じように収穫後の加工の過程では漂白、染色などの化学処理が施されています。
加えて、オーガニックコットンという製品が出回っているということは、オーガニックコットン以外の綿には、収穫前にも何かの処理がおこなわれていて、それを問題視している人々がいるというということなのでしょう。
我々消費者は、手にした製品がどのように育てられ、どんな加工をされてきたのか知る術はありません。
野菜の残留農薬の問題と同様に、コットン製品の残留農薬の数値は健康に影響はない、とされています。
けれども、上記のように、加工の過程でも刺激となる加工がされている場合があります。
素材を選ぶ事はもちろん、天然なら安全と安心せずに、もし、アレルギーや更年期、生理中であるなど、実際にトラブルが起こる事が想定されるのであれば、オーガニックコットンであっても購入後に最低でも一度洗濯をしてから袖を通す事で、大きなトラブルは避ける事が出来るかもしれません。
洗剤や柔軟剤も肌への刺激となりうるので、これも普段から良く観察をして、ご自身や家族にとって「刺激とならない」洗剤を探しておく事が肝要です。
ところで、一説には全農作物に使用する農薬の25%は綿栽培に使われている。その上、労働環境は苛烈を極めているという記事
vs
綿栽培が使用する農薬は7%以下。生産者を不要な労働から解放するためにも、生産量を減らさないためにも農薬の使用は不可欠
という記事のリンクと抜粋を載せておきます。
統計は調査対象を変えるだけで、いかようにも数値が変化する、事など、なかなか興味深いので、ご興味のある方は引き続きご覧ください
インドの綿生産者は、生産時の大量の農薬の使用、収穫後にも殺虫剤の使用で寿命まで縮めている、という記事です。
一方、農薬の使用は不可欠という主張は
農薬の一部は、社会的利益をも提供している。例えば、除草剤の適正な使用によって、鍬をもって草取りする手間を省くことができる。特に開発途上国では、この重労働は通常女性や子どもの仕事になっているので、重要な意味を持っている。鍬を使っていた時間は、教育やその他の大きな社会的便益や労働集約型でない生産活動に集中することができる。作物自身がBt農薬をつくるバイオ技術のコットン品種によって、農民の合成農薬との接触を大幅に減らすこととなる。
Q&A
1) 世界の農薬使用のうち、コットンはどれほど占めているのか?
誤った批判の中には、コットンは農薬の最大の使用者であるという引用をしている。コットンは現在世界の農薬使用の25%を占めていると主張しているが、事実は7%以下である。
世界の農薬使用量(各農作物) | ||||||||||||||||||||
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出所:Cropnosis, 2008年 販売データより |
2)1年のコットン栽培に使われる農薬は、1エーカー当たり、あるいはコットン1ポンド当たりどれほどか?
米国農務省によると、2007年には、米国の綿畑1エーカーに、殺虫剤0.8ポンド、除草剤2.6ポンド、収穫用農薬(成長抑制剤、落葉剤)1.8ポンド、殺菌剤0.007ポンドにすぎなかった。米国では、2007年の単位当たり生産量は1エーカー871ポンドであったから、コットン生産量1ポンド当たりに使われた全農薬は、約0.1オンス(1オンスの10分の1以下!)である。これは、人工甘味料3袋の粉の分量とほぼ同じ量である。
コットンの栽培に使用される農薬 | ||||||||||||||||||
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出所:付録7) (1) 収穫を補助するもの |
重要なことは、バイオ技術のコットンの出現やIPM計画の広域な実践によって、米国では、農薬使用量は、過去25年間に50%以上も減少していることである。
3)コットンは最も農薬多用作物であるという主張は正しいのか?
25年前には、この発言は正当であったかもしれないが、2007年においては、世界中でコットン栽培のために販売された農薬は、全販売額の6.8%にすぎなかった。米国農務省によると、2007年には、わずか殺虫剤の0.8ポンド、除草剤の2.6ポンド、収穫用農薬の1.8ポンド、殺菌剤の0.007ポンドが米国の綿作1エーカーに投入されたに過ぎない。米国の2007年の平均収穫量は、エーカー当たり871ポンドであったから、収穫されたコットン1ポンド当たりに投入された農薬総量は約0.1オンスということになる。重要なことは、バイオ技術や害虫耐性の作物の出現によって、米国では、農薬投入量は、過去25年間に50%以上減少していることである。
5)農場でコットンに使われた化学薬品は、衣類になる時コットンに残留するのか?
繊維中の農薬残留はコットンの問題点とはなっていない。なによりもまず第一に、農薬は収穫前の一定期間は散布を禁止されており、繊維は国際機関によって農薬残留量が計測される。第二に、原料から最終の衣料になるまで、コットン繊維は洗浄と精練の工程が繰り返され、繊維に触れるかもしれない農場の化学薬品を取り除いてしまう。したがって、仕上がったコットン衣料が人の肌に触れることによる残留農薬の危険性はない。
繊維中の農薬残留はコットンの問題点とはなっていない。なによりもまず第一に、農薬は収穫前の一定期間は散布を禁止されており、繊維は国際機関によって農薬残留量が計測される。第二に、原料から最終の衣料になるまで、コットン繊維は洗浄と精練の工程が繰り返され、繊維に触れるかもしれない農場の化学薬品を取り除いてしまう。したがって、仕上がったコットン衣料が人の肌に触れることによる残留農薬の危険性はない。