夏に涼しい衣服の素材と言えば「麻」



真夏並みに暑くなった6月に着物を着た時に、麻の襦袢(下着)のひんやりとした肌触りと、汗をかいても肌に貼りつく感じがない快適な着心地に感激しました。


着物の下着と言えば絹(シルク)。絹もひんやりとした肌触りながら夏にはあまり用いられません。実際のところ、素材による吸湿性や通気性はどうなのだろうと思い色々と調べていくうちに驚愕の事実に行き当たりました。



なんと、麻の吸湿性は綿の4倍!なのだそうです

夏襦袢の素材を考えてみる麻、絹、綿、化繊バイク呉服屋の忙しい日々


涼しいはずです。



我々は吸湿性のよい素材と言えば、まずは綿を思い浮かべてしまいがちです。
ところが、代表的な素材の吸水・吸湿性を比べてみると

麻>絹>レーヨン>綿

なのだそうです。

合成繊維のレーヨンのほうが綿より上!

しかも、絹とレーヨンはほぼ同じくらいなのだそうです。
というのも、「レーヨンは化学繊維ではなく、もともと綿の実や木を原料にした天然素材の『再生繊維』」(同サイトより)なので吸水・吸湿性が高いということ。

因みに、「我々が常識として知っているように化学繊維のナイロンやアクリルの吸湿性はやはり小さく、中でも一番小さいのがポリエステルである」(同サイト)

ポリエステルの下着が蒸れ、肌荒れをおこす一番の原因はこの吸湿性と通気性の低さのためでしょう。



そして、松木さまが教えて下さったもう一つの要点が
同じ綿でも、どんな綿であるか
ということ。

一口に綿、麻と言っても、先日記事にした
天然ものでもかぶれ、肌荒れはおこるに書いた生産・加工過程での問題の他にも、原料、織り方などによっても品質は大きく変わるということ。

また、生地を織る際に使用する糸の細さでも出来上がった反物の肌触りや風合いは全く違ったものになってしまうということなのですね。




消費者が素材の質まで選ぶとなると、既製服ではせいぜい「イタリア製リネン」「オーガニックコットン」などの、産地や製法を信じることになるのだけれど、着物であれば、本来は目利きの呉服屋さんが仕入れた反物を「誂え」てもらう、洋服のオーダーであればやはり目利きのテーラーが仕入れた布地を「仕立て」てもらうので、製品を手にするまでの消費者の関わり方も既製品を購入するのとは全く違ったものになるということです。


もちろん、出来上がった衣服も既製品とオーダーでは、全く違ったものになります。
手のかかる子ほどかわいいと申しますように、出来上がった着物や服に対する心持も全く違ったものになるでしょうから、大切に扱うようにもなりそうです。


過去に自分で買った服のことを考えても、ユ〇クロのTシャツは「また買える」「替えがきく」と思ってしまうものね。


日本中にあふれているこのリセットできるという感覚が物に対してだけでなく人にも及んでいる(
悲哀排除症候群)のは、非常に危険な感じがいたします。


大量生産大量消費、簡便簡略化、コストの削減など、なんでも効率化してきた結果、生活は便利になりましたが、その陰で犠牲にしてきたものも本当にたくさんあるのです。



さて、今回参考にさせていただいた上記サイト。他にも、吸湿性を比べているサイトはありましたが、ここまで緻密で詳細なものは見当たりませんでした。
写真による素材の比較も一目瞭然ですので、どうぞ皆様もご覧ください。
リンクのお願いを致しましたら、ご快諾だけでなくアドバイスも頂くことができました。感激
バイク呉服屋の忙しい日々 趣味の呉服 松木様 本当にどうもありがとうございました。