まずは少しだけ、幼少期の話を。
小学生の頃ぐらいからかな。
自分の中で、目立ちたい!人の中心にいて注目を浴びたいって思うようになってきて。
それっておれが住んでた田舎の常識とは少しずれてたっていうか。
なんとなくだけど、薄っすらと。将来はどこか都会へ行って有名になりたいって。
親や先生、友達に認めてほしくて。勉強やスポーツも一通り頑張ってはみた。
けど、そのどれをとっても普通。それどころか下から数える方が早いぐらい。
1番を獲ることなんて1度もなかった。
中学に入ってからは、「どうせおれなんて…」が口癖みたいになってきて。
その反動で、手っ取り早く目立てる手段に走り。
親には迷惑ばかりかけ、人に頭を下げさせることも沢山してきた。
シドの「one way」って曲の歌詞に。
「すみわたる空とは裏腹に、僕ら追い込まれてた」って歌詞があるんだけど。
まさにその頃の心境。
学校の屋上から、必死に部活を頑張る同級生を見ては「こんなはずじゃなかったのに…」って。
高校に入っても、嫌なことは上手く紛らわせて。学校に行ったり行かなかったりな日々。
そこで出会ったのが音楽。
衝動的にバンドを組んで、ライブ活動を始めて。
その活動を頑張るたびに、1人また1人とお客さんが増えていく感覚が、今まで味わったことのない快感に変わって。気づけば他が見えないぐらい夢中になってた。
「かっこいい」とか「取り柄があって羨ましい」とか。
そんなことを言われるたびに、少しいい気になって。
そのまま勢いは止まることなく。
上京。
最初は夢で溢れてた。
お山の大将だったことに気付くのにあまり時間はかからなくて。
夢と現実。少しずつずれていった。
地元と違って歌が上手いやつなんて腐るほどいたし、生活する為のバイトの時間で思うように活動もできない。やっとステージに上がっても、自分より長けてるバンドにライブパフォーマンスでボコボコにされることも何度もあった。
時間は待ってくれなくて。
あの時の気持ち「こんなはずじゃなかった…」に近い感情が。毎晩、寝る前に恐怖心が襲ってくるようになって。
怖かった。
何年やってもお客さんは入らないし、ずっと夢だった大歓声の前で歌うっていう夢。
正直、見失いそうになってて。
心も体もボロボロだった。
そんなとき、2つめの大きな出会い。
シドとの出会い。
ここで変わらなきゃ終わる。
これを最後のバンドにしよう。
そう決めて本当の意味で死ぬ気でもう1度だけ頑張ってみようと。
かっこつけて「才能の人」を演じるのはやめて、誰もが認める「努力の人」になるんだ。そう誓って。
シドを結成。
4人で動き出した。
あれから10年が経ち。
結成10周年の記念に出した、今回のベストアルバム。
オリコンチャート、第1位。
ずいぶん時間はかかちゃったけど、何をやってもダメだったおれが。
ついに「1番」を掴んだ。
最初はね「もっと有名になりたい!売れて見返したい!」
って気持ち、執念にも似たその気持ちだけで走り続けてきたんだけど。
シドで歌ってるうちに、変わってきたんだよね。
っていうよりは変えてもらった。
「世の中にこんな音楽を刻みたい」とか「誰かにこのメッセージを伝えたい」とか。
そんな風に思うようになってきた。
変えてくれたのは、やっぱりファンのみんなで。
辛い時期に背中を押してくれたのもファンのみんな。
だからこの初めての「1番」はね。
まぎれもなくシドとファンのみんなで、一緒に掴んだ「1番」なんだ。
心から、ありがとう。
10年後。
振り返ったときに「2013年は開花の年だったよね」って。
また一緒に微笑み合えるように。
始まったばかりのシド10周年プロジェクトを。
精一杯、おれが今持ってる力の全てで歌っていきます。
応援宜しくお願いします!