*救いようのない結末に救いを見出した映画「ドッグヴィル」* | 『愛のうた♡命、輝くとき』
ここ最近、月に10本前後は映画(DVD含め)を観ているので、気の向くまま感じたことなど書きつらねてみよう


ということで
備忘録的

勝手にシネマ




【ドッグヴィル】
監督:ラース・フォン・トリアー
主演:ニコール・キッドマン

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Story
ロッキー山脈の麓に孤立する村ドッグヴィル。ある日この村の近く、ジョージタウンの方向から銃声が響いた。その直後、村人の青年トムは助けを請う美しい女性グレースと出会う。間もなく追っ手のギャングたちが現われるも、すでに彼女を隠し、その場を切り抜けるトム。彼は翌日、村人たちにグレースをかくまうことを提案した。そして、“2週間で彼女が村人全員に気に入られること”を条件に提案が受け入れられる。そうしてグレースは、トムの計画に従って肉体労働を始めることになるのだが…。(allcinema.netより)




先月お会いさせていただいた監督に
おすすめの作品をいくつか教えていただき...その中の一本。



"人間そのもの をえぐり出す映画で、観るほうのコンディションによっては精神的にキツいかも...健やかな時に観てください"と。


全編177分
観終わってしばらく放心状態ー。



まず驚いたのは、ロケ地での撮影というものが一切ないこと。全編通して描かれる【ドッグヴィル】という村は、ただ白い線をひいた床のうえにセットを組んだだけ。まるで舞台を撮影したものを観ているかのような。


人々が暮らす村という設定ながら、家々のドアすらないセットに戸惑いつつも、ドアの取っ手をまわす音や開閉のときの軋む音と役者たちの動きにドアが見えはじめ、村人たちの心理状態の変化に翳りゆく未来を予感した頃にはすっかりドッグヴィルの世界にひきこまれ...


物語が進むにつれて臨場感は加速。


最後はもう 目の前で事が起きている と感じるほど息をつめ、手を握りしめて観てしまった。


人間の美しさ、醜さ
情と非情
優しさと冷酷さ
受容と拒絶

それらがオセロのように
表裏一体に描かれている。


村 という集団となったときと
個 として在るときの危うい心の動き

思わず我が身を振り返らずには
いられませんでした。



なんといっても
主演のニコール・キッドマン
素晴らしかった!


どこまでも純真で献身的で聖女かと思う姿から一変するラストには鳥肌がたちました。



救いのない物語のなかに
救いを見出す




私にとって【ドッグヴィル】は
そんな映画でした。