人が怒る時って
目の前で起きていることはキッカケに過ぎなくって、その前にすでに怒っている
そして怒っている人の心には必ず悲しみや不安がある
気分の良い時には
多少肩がぶつかったくらいじゃ
「このヤロー！」とは思わない
でも
既に惨めな気持ちだったり
自分は大切にされないと感じていたり
バカにされると思っていたら
「お前までそんな扱いをするのか！」
と言いたくなる
若干の八つ当たり
長女はすぐ椅子に上に立つ
彼女が4歳の時に
掃除をしている私の側でキッチンの木製の椅子の上に立ってご機嫌にしていたが、不意に目の前でバランスを崩して脚を縫う怪我をした
私は目の前で椅子が倒れ
その椅子の背に脚を突っ込んで
細くて頼りない娘の脚がみるみる血に染まっていくのをなすすべもなく見ていた
今でも思い出しただけで震えがくるほど怖い
自分の無力さと
そんな事になる前に
「降りなさい」と言わなかった
無責任さと危機感の無さと能天気さとバカさと親としての能力の低さと
後悔してもしてもしても
足りない
罪悪感もそっくり思い出す
だから
「やめて」と怒る
罪悪感を思い出させないで欲しい
私が無力でバカで無能な親だと思い出させないで欲しいから
やめてくれ
と言い続けた
「怖いからやめて」と
娘はその時は「ごめん」というけれど
しばらくすると、また立つ
あれから15年も経つのに
だからもう諦めることにした
多頭飼いしていると
優位な猫が、より高い場所を占領する
女3人で暮らしている中で
娘は、時折
高い場所に身を置きたい衝動にかられるのかもしれない
ただ単に
見晴らしの良いところが好きなのかも
物事を物理的にも俯瞰して見たいのかもしれない
いずれにしても
私の罪悪感を刺激しないために
衝動を我慢する必要はないのだ
私の罪悪感も無力感もアホさも
私が処理するべきもので
娘は、ただしたい事をしているだけで
八つ当たりされるいわれなどないのだ
ごめんね娘
好きなだけ立つがいいよ
そう思えたということは
私の中で
罪悪感の、少なくともカケラの一つが消えて
私自身も少し平穏になれたということなのだ
横浜駅から15分 石川町
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