レモンマーマレード ~毎回同じ仕上がりに作れる方法・苦味抜きについて~ | 型にはまったお菓子なお茶の時間

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主に日々のお茶のお供を記録しているブログです。
レシピの配合はあくまでも「個人的な作りやすさ」と「私好みの味に合わせたもの」になっていますので、レシピそのものよりも、作業する際の理由やポイント自体がお役に立てましたら嬉しく思います!

爽やかな甘酸っぱさが美味しいレモンマーマレード。

パンに塗ったり、お湯で割ってホットレモネードにしたり、紅茶の風味付けやお菓子作りにも重宝します。

レシピは詳しく書いたため長くなってしまいましたが、慣れれば30分~1時間もかからず、工程も難しいものではありません。

既に自分のお気に入りや作りたいレシピがある人が迷った時にも、慣れるまではレモンジャム作りで必ず通る、苦味抜きや煮詰め終わりを確認する方法は参考にしていただけるかと思います。


マーマレードと言えばオレンジが定番ですが、柑橘の皮入りジャムの名前全般のことで、柑橘の皮には香り成分や苦味が含まれていて、本来その苦味を楽しむもの。

アメリカや日本などでは甘いものが好まれますが、イギリスなどヨーロッパ諸国では苦味こそ旨味として茹でこぼさない場合も多いのだとか。

私は適度な甘味と舌に残らない程度のすっきりしたレモンピールのほろ苦さを残して仕上げますが、苦味を徹底的に抜いてしまいたい方はレシピの後述を参照してください。


また、自家製レモンなどを使う場合はなおさら、大きさによって皮と実の割合や分量は様々。

レモンが個数で表記されていたり、煮詰めるのも時間を目安としたレシピでは、使うレモンの大きさが違っても砂糖や水の分量が同じだったり、レモンの個数が違う場合は同じ煮詰め時間では毎回違った仕上がりになってしまいますが、ここではレモンから取れた皮や実の重さに合わせてはっきりと分量を計算できるように、また個数が違っても毎回同じ状態で仕上げることができる方法を載せました。

こちらの著書にもこのレシピを掲載しています。
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~私が作るレモンマーマレードについて~

 ジャムが固まるにはペクチンの働きが必要で、どの柑橘で作るにもわたや薄皮に種も一緒に煮てペクチンを抽出するものが多く、私も柚子マーマレードを作る際にはそうしています。

 ただレモンの場合は薄皮やわたなども一緒に抽出すると苦味やえぐみが出すぎたり、種が極端に少ない品種のものもあるので、私は皮に含まれるペクチンと、熱を加えた砂糖が固まる性質を生かして固めています。

 他のフルーツではややとろみがつくまで煮ますが、マーマレードはさらさらの状態でも、他のフルーツジャムよりもジャムの部分がゼリー状にかたくなりがちなので、ここでは私が思うとろっと使いやすい柔らかさに仕上がる方法で、砂糖を加えてからは溶ける程度に火を入れるくらいでほとんど煮ていません。

 冷やした小皿を使った、途中で出来上がりの固さを見ることができる方法を載せていますので、それを参考にお好みの状態に仕上げてください。



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~材料~


 約200g 《皮+身の重さの 約1.3~1.5倍》


  レモン 2個 (皮と実の重さの合計目安150g)

  グラニュー糖 皮+実と同量 (ここでは150g) 

  水 皮+実の半量~同量 (ここでは100cc前後)



~下準備~

○もぎたてのレモンは皮が固い場合があるため、数日~数週間熟させて皮を柔らかくする

○小皿を冷蔵庫で冷やしておく

○保存瓶を煮沸消毒しておく



~作り方~


①無農薬のものは表面の汚れを落としながら軽く洗い、他のレモンは塩ずりやたわしなどで皮をよく洗ってから水気をよくふき取り、ぺティナイフやピーラーなどで、白いわたの部分はできるだけ多く剥きすぎないよう皮の黄色い部分を剥いて細切りにし、沸騰させたお湯で1~2分ずつ、3回茹でこぼす

 →りんごを剥く時のイメージで包丁をスライドさせると剥きやすく、細切り具合はお好みで


②わたも包丁をスライドさせながら剥いて、薄皮を丁寧に剥がしながら実をはずす


③皮と実の重さを量り、同量のグラニュー糖、またその半分~同量の水を準備する

 →皮が硬そうな場合は水を多めに


④皮・実・水を小鍋に入れ、実をつぶしながら弱火にかけ、焦がさないよう注意しながら、とろみがつくまで実の水分をゆっくりと飛ばす


⑤ゴムベラで底から掻くと鍋底が見える程度に、さらさらと流れずどろっとする程度にとろみがつくようになったら(この時点で、重さにして皮+実の重さの3分の1になったら)グラニュー糖を加え、溶けて透明になるまで火にかける(約1~2分)

 →砂糖を加える前の時点で、皮と実の重さの合計の3分の1=例として計150gだったとしたら、ここでは50gになるまで煮詰まったらOK


⑥砂糖が溶けて透明になったら一度火を止め、冷蔵庫でしっかりと冷やした小皿に、ティースプーンの先にほんの少量取ったジャムを乗せて数秒待って、冷えた時に指で押してみてぺったりととろみがついていたら、さらさらの状態でも保存瓶に詰める

 →水あめ状のものがお好みの方は、様子を見ながら更に煮詰めても



~苦みについて~

 苦味をなくしたい場合、必ずゆでこぼすこと、わたや薄皮はできるだけ取り除くこと、そして上記レシピにはありませんが、水にさらすことで更に緩和することが可能です。

 皮を切ったそばから水にさらして行き、わたの白さが抜けて透明になるまで水を2~3回変えながら1時間程度さらしておき、それから茹でこぼします。

 ただこのレシピでは皮のペクチンしか使わないため、あまり2時間も3時間も浸けすぎるとペクチンも弱くなることから、1時間程度が目安。

 また、そのペクチンが減った分、砂糖を加えたあとの煮詰め時間がほんの少しだけ上記レシピよりも多く必要になる場合があります。

 冷やした小皿でテストしながら調整してください。


 また、材料ではなく鍋によっても下地が金属の鍋を使うと酸と反応して苦味が出ることがあるので、詳しくは鍋についても参照してください。


 他、そこまで極端に甘いレシピでもないので、加える砂糖で甘さを増やすのも1つの方法かもしれません。

 出来上がった後に甘味が足りないと感じた場合は、風味は変わりますがはちみつを加えてはちみつレモンジャムとして使っても。



~鍋について~

 下地が金属製の鍋で作ると、酸と反応すると言う理由から、ホーローか耐熱ガラスの鍋だとまず安心。

 金属でも腐食しにくいステンレスはOKです。

 おたまや箸なども竹や木製のものを使うのがおすすめですが、他の鍋や器具で作れないと言うことはありません。

 ただホーローでもそうでなくても、加工や表面が剥がれたものは避けましょう。
 金属とレモンの酸が化学反応して苦味が出やすく、作っている途中で更に加工が剥がれ異物混入のもとになる場合もなります。



~煮詰め終わりを確認する方法

 皮と実に水を加えて煮詰める際、煮詰め終わりを勘や見た目で判断しても良いのですが、より性格に計りたい場合は、デジタル秤を使っています。

 皮と実の重さの3分の1の重さまで煮詰めたい場合、まず皮と実の重さを量り、その3分の1の重さを計算し、そこに鍋の重さを足した数値を覚えておきます。

 

 例) 皮+実=150g であれば、 水を加えたあと、50gになるまで煮詰めたい

    50g+鍋の重さ=鍋の重さが500gとすると、550g


 あとは水を加えて煮詰めながら、たまに鍋ごと秤に乗せ、その550gになるまで煮詰めて行くのです。

 大量に作る場合や重い鍋ではできない方法ですが、私も使用している2kgまで計れるデジタル秤があればレモン数個分程度をジャムにする場合には役立ちます。

 何度も作るうちに見た目で判断できるようにはなりますが、“どろっとした状態”など言葉ではなく本当にこれくらいのとろみでよいのかなどがわからない時、初めて作る際にはまず重さを量ることで状態を見極めることができます。



~期限・保存~

 煮沸した瓶に入れて、冷蔵保存 1ヶ月。

 砂糖の量が多いほどに長期保存可。

 雑菌繁殖を防ぐため、口をつけたスプーンなどは絶対に使わないこと。

 長期保存したい場合は砂糖の量をもとのレモンの重さの50%以上使用し、ジャムが熱いうちに煮沸消毒した瓶の縁まで詰め、脱気と殺菌をして未開封で半年~1年程度長期保存可。
 ふたを開封したら早めに食べ切ること。
 ただし完全に密閉できていることが条件で、やはり素材に合わせて風味をいかした甘さで作り、できるだけ早めに食べ切るのがおすすめ。