なんだか、どこかに書き留めておきたくて、
私が19まで暮らしていた家のこと、お話します。


オカルトな話だし、興味ない方はスルーでお願いします。




私は15〜16歳まで、11ヶ月間、海外に留学していました。
帰国すると、それまで住んでいた、井の頭公園すぐそばの一軒家のお家は、仕様が変わっていました。

留学直前に同居していた祖父が亡くなり、祖母は一人暮らしに憧れていたから。と、私が留学中にマンションに移り住み、
6人家族だった家は、両親と妹と私の4人暮らしになっていました。

家は、当時築30年くらいの二階建て洋風建築でした。
ドアノブが真鍮だったり、アイアンの窓格子だったり、外壁の一部はツタが絡んでいたり。今もあったら、昭和カフェをしたくなるような雰囲気でした。

留学に出発前は、1階だった私の部屋は、
祖父母が暮らすためにリフォームされた二階の洋室になっていました。
3面採光で、広いクローゼットと洗面所付きのお部屋で、祖父母が使っていたテレビも設置されていて、快適なお部屋でした。(今思うと、私の人生最高に贅沢な部屋でした。今あのお部屋があったら、スクラップの道具がたくさん入るのにな〜。)

二階は20畳くらいの私の洋室、長い廊下、納戸、キッチン、バス、そして広い二間続きの和室。
立派な床の間が壁一面にありましたが、
祖父母が居なくなったあと、この和室は年に何度か友人や親戚と宴会する時だけ使うものの、それ以外は全く使用しない部屋でした。

私の洋室と宴会和室は、実は、1mほどの隠し通路で繋がり、和室側は襖。
洋室側からは観音開きのクローゼット扉で仕切られていました。
通路の片側は本棚にもなっていて、今考えると素敵な隠し通路でした。

当時二階に寝ていたのは私だけ。

閑静な住宅街で、夜は静かでした。

帰国して、すぐは気にならなかったのですが、しばらくすると、洋室で寝ようと電気を消すと、
隣の和室から、物音がするのです。
そう。隠し通路越しに聞こえてくるのです。


それは、足音。
しかも、ひとりじゃない。

パタパタパタパタ。
ズンズンズン。
タッタッタッタッタッ。

と、大人、子供、いろいろです。畳の上を歩いているようで、多分4〜5人はいます。
普通に歩いているってよりは、走り回ってる感じ。

でも、不思議なことに全く怖くないのです。

私はそんな足音を聞きながら眠りについていました。


何度か母や父に相談しました。

でも、気のせい。テレビの音。外を歩く人の足音。

と、一蹴されるのでした。


19歳になるころ、何度かリフォームしてはきたものの、古くなったその家を一端全て壊し、新築することになりました。

あと数ヶ月で仮住まいに引っ越す時期になると、
和室からの足音は頻繁に、激しく聞こえてくるようになりました。
たまに、どこかの扉を開けて閉める音や、押入れの上段からジャンプするような音も聞こえます。

キー、バタン。
たったったっ。ドン!バタバタバタバタッ!

まるで、深夜の運動会?
あちこち扉が開いて閉まる音に、姿を現さない和室の住人も引越し作業をしているかのようでした。

一階にダンボールが増えてきて、居室で眠るスペースがなくなってきたころ、
父が私の隣の和室で寝ると言い出しました。
私は、え!なんかいるのに?って思いましたが、
父は気にしないだろうし、様子を見ることにしました。


すると、数日和室で寝た父が、
休日の朝食時に「ランダ、ランダの言ってたことは本当だったな。」と、家族の前で言うのです。
「夜中じゅう、バタバタ、たったったっ、ドスンドスン、キー、バタンって、うるさくてうるさくて。」
と。

父にもバッチリ聞こえていたのです。

私はついぞ、確認しに行ったことはなかったのですが、父はその部屋で寝ているのですから、臨場感は、計り知れません。

すると、窓側に布団を敷いて寝ていた父は「あんまりうるさいから、くるっと寝返りうつと、ピタッと音が止まるんだよ。」
というのです。

ひー。よく寝返りなんか打てるね。
目開けてるんでしょ?

と聞くと。

「ああ。でも何も見えないんだよ。音だけ。あれは、みんな慌ててお引越し中だな。」

と。

やはり父も、あの足音、物音が怖くなかったのだそうです。


後に新築された家では一度も足音を聞くことはありませんでした。


あれは一体何だったのでしょう。

座敷わらし?

でも、多分…、ファミリーでした。

今はどこに住んでいるのかな?

幸せだといいな。



不思議な体験でした。



娘たちにせがまれて、昨日この話をしました。
ここに書き留めておきます。