個展までもう3日だ。


僕は技術とか筆法とか大切で、守ってきた。

それは今も大切だ。

身体の自由がきかなくなってきて、手が動かしにくくなってきて、いつか守ってきたものを取っ払わなければと思いつつ、書の既成概念や自分なりの方法でやる勇気って精神的にもきつかった…。

右往左往しながら、悩みながら、迷いながらの制作だった。

でも、今まで自分の身体に染み込ませてきたものは消えはしないし、無くなるわけじゃない。

そう思えた瞬間、僕はまた筆を握っていた。

新たな自分を探す旅に出たような感覚で、文字がまた躍動して、活きだした。

この右手に残された力はまだまだ腐ったりしない。

これから僕は「花」という文字と生きて、最期まで「花」を書き続けて、「花」と心中しようと思う。
32年と2ヵ月を生きてきた「花」を、これからの「花」をぜひ観にきてください。

石井誠



「花」